9月は「がん征圧月間」。がんの3大療法の1つである放射線治療の最前線を紹介する。

福井県済生会病院に9月、放射線治療の新型装置が導入される。照射の正確性、そして治療時間が短縮され、より高い効果が見込めるという。どんな装置なのか探った。

正常な組織を避け放射線を当てる

放射線治療は手術、薬物療法と並び、がんの3大療法の1つ。

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手術との違いは体を切る必要がないこと。また薬物療法よりも、副作用など比較的患者の負担が少ない。

放射線治療専門医で福井県済生会病院の岩田紘治医長に聞いた。

県済生会病院 岩田紘治医長:
元々は、しっかりがんに放射線を当てたくても、がんの周りの正常な組織にもそれなりに放射線が当たってしまうので、副作用を気にしてなかなか当てられなかった。トモセラピーには、がんの複雑な形に合わせて放射線を当てて、周りの正常な部分にはなるべく放射線が当たらないようにするような技術が搭載されているので、安全に放射線を当てることができるようになってきた

がんの複雑な形に合わせて放射線を当てることができる装置「トモセラピー」
がんの複雑な形に合わせて放射線を当てることができる装置「トモセラピー」

トモセラピーとは、がんの形に合わせて放射線を照射できる放射線治療装置だ。県内では県済生会病院で2009年に初導入され、これまで年間約330人のがん患者の治療に使われてきた。

呼吸で動くがんを追尾し照射

それが9月からさらに進歩する。大きく変わるのは次の2点だ。

(1)正確さがアップ

県済生会病院 岩田紘治医長:
例えば肺の中にがんがあって、そのがんが呼吸と一緒に動く。確実に放射線を当てようと思ったら、動く範囲に丸々当てないと打ち漏らしてしまう。呼吸の動きに合わせて照射するので、基本的にそのがんにだけ集中して放射線が当たるような仕組みになっている。その周りの正常組織にはなるべく放射線が当たらない

この新型装置では、患者の体に体の動きを読み取るLEDマーカーを装着。カメラを使い呼吸の動きのパターンと、がんの位置を計算するのが特徴だ。

呼吸によって動くがんの位置を常に追えるようになり、正常組織を傷つけることなく放射線治療が行えるのだ。

被ばく量も少なく患者に優しい

(2)治療時間が短縮

通常、放射線治療の前には患部を撮影し、がんの場所を正確に把握してから放射線を当てる。その画像が以前よりも鮮明になった。

がん患部を撮影した画像が以前より鮮明に
がん患部を撮影した画像が以前より鮮明に

県済生会病院 岩田紘治医長:
きれいな画像なので、照射位置を合わせやすくなるというメリットがある。画像の撮影時間は短くなり、被ばく量も少なくなるので患者に優しい

これまで1人あたりの治療時間は20分だったが、15分に短縮できるという。そのため、より多くの患者の治療が可能になる。

県済生会病院 岩田紘治医長:
画像が鮮明になり、我々がしっかり狙った通りに放射線を当てることがよりできるようになる、ということが1つ。それから、がんの動きに合わせて放射線を当てることができる症例が出てくると、安心してがんにだけ放射線を当てることができる。そういうところが今までにないメリット

ただ、その装置も全てに対応できるわけではない。放射線治療装置はさまざまな種類があり、特性も違うと岩田医師は付け加える。

新型トモセラピーはあくまでもその1つで、患者一人一人の症状に合った治療法を医師や各病院が連携して見つけることが重要だと話す。

(福井テレビ)