幼稚園の送迎バスに3歳の女の子が置き去りにされ、死亡した事件で、女の子の死因は熱中症の中でも、症状の重い熱射病であることがわかった。

当日、自らバスを運転していた幼稚園の園長を取材した。

3歳女児の死因は「熱射病」と判明

幼稚園の送迎バスの中で放置され、河本千奈(3)ちゃんが死亡した事件。司法解剖の結果、死因は熱中症の一つである熱射病と判明した。

この記事の画像(11枚)

園長は謝罪はなし 捜査中を理由にカメラの前から立ち去った

9月5日、バスを運転していた増田立義園長(73)にFNNの記者らがマイクを向けた。

記者:
今の思いは?事故はなぜ起きてしまった?

一度は無言のまま車の中へ入ったが、そのすぐ後、ドアを開けてこう話した。

川崎幼稚園・増田園長:
すみません。警察のほうで今事情聴取をしているのでよろしくお願いいたします

謝罪の言葉はないまま、捜査中を理由にカメラの前から立ち去った。

私立川崎幼稚園と増田園長の自宅に家宅捜索 送迎バスも検証

2021年の福岡で起きた事件に続き、またしても園児の命を奪うことになった送迎バス車内での置き去り事件。

一夜が明けた9月6日、臨時休園となった静岡県牧之原市の川崎幼稚園に捜査のメスが入った。

午前9時すぎに警察は業務上過失致死の疑いで、私立川崎幼稚園と増田理事長の自宅などを家宅捜索。

あわせて押収した送迎バスの検証も行われていた。

5時間バスに置き去り 最高気温は30.5℃の真夏日

このバスの中で何が起こっていたのか。事実関係が次第に明らかになってきた。

9月5日朝、送迎バスには千奈ちゃんを含む6人の園児が乗っていた。運転手を務めていた増田園長。さらに70代の派遣職員の女性が助手席に乗り、朝8時50分川崎幼稚園に到着。

他の5人の園児が降りる中、千奈ちゃんを乗せたままバスは近くの駐車場に止められた。9月5日の牧之原市内は最高気温30.5℃で、真夏日。

そして園児たちの帰りの時間にさしかかった午後2時10分。幼稚園にバスが到着してから5時間以上経って、ようやく車内にいる千奈ちゃんが発見された。

運転手の代理で園長が急きょ運転

事件の背景として浮かび上がってきたのが、バスの送迎体制がいつもと違った点。

警察によると、普段は別のスタッフが運転していたが、その運転手が休みだったため、急きょ増田園長が運転したという。

また、千奈ちゃんは車内の3列目付近で見つかり、頭を通路側にして仰向けで倒れていたことがわかった。

女性職員も園長も確認・点検を怠る

6日午後6時、静岡県が会見を開いた。

静岡県によると、バスが園についたあと女性の職員は荷物を持ちながら小さい子から降ろして他の子には自分で降りるよう声をかけ、園に入ったという。

また、運転手をつとめた園長も確認・点検を怠っていた。

この園では、こどもの登園について管理システムを導入していて、県は事故との関係を調べる方針だ。

幼稚園側は7日も休園することを明らかにし、6日に予定していた記者会見は延期となり保護者への説明会も調整中だということだ。

(「イット!」9月6日放送分より)