私がお伝えしたいのは「タイの首相が失職のピンチ」です。

8年前の軍事クーデターで首相に就任した元陸軍司令官のプラユット氏。

任期の上限が過ぎたとして野党が憲法裁判所に訴えると、裁判所は結論が出るまでの間、職務停止を言い渡しました。

一方の首相側は、クーデター後の暫定的な職務期間は任期に含まれないと徹底抗戦の構えです。

ポイントはこちら。

「政界大混乱の任期問題、裁判所の判断は」注目です。

【注目ポイント・記者解説】

プラユット首相の職務停止について、9人の裁判官のうち、賛成が5人、反対が4人だった。

職務停止の間は、プラユット氏と同じく元陸軍司令官のプラウィット副首相が首相を代行することに。

裁判所は今後、プラユット首相の任期がいつを起点にして8年かを判断することになる。

野党が主張するのは「2014年8月に暫定首相に就任した時点から」(以下略称①)で、この場合すでに8年が経過しているため、プラユット氏は失職し内閣は総辞職となる。

一方で、首相側が主張するのは「2019年3月に行われた総選挙後の首相への正式な就任時」(以下略称②)、もしくは「2017年4月に行われた現行憲法の制定時」(以下略称③)としている。

②の場合は2027年まで、③の場合でも2025年までプラユット首相の任期が続くことになる。

野党支持者は、プラユット氏の辞任を求めて、これまで連日デモを行っていたが、結果次第では現政権に抗議するデモが大きな盛り上がりを見せる可能性がある。

現地メディアによれば、憲法裁判所は9月中に判断を示す見通しだ。

職務停止によりタイの政情が混乱を見せるなか、裁判所の判断に注目が集まっている。

(FNNバンコク支局 池谷庸介記者)

池谷庸介
池谷庸介

FNNバンコク支局 特派員