7月21日、過去最多の2万2047人の新規感染を確認した大阪府。年代別で見ると、10代以下が約3割を占めている。
感染が広がる子供たちを預かる現場は今、どのような状況なのか。小児科と学童保育を取材した。
検査したほぼ前例が陽性 第6波より子供の感染増
藤田医院 藤田聖子院長:
お子さんは陽性です。お嬢さんを完全に隔離することは難しいと思いますので、家族皆さん、原則は8月1日までおうちで様子見をお願いします。
大阪・堺市の藤田医院。小児科があるこの病院では、朝から新型コロナの検査を希望する人で駐車場が満車状態。その中でも目立つのが、小さな子供たちが検査を受ける姿だ。
娘の発熱で受診した人:
ちょっと娘が熱を出していて。保育園でも職場でも出ていたりするので心配ですね。診てもらえる病院が少ないので、私も探してやっと診てもらえた。
新型コロナだけでなく最近、注意が必要なのがインフルエンザだ。
藤田医院ではインフルエンザの疑いが強い場合、新型コロナとインフルエンザを同時に検査できるキットを使っているが、それでも陽性率は新型コロナが圧倒的に高いという。
藤田医院 藤田聖子院長:
ほぼ全例、8割から9割が陽性になるのが、第6波との違いかなと思います。お父さん、お母さんが感染すると、必然的に子供がなってしまうので。第6波の時より、お子さんの感染が増えてきているのかなという印象です。
一方、夏休みに多くの子供を預かる学童保育ではどうなのか。
大阪・堺市にある民間の学童保育は、夏休みに入り利用者が増え、満員の日が続いている。手洗い消毒に検温、マスクの着用は徹底しているが…。
小さな森の学童 戸倉恵利香代表:
子供たち同士の感染もすごく心配ですし、私たちスタッフも、もしものことがあると運営に関わるので、ずっと心配はあります。
この施設によると、民間の学童保育には新型コロナ対策のためのガイドラインがないため、感染者が出た場合、利用自粛や一時閉鎖など独自の判断が求められるということだ。
小さな森の学童 戸倉恵利香代表:
その時によって、例えば濃厚接触者の定義が変わったりとか、いろんな変更があるので。どこを基準にしたらいいのか、何が正しいのかと常に思いながらやっている。私たちは一番厳しい所で判断しようと思っています。
大人と比べ集団免疫がない ワクチン接種率の差も一因か
子供への感染が広がる中、夏休みをどう過ごせばいいのか。小児感染症学会理事長を務める、長崎大学大学院の森内浩幸教授に聞いた。
長崎大学大学院 森内浩幸教授:
BA.5になって、大人にも子供にも広がりやすくなったことに変わりはないと思います。まず一番は、親が家庭に持ち込まないこと。子供を連れて屋外に遊びに行く、これは全く問題ないです。マイカーで行くならなおさらだし、新幹線や飛行機の中も換気はいいです。
でも、割と人が混んでるような電車で移動する場合は、みんなでマスクを正しく着用し、子供たちに、マスクをしていても大声でしゃべらないよう、注意をすることが必要。大事なことは、どんなに感染が社会の中、家庭の中で広がっても犠牲者が出ないということ。それはリスクの高い人が追加のワクチン接種をすることによって、かなり防ぐことができます。
森内教授は、子供への感染が増えていることを「子供は大人と比べて“集団免疫”ができていない。ワクチン接種率の差も一因か」とみている。
ワクチン接種率は65歳以上が9割を超えているのに対し、5~11歳は2割に満たないという現状だ(7月20日時点・首相官邸HPより)。
森内教授によると、子供がオミクロン株に感染した場合、デルタ株と比較して以下のような症状になるという。
・肺炎の症状は少ない
・味覚、嗅覚異常はほぼない
・喉の炎症は多い
・熱性けいれんが目立つ
普段健康な子であれば重症化することはほぼないそうだが、中には急性脳症などの報告例もあるとのことだ。
(Q.子供へのワクチン接種はした方がいい?)
長崎大学大学院 森内浩幸教授:
感染を防ぐ効果は高いとは言えないが、重症化を防ぐ意味では一定の効果がある
(Q.もし子供にコロナの症状が出た場合はどうしたらいい?)
長崎大学大学院 森内浩幸教授:
基本的には風邪などの感染症と同じ対症療法しかないが、症状がひどければすぐに救急・病院に連絡するように
子供の感染拡大はどこまで続くのか。第7波の訪れとともに迎えた夏休み、さらなる注意が求められそうだ。
(関西テレビ「報道ランナー」2022年7月22日放送)