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「人権の上に神権というのがある、神様の権利があるんだっていうことを忘れちゃいけません」

「静かに隠して生きていっていただきたいなっていうふうに思うんです」

下野市議会で自身の宗教観を交えながら、性的少数者に対し「静かに隠して生きて」と発言した幸福実現党の石川信夫市議。

どのような意図があって発言したのでしょうか?めざまし8は、市議を直撃しました。

「静かに隠して生きていっていただきたい」パートナーシップ宣誓制度に反対の姿勢

発言は2022年6月、市議会定例会でのことでした。
議論の内容は、2022年9月1日から導入されている「パートナーシップ宣誓制度」について。下野市内で、性的指向や性自認に関わらず誰もが自分らしく生きることができるよう、公営住宅の入居などについて、自治体が支援する制度です。

これに対し、石川市議は、

幸福実現党 石川信夫市議:
私は決して差別主義者ではありません。男性同士で同居しようが、女性同士が同居しようが、それは一向に構わないと思います。
ただ、こうした「制度」を設けて社会に認めさせる、こういったことが果たしていいのかどうかということに対しては、大変疑問を持っております。

「制度」に対して疑問を持っていると発言。さらに…

幸福実現党 石川信夫市議:
できるならば、こういった方々、私も100人の前でこのLGBTQの話をしたら、1人、2人、必ず刺さる人がいるんですよね。そういった状況があるということは十分知っております。
できたら、静かに隠して生きていっていただきたいなっていうふうに思うんです。そのほうが私は美しいと思いますし、社会に混乱が起きないというふうに思います。

制度の導入に反対の意思を示し、LGBTQなど性的少数者であることについては「静かに隠して生きていただきたい」と発言したのです。

この質疑に当時の市長であった広瀬寿雄市長は、「性自認にかかわらず、誰もが自分らしく生きることのできる社会の実現を目的とする取組みの一つとなるものであり、法的な効力や義務を伴わない制度」と説明、「性的マイノリティーの方々一人一人が、“人権”を尊重され、多様な生き方を選択できることは、公正な社会の実現に寄与するものである」と返しますが、石川議員はさらに発言を続けます。

幸福実現党 石川信夫市議:
市長は“人権”と言いますけれども、人権の上に“神権”というものがある、神様の権利があるんだっていうことを忘れちゃいけません。「差別」をしているんじゃない、「区別」をしたんだと、男女の区別をしたんだということ、これを忘れてはいけない。

市長が、「そういった方々も“いる”ということを前提にこの社会が成り立っている」と述べ「今の時代の在り方とは違う」としても、“旧約聖書”の内容を引き合いに出し発言を続ける石川市議。議長から静止を促されても、持論を曲げることはありませんでした。

石川市議を直撃取材「差別をする意図は、気持ちはまったくない」

こうした発言の真意はどこにあったのでしょうか?
めざまし8が石川市議を直撃取材すると、議会での発言は「あくまでも私個人の意見」と党とは関係ないとした上で、持論を語りました。 

幸福実現党 石川信夫市議:
差別をする意図は、気持ちはまったくないです、私自身は。
むしろそういった事に関しては、「寛容」であるという風に自分では思っています。

性的少数者を差別する意図はないとした一方で…

幸福実現党 石川信夫市議:
ただ、制度としてパートナー宣誓制度、こういったことをしていくことに対しては、自分が男性の体を持っているけど、心は女性なんだよってって言えば、女性のトイレに入ったりとか、浴室に入ったりして、許されてしまう社会になってしまうんじゃないか、そこまでいってしまう恐れもあるんじゃないかってことで、制度化するのは反対させていただいたんです。

最後に、「今後言葉には気をつけていきたいと思います」と話した石川市議。

性的マイノリティに関する情報を発信する一般社団法人fair(フェア)代表理事の松岡宗嗣氏は、「議員の発言は、政策に直結する可能性があり、性的マイノリティーの今の生活が脅かされてしまうこともあるので、明確に“否定”をしなければいけない」と批判。

また若狭勝弁護士は、「“静かに隠して生きて”いう発言自体が非常に問題」とし、「(性的マイノリティーの方の)表現の自由を制約することにつながりかねない、決して許されない発言」と指摘しました。

(めざまし8 9月5日放送)