北陸新幹線の福井県開業が1年半後に迫る中、JR敦賀駅西側にユニークな書店や飲食店、広場などの交流施設が完成した。9月のオープンを前に、一足早く敦賀駅に潜入。そこには、本を核に県内外の人たちを呼び込む様々な仕掛けがあった。

ホテルに飲食店…賑わい・交流の新拠点が完成

全国で整備している新幹線駅の中で、最大の駅舎となる敦賀駅。その西側の約7,900平方メートルに、敦賀市が官民連携で整備してきた賑わい・交流の新拠点「otta」がお目見えした。

敦賀駅西側に9月オープンする新拠点「otta」
敦賀駅西側に9月オープンする新拠点「otta」
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総事業費は約30億円で、宿泊、食、知識、憩いの機能を複合的に楽しめる。

敦賀市の渕上隆信市長は、「可能性が高い施設。市民の憩いの場、観光客には賑わいを作れたら」と期待を込める。

「otta」への期待を語る渕上敦賀市長
「otta」への期待を語る渕上敦賀市長

宿泊客を迎えるのは、スイートルームが用意されたワンランク上のビジネスホテル。9階建てで、客室は約130室ある。

その隣には、大手コーヒーチェーン「スターバックスコーヒー」がオープン。福井県南部の嶺南地域では初出店となる。
そして長屋風に並ぶのは、地元の海産物や食材を扱う小型の飲食店だ。敦賀市内の4店舗が準備を進めている。

「知の拠点」は迷路のよう…本棚を木の形に配置

とりわけ目を引くのは、ユニークな書店や子育て支援施設などが入る複合棟だ。敦賀市は「知の拠点」と位置付ける。

“知の拠点”に位置付けられた書店「ちえなみき」
“知の拠点”に位置付けられた書店「ちえなみき」

安野由里子記者:
3万冊を超える本の空間が広がっています。迷路のようになっていて、本の森で本に出会う仕掛けになっています

木の形に配置された本棚
木の形に配置された本棚

書店は、「ちえなみき」と名付けられた。本棚を木の形に配置し、市民が成長し、未来に向かって発展するという意味が込められている。

本の分類は、極めて特徴的だ。通常のあいうえお順ではなく、テーマ別に本をまとめた。
例えば「五感」のコーナーでは、視覚、聴覚などに関する著書がずらりと並べられている。

共同運営するのは、東京の大手書店・丸善雄松堂と編集工学研究所だ。

丸善雄松堂・鈴木康友リサーチ&イノベーション本部長:
ここは、アート芸術コーナーの「音楽が好き」というテーマだが、レコードジャケットも「音楽」と考えている。「デザイン」のコーナーには、福井県出身の漢字学者・白川静氏の書籍がある。漢字、文字もデザインだ。とっつきづらい漢字にも親しみがわくと思う

本棚の仕立てにも工夫が施されている。
「一つのテーマの世界観が、目で見た時にパッと分かるような仕立てになっている」と話すのは、店内で本をどう見せるか演出するブックディレクターの女性だ。日本を花鳥風月で表し、花の棚は日本の「ド派手な世界観」を表現したという。

丸善雄松堂・鈴木康友リサーチ&イノベーション本部長:
絶版で入手できない古書も市場から探し、取り寄せた

街と共に発展を…運営には市民の“知恵”も

また、この書店ではお茶を飲みながら本を品定めできる。

福井の特色も本棚に織り交ぜた。
「本人」コーナーには、敦賀市民が“自分の本棚”から選んだ書籍や、福井ゆかりの著名人の本が並ぶ。

「本人」コーナーをはじめ、書店の運営には市民の“知恵”も取り入れた。

参加した市民:
本を通じ、人のつながりができたらいい。みんなの持っている知識や知恵を合わせて、何か大きなものを作っていきたい

市民たちは、1年前から月1度のペースで話し合いを重ねてきた。運営や体験講座についてアイデアを出し合い、すでに動き出しているものもある。

丸善雄松堂・鈴木康友リサーチ&イノベーション本部長:
公共の場所で、このまちがどういう風に発展していくのか一緒に考えるのは 非常に意義がある。大事にしていきたい。一緒にしたいことがあれば声を掛けてほしい

子ども向けの空間が設けられるなど、様々な仕掛けがこの本屋にはある。

福井県嶺南の玄関口として、新幹線開業に合わせて賑わいを生み出していけるか。開業まで残り1年半…官民が手を取り合い、試行錯誤を続けている。

(福井テレビ)