河野太郎デジタル相は4日、フジテレビ系『日曜報道 THE PRIME』(日曜午前7時30分)に出演し、行政のデジタル化を進めるにあたって、「司令塔」のデジタル庁が各省庁を従わせることができる「勧告権」を積極的に使っていく意向を表明した。

河野氏は「デジタル庁から他の役所にこういうことをやってくださいというのは、積極的に申し上げていく。法律の権限としてあるのならば、積極的に使うのが当然だ」と述べた。

「勧告権」は、デジタル化の総合調整機能を持つデジタル庁が各省庁に対し、システム整備の関連予算や事業内容を指示することができる、いわば「伝家の宝刀」だ。

新型コロナ禍で露呈した行政のデジタル化の遅れに危機感を抱いた菅義偉首相(当時)が霞が関の縦割打破を目指し、デジタル庁を首相をトップとする直轄組織と位置づけ、司令塔としての強い権限を与えた。

しかし、各省庁のほうが政策に詳しく、抵抗も強く、河野氏の前任の牧島かれん前大臣が伝家の宝刀を抜くことはなかった。

デジタル化をさぼってきた霞が関の負債をデジタル庁が一身に背負う中、河野大臣の突破力と発信力が期待されている。

一方、河野氏は、マイナンバーカードの普及策「マイナポイント」に関し、「若干邪道なところがある」と指摘。マイナンバーカード機能をスマートフォンに搭載して、コンサートの電子チケットや運転免許証などとひも付けることで、「生活がこんなに便利になるよ。それはいいね、みんなでやろうよ、というのが王道だ」と述べ、生活利便性を向上させることでカードの普及を目指す考えを強調した。

以下、番組での主なやりとり。


梅津弥英子キャスター(フジテレビアナウンサー):
かつて規制改革担当相として「脱ハンコ」を押し進めた河野大臣だが、デジタル相に就任して目指すのが「脱フロッピーディスク」。
デジタル庁はアナログ的規制の総点検に乗り出し、約4000条項を見直す方針を決めた。さらに行政手続きでフロッピーディスク等の記録媒体の利用を定めた約1900条項についても、経済団体などからの改正を求める声を受け、見直して行く。

松山俊行キャスター(フジテレビ政治部長・解説委員):
デジタル庁発足から一年が経った。いまだにこういうアナログ的規制がある。これらを改善することで霞が関は大きく変わるか。

河野太郎氏(デジタル相):
そうだ。4000条項には、対面や常駐を求める記載があり、技術で対応できるのに古いやり方でやらなければいけないのが延々と続いている。来年の通常国会で4000条項にプラスして全部変えてやろうと思っている。フロッピーディスクはまだいい方で、オープンリール(磁気テープ)やカセットテープでの提出を求めるものも数件あったようだ。法律、法令にこれでやれと書かれてしまうとそれで提出しなくてはならなくなる。それを外して提出してくれとしておけば、最新の技術で提出すればいい。安全確認でも、人が行ってコンコンと叩いて音で確認しろと書かれていると、それでやらなければいけないが、様々なセンサーを使って安全を確認すればいいということになれば、様々新しいことができるようになる。やり方を限定せず、これをやってくださいとすると、最新技術でできます、それでやってくれればいいよと。ルールを変えることで例えば、中小企業が持つ技術で「これできます」というのが結構ある。法令を改正して最後だけきちんと確認できるように言えば、自社の持つ技術で今までよりもはるかに安くできる、という技術を持つ中小企業に積極的に参入してもらいさらに便利な世の中に変えてもらいたい。古いやり方の規制を外していく。

橋下徹氏(番組コメンテーター、弁護士、元大阪府知事):
この4000条項すべてを精査できているわけではないが、見る限り議会関係のアナログを改正、規制改革するようなルールが入っていない。議会、国会、町議会もそうだが、予算書などは紙で出さなければいけないことになっているから、地方議会では山のような予算書を全議員に渡すべく机の上に置いている。野党が求める予算修正に役所側がなかなか応じないのは、予算書の修正が大変だから。とにかく修正は困るという意識だ。民間に範を示すためにもまずは議会関係の書類をデジタル化していく。今はフロッピーどころか紙だから。消費者庁の所管でないにしても、デジタル化ということであれば、勧告権を用い、政治・行政の、特に議会関係のアナログをぜひ改めてほしい。

松山キャスター:
デジタル相には関係機関に対して勧告権がある。例えば、政府全体のシステム統一の方針などで勧告する権限があるが、牧島前大臣の時は一度も行使されていない。勧告権を行使する考えはあるか。

河野氏:
デジタル庁から他の役所にこういうことをやってくださいというのは、積極的に申し上げていこうと思っている。法律の権限としてあるならば、積極的に使うのが当然だ。ただ、行政に対するのとは違い、立法と司法、国会や議会、裁判所も結構遅れているところがあるが、ここに対してはなかなかデジタル庁から「ああせい、こうせい」とは言えない。しかし、私は国家公務員制度担当相も兼務していて、人事院総裁から行政の仕事のやり方として、国会との関係についてきちんと調査をしてほしいという話もあったので、そこは国会の理解を頂きながら進めていかないといけないかなと思っている。現実に分厚い予算書や決算書を各議員の部屋に配る、今まではもっと様々な書類があったが、最近はだいぶそれを減らす了解をいただきながらやってきたので、立法府、司法との関係についてもデジタル化の進められるところはどんどん進めていきたい。自治体でも議会との関係でデジタル化が進むようにやっていきたい。

松山キャスター:
デジタル庁が強力に進めているマイナンバーカードの普及促進だが、河野大臣は8月30日の記者会見で今年度中にマイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載する意向を表明した。現在のマイナンバーカード普及率は全国で45.9%と、年度内にほぼ全国民に普及させるのはなかなか厳しい状況だが、機能をスマホに搭載すればカードの普及率は上がると考えるのか。

河野氏:
機能をスマホに搭載するにしても、一度マイナンバーカードを発行しなければいけない。それをスマホに読み込ませて搭載をするという手順は残る。まずはマイナンバーカードをきちんと発行しなければいけないが、スマホにマイナンバーカード機能が搭載されていると、スマホだけ持って、例えば、今チケットの高額転売みたいな話があるが、個人認証でこれは河野太郎さんに売ったチケットだと。マイナカードの個人認証機能を使ってゲートに入る時にスマホをかざせば入れるというようなことも可能になる。いろいろな使い方ができる。今はいちいちマイナンバーカードを出す、あるいは、マイナンバーカードをスマホに読み込ませ、その時に4桁の暗証番号を入力するというようなことをやっているが、機能をスマホに搭載すると、スマホの顔認証で本人認証をしていろいろなことができるようになる。利便性は格段に上がる。

橋下氏:
マイナンバーカードを交付させるのにマイナポイントの支給などで交付率を上げようとしているが、全員がマイナンバーカードを持っているという前提に立てば、それこそデジタル庁に集まっている人材がもっと日本社会をこういうふうに便利にできる、ああいうことができると、様々なことが生まれると思う。しかし、今は全員がマイナンバーカードを持っている前提になってないからチマチマした話で皆利便性を感じていない。マイナンバーカードの保有義務化まで踏み切ってもいいと思う。

河野氏:
例えば、運転免許証。マイナンバーカードでやろうということにすると、全国のお巡りさんが読み取り機でマイナンバーカードの運転免許証情報を読み出すことになる。デジタルで繋げることで、交通違反処理や免許証更新処理が便利にできるようになる。いずれの段階で、もうマイナンバーカードが免許証ですよということはやらざるを得ない。マイナンバーカードを持っていることで世の中飛躍的に便利になっていけば、黙っていてもマイナンバーカードで様々なことを処理することになる。マイナンバーカードで世の中こんなに便利にすることができるということをデジタル庁として積極的に示していかなければいけない。橋下さんが言うように、マイナンバーカードを取得したらマイナポイントがいくら分つきますというのは、ついた分はありがたいかもしれないが、若干邪道なところがある。マイナカードを持つことで世の中がこんなに便利になる、あなたの生活もこんなに便利になる、ああ、それはいいねと、みんなでやろうよというのがあくまでも王道だ。皆さんがそうかと思っていただけるような情報発信をデジタル庁としてしっかりやっていく。