読者の心を熱くしてきた「スポーツ漫画」。

8月21日放送の「ジャンクSPORTS」(フジテレビ系)では、そのスポーツ漫画をフィーチャー。スポーツ漫画好きを自負するアスリートや芸能人とともに「最強スポーツ漫画ランキング20」を発表した。

第20位~第16位は?

番組の調査によるとスポーツ漫画は2100作品以上。今回番組では、スポーツ名門大学の運動部に所属する現役学生1384人にアンケートを実施。そのアンケートをもとに、“最強スポーツ漫画”のランキングを発表した。

「ここ何年も漫画を読んでない」と話す番組MCの浜田雅功。一方、元サッカー日本代表の中澤佑二さんは「サッカーより漫画の方が詳しい」と目を輝かせる。

フィギュアスケートソチ五輪日本代表の村上佳菜子さんも「私は読み過ぎて練習の時間に遅刻するわ、サボるわで捨てられたことあります」と漫画好きであることを明かした。

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また、東京五輪女子ボクシング史上初の金メダルを獲得した入江聖奈選手は「ボクシングも『がんばれ元気』という漫画からはじめました」と語った。

まずは第20位から第16位まで。

第20位「ドカベン」
第19位「ベイビーステップ」
第18位「テニスの王子様」
第17位「エリアの騎士」
第16位「バトルスタディーズ」

第20位は伝説の野球漫画「ドカベン」。週刊少年チャンピオンで1972年から連載され、5シリーズ累計全205巻。「これを読んだことのない野球選手はいない」と言われるほどの名作だ。

「ドカベン」の歌を口ずさむ浜田さんは「今の若い子も見てくれているの?」とランクインに喜ぶ。「親に勧められて読んだ」という学生が多かったという。

第19位は「ベイビーステップ」。週刊少年マガジンで2007年~2017年に連載されたテニス漫画。スポーツとは無縁で勉強ばかりしていた主人公がテニスまで勉強するかのように分析し習得、一流選手へと成長していく物語。

第18位は「テニスの王子様」。1999年から2008年にかけて週刊少年ジャンプで連載された。

この作品の最大の魅力は、イケメンキャラがどんどん現れること。主人公・越前リョーマとその仲間たちが現実離れしたプレーや必殺技で強豪を次々と倒していく。

錦織圭選手もこの作品の派手なプレーを見て、「魅せるテニスを意識するようになった」と語っている。

第17位は、「エリアの騎士」。2006年から2017年にかけて週刊少年マガジンにて連載。天才サッカー少年の兄とその弟2人はある日、交通事故に。亡くなった兄の心臓を移植され、一名を取り留めた主人公、駆が兄の心臓と共にサッカー選手を目指す感動作品。

第16位は、実体験を元にした名門野球部の漫画「バトルスタディーズ」。モーニングで現在も連載中。PL学園野球部出身の作者が実体験をもとに、高校球児たちの過酷な日常を描いている。

PL学園のOBでこの作品のファンでもある、現在西武のヘッドコーチを務める松井稼頭央さんは、この作品の魅力を「僕らも本当に懐かしく思う。野球はもちろんですが、野球以外のところも面白い。『こういう時代があったのか』と思う」と語る。

また松井さんも経験したという厳しいルールの数々がリアルに描かれており、「上級生に使える言葉は基本的には『はい』か『いいえ』。これは間違いない。『いいえ』なんかなかったかな」と学生時代を振り返った。

漫画大好き芸人のケンドーコバヤシさんは、「作者とお会いしたことあるんですけど、OBに呼び出されて『まだ甘い』って言われたらしいです。昔はもっとすごかった…」と明かした。

第15位~第11位は?

続いては第15位から第11位まで発表。

第15位「GIANT KILLING」
第14位「はじめの一歩」
第13位「BE BULES!~青になれ~」
第12位「弱虫ペダル」
第11位「あひるの空」

第15位は、サッカー漫画史上初めて監督が主人公となった漫画「GIANT KILLING」。現在もモーニグで連載中。

Jリーグの弱小チームの監督が、独自の戦術と分析で「ジャイアントキリング(番狂わせ)」を起こしていく。これまで描かれることのなかった監督目線でサッカーを楽しめる作品。

中澤さんは「これを読むとサッカーの監督ができます。素人でもできます。僕が今後サッカーの監督をやるとしたら、この作品を読み返します。読み返してそれをそのまま忠実に再現します」と熱弁する。

第14位は超大作のスポーツ漫画「はじめの一歩」。連載期間は33年で、今も週刊少年マガジンで連載中。

いじめられっ子だった主人公がプロボクサーとなり、強敵たちに挑戦していく物語。数々の必殺技や名シーンが登場し、世代を超えたファンに支持されている。

「はじめの一歩」の名シーンに入江聖奈選手も挑戦
「はじめの一歩」の名シーンに入江聖奈選手も挑戦

中でも有名なのは、木から落ちてくる葉っぱをジャブでつかみ取るシーン。しかも、つかんだ葉っぱは途中で落としてはいけない。

スタジオでは、入江選手が挑戦するが、1枚もつかめず。

井上尚弥選手は最初は1枚もつかめず…
井上尚弥選手は最初は1枚もつかめず…

また世界最強のボクサー・井上尚弥選手も挑戦するが、最初はまさかの0枚。リベンジに挑むとようやく2枚キャッチでき、難しさを痛感した。

2回目で2枚つかめた
2回目で2枚つかめた

第13位は、「BE BULES!~青になれ~」。週刊少年サンデーで現在も連載中。

将来を期待された主人公が事故に遭いかけた友人をかばい、不運にも階段から転落。再起不能の大けがを負ってしまうが、諦めずに困難を乗り越えて再び日本代表になる夢を追いかける物語。

第12位は「弱虫ペダル」。週刊少年チャンピオンで現在も連載中。

高校1年生の主人公は、アニメグッズを買うため小さい頃から秋葉原までの往復90キロの道のりを自転車で通い続けてきた結果、とんでもない脚力の持ち主に。自転車競技部の中心選手へと成長していく作品。

第11位は、「あひるの空」。週刊少年マガジンで連載していたバスケ漫画。

東京五輪バスケ日本代表のキャプテン・田中大貴選手も大ファンのようで、「身長が低い(149センチ)主人公が強みは何か、自分のストロングポイントを探しながらやり方を見つけていく、勇気をもらえる漫画」と魅力を語る。

また、「主人公が入ったチームの周りが不良で、一生懸命頑張っている主人公にどんどん引き込まれていく。人間として大事な部分が『あひるの空』から学べることも多い」とハマった理由を明かした。

漫画大好きアイドルで、ももいろクローバーZ・高城れにさんも大ファン。

「どれだけボコボコにされても諦めない姿に勇気をもらえる。この漫画を好きになったきっかけは、幻のミニバス時代が個人的なエピソードとしてあって、小学生の時にミニバスチームに入ったけど、運動神経が悪い。ボールを顔面に受けてそれが怖くて1日でやめた。だからバスケやることは諦めたけど、どうしてもバスケを楽しみたいので、この漫画に出会って好きになった」

第10位から第6位はサッカー漫画が独占

最後はトップ10の発表。第10位から第6位までは、サッカー漫画がランクインした。

第10位「DAYS」
第9位「キャプテン翼」
第8位「イナズマイレブン」
第7位「ブルーロック」
第6位「アオアシ」

第10位は、週刊少年マガジンで2021年まで連載されていた「DAYS」。才能なしでサッカー初心者の主人公が、どんなに挫折を繰り返しても努力し続ける。その姿に仲間が心を打たれ、共に力を合わせるという青春を描いた成長物語。

第9位は全世界で愛される「キャプテン翼」。週刊少年ジャンプで1981年~1988年にかけて連載された、サッカー漫画の金字塔。

主人公の大空翼が個性豊かな仲間たちと世界へ羽ばたく壮大なストーリー。ドライブシュートをはじめ、現実離れしたさまざまな必殺技も大人気。「キャプテン翼」に影響を受けたサッカー選手も数えきれず、世界中で愛されている不朽の名作だ。

第8位は、ゲームが原作の「イナズマイレブン」。月刊コロコロコミックで連載された。

2008年にニンデンドーDSで発売され、ゲームならではの普通ではありえない派手な必殺技が多くの少年たちの心に刺さり、小学生を中心に大ヒット。漫画版も爆発的な人気を集め、ゲームの原作ながら講談社・小学館それぞれの漫画賞を受賞。

さらに同時期に放送がスタートしたアニメ版も多くの子どもたちを夢中にした。

第7位は週刊少年マガジンで連載中の「ブルーロック」。「史上最もイカれたサッカー漫画」と言われている。

全国から召集された300人のフォワード。ブルーロックと呼ばれる“青い監獄”で生き残れるのは、たった一人。途中で離脱した選手は2度と日本代表に選ばれることはないという物語。

スポーツ漫画としては異色の設定で残酷なデスゲームを描いた作品。個人の圧倒的な個性やエゴを求めるという強烈なテーマが特徴だ。

元日本代表のストライカー・大久保嘉人さんも絶賛し、「生きるか死ぬか、日本にないものが描かれている。日本はストライカーがなかなか生まれない。“決定力不足”と言われる。南米の選手を見てください。みんなエゴイストで『ボール出せ!俺に出せ』って選手ばかり」と魅力を語る。

また、一番印象に残っているシーンを挙げ、本田圭佑や香川真司を引き合いに「W杯優勝してないでしょ。カスでしょ」という場面だといい、「イヤでしょうね」と苦笑しつつも、「真司なんかメンタル弱いからショック受けてますよ」とニヤリとした。

第6位は「アオアシ」。ビッグコミックスピリッツで現在も連載中。

まるで空を飛ぶ鳥のようにフィールド全体を俯瞰(ふかん)で見てピッチ上の選手の位置を正確に把握する能力を持つ主人公。サッカー漫画では珍しい「視野の広さ」が重要視された作品だ。

数々のサッカー漫画がランクインした中で、中澤さんは「この中で1つ選ぶとしたら『DAYS』。主人公が運動も全くダメ。僕も元々サッカーが下手だったので、感情移入しやすい。名言が圧倒的に多くて、『評価をするのは他人、限界を決めるのは自分』。この言葉を現役の時に知っていたら、もっとすごい選手だった。あとは主人公の高校の監督が言った言葉で『失敗するチャンスを与えてやる。教育者にできるのはそれだけだ』。なので、もし自分がサッカーの監督になったら、これをまんまミーティングで言います」と強調した。

選ばれし第1位は?

ラストのトップ5を発表。

第5位「ダイヤのA」
第4位「黒子のバスケ」
第3位「MAJOR」
第2位「SLAM DUNK」
第1位「ハイキュー!!」

第5位は週刊少年マガジンで連載していた「ダイヤのA」。大谷翔平選手が「高校時代の野球に対する熱い気持ちを思い出させてくれる」と語っているこの作品の魅力は、魔球や必殺技が一切ないこと。

高城さんは「実話なんじゃないかってくらいリアル。私、生まれ変わったら野球選手になりたいくらい野球が大好き」と話す。

主人公の唯一の武器は「ちょっと曲がるくせ球」のみ。等身大の少年たちが甲子園を目指しながら奮闘する日々を本格的に描き、高校球児ならではの苦悩や挫折なども忠実に再現している。

第4位は週刊少年ジャンプで連載していた「黒子のバスケ」。あり得ないがまねしたくなる必殺技や特殊能力が満載で、読者を魅了。NBAプレーヤーの渡邊雄太選手が作中に登場し、話題となったことも。

大ファンの村上さんは「少年漫画ならではの特殊能力がバンバン出てきて、漫画だけど躍動感がすごい。イケメンも多くて青峰さんが好きです」とはにかむ。村上さんのポイントは「入浴シーン」のようで、「みなさんの筋肉が見えるシーンがあって、そこが推しです」とアピールした。

第3位は「MAJOR」。1994年~2010年まで週刊少年サンデーで連載。

5歳の幼少期から物語がスタートし、リトルリーグの入団、中学・高校時代を経て、メジャーリーグにまで上り詰め、引退するまでを丁寧に描いている。しかし、ここで終わらず、現在は引退した主人公の息子を描いたセカンドシーズンを連載中。

第2位は「SLAM DUNK」。週刊少年ジャンプで連載していた全世代から愛される名作。

不良少年だった桜木花道が、持ち前の身体能力をかわれ、バスケ部に入部。「ゴリ」ことキャプテン・赤木剛憲にしごかれながら成長していく。

この作品を語る上で忘れてはいけないのが数々の心に響く言葉。「安西先生…バスケがしたいです」や「諦めたらそこで試合終了ですよ…?」と多くの名言が読者の心を震わせた。

女子バスケ日本代表の髙田真希選手も大ファンで「読み始めると止まらない。感情移入できる部分がめちゃくちゃある。2、3日で全部読み切った」とどっぷりハマった様子。

そんな髙田選手が好きな名言が赤木の「リバウンドを制する者は試合(ゲーム)を制す!!」。「ポジションがセンターなのでリバウンドでゲームが左右されると言うことが言語化されて、とにかく“リバウンドを頑張ろう”と与えてくれた影響は大きい」と語った。

連載終了から26年を経て、新作映画の公開も控えている。

そして、第1位は週刊少年ジャンプで連載していた青春バレーボール漫画「ハイキュー!!」。

小柄だがとんでもないジャンプ力を持つ日向翔陽と天才的な技術を持つセッターの影山飛雄の2人が、力を合わせて強豪校に立ち向かっていく青春ストーリー。

この作品の魅力を日本代表のエースアタッカー・西田有志選手は「バレーボールの漫画は数多くない。その中で忠実かつムリじゃない攻撃で、感情移入がしやすい。結構見ました」と語る。

若い世代に響く理由は「敗北の描き方」だという。部活をしていた人なら誰もが経験するであろう負けるという描写が感動的で、読者の胸を打つという。

1位を「ハイキュー!!」と予想し、的中させた高城さんは「1話1話、感動シーン満載」と語った。