くら寿司がビームスとコラボし、SDGsな特別メニューを発表した。

不揃いなニンジンで新メニュー

色鮮やかなオレンジ色のお寿司。

くら寿司が9月2日から販売する、人気セレクトショップBEAMS JAPANとのコラボ寿司「ベジロール(サーモン・えび)」(220円 ※9月30日まで)で、環境にやさしいSDGsのメニューとなっている。

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くら寿司広報部・黒見繭さん:
ビームスジャパンのキーカラーでもある、だいだい色ということで、ニンジンシートを採用しました。

このシートに使われているのは、傷んだものや形がふぞろいなど通常は流通しない、いわゆる規格外のニンジン。

出荷できなくなったニンジン約15万本を農家から仕入れシート状に加工し、お酢でやわらかくしてエビやサーモン、アボカドなどの具材を巻く。

またサイドメニューには、まるで本物のお肉のような味わいの大豆を使ったナゲットも販売を開始。肉と比べて生産過程のCO2排出量が少ないという。

くら寿司の掲げる「漁業創生やSDGsに向けた取り組み」などにビームスが共感したことで実現した今回の企画。

多様なコラボで新たなライフスタイルをプロデュースするビームスと組むことで、人にも環境にも優しい回転寿司を目指す。

くら寿司広報部・黒見繭さん:
これまでセレクトショップとのコラボがなかなか実現できていなかった背景もあって、より新しい顧客、ビームスジャパンのファンや今回のメニューでいうと、野菜嫌いな子どもやエシカル消費を意識しているお客さまにも新規で来店してもらえれば…

SDGsとインバウンド対応にも

Live News αではマーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

内田嶺衣奈キャスター:
回転寿司とセレクトショップのコラボレーション、外食産業の最前線をウオッチしている渡辺さんの目にはどのように映っていますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
今回のくら寿司とBEAMSのコラボは、最適な組み合わせが実現したという印象です。これまで回転寿司は「好きなものを」「好きなだけ」「好きな順番で」食べられて「コスパに優れている」ことで成長してきました。それが今、競合他社との差別化が難しくなるなど提供している価値がコモディティ化・一般化していて、回転寿司業界そのものが成長サイクルの成熟機に入ろうとしています

内田嶺衣奈キャスター:
確かにどの回転寿司チェーンも賑わっていますが、一方で、そのお店でなくてはならない理由を探すのはなかなか難しいのかもしれませんね?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
回転寿司がさらなる成長を図るためには新たな革新的な価値を創出する必要がありますが、それを自社だけで実現するのは時間もおカネもかかります。そこで異業種とのコラボとなる訳ですが、今回、くら寿司はBEAMSという最適なパートナーを見付けて協業で新たな成長を図ろうとしていると考えます

内田嶺衣奈キャスター:
くら寿司とBEAMSの組み合わせは正直、意外な感じがしますが、それがなぜ最適な組み合わせなんでしょうか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
その意外さこそ、業界の慣習や常識に捉われることなく新しい価値を生み出すチカラとなります。 実際、今回の期間限定の特別メニューも革新的なメニューだと思います

内田嶺衣奈キャスター:
渡辺さんが特に注目したメニューはありますか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
やはり普段は流通しない規格外のニンジンを使用した野菜シートという新規原料を開発して、相性も良いエビやサーモンを巻いたものは食べて美味しく、地球にも優しいため人気のキャンペーンメニューと考えます。外食チェーンの場合、大量に食材を確保する必要があるため規格外の野菜などを使ったメニュー開発はなかなか難しい面がある中、そこにチャレンジしているのも素晴らしいと思います。また、このベジロールは海外でも馴染みのカリフォルニアロールといった巻き寿司のため、年末に向けて本格化するインバウンド需要への対応にも良き入り口にもなりそうです。いま外食産業はSDGsとインバウンドの再開という2つの対応に迫られていますが、今回の異業種コラボから生まれた特別メニューはひとつの正解を示しているのかもしれません

内田嶺衣奈キャスター:
回転寿司に家族で足を運ぶ方も多いと思います。今回のメニューをきっかけに家族でSDGsについて考えることにつながるといいですね

(「Live News α」9月1日放送分より)