夏休みの子供たちに広がる"第7波"。Mr.サンデーは、子供を診察する都内3つのクリニックを取材した。

夏休みに入った子供を襲う“第7波” 特徴は「高熱」…熱性けいれんに注意

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「クリニックばんびぃに」(東京・港区)では、第6波の時よりも患者が約2割増えているという。
それぞれの医師に、訪れる子供たちの症状を聞いてみると…

「クリニックばんびぃに」院長・時田章史 医師:
第6波のときはやはり(発熱で)39度を超えるんですけども、今回は40度までいくようなお子さんがある程度見られており、平均すると0.5度から1度くらい高くなっているのかもしれません

「いとう王子神谷内科外科クリニック」院長・伊藤博道 医師:
「BA.5」に置き換わる以前に比べると、約0.5度ほど最高平均体温が違ってきました

また「竹内内科小児科医院」(東京・大田区)院長の後藤医師も含め、いずれの医師も第7波の特徴的な症状として「高熱」を一番に挙げた。

一方で症状の経過については、こう語る。

五藤良将 医師:
ただ(つらいのは)数日なんですよね。ずっと高熱が出てるって感じではなく、3日ぐらい

ほとんどの場合は、解熱剤を処方しつつ経過観察を行い、3日ほどで回復するという。ただし、6歳くらいまでの子供は、高熱によってけいれんを起こすおそれがあるという。

時田章史 医師:
熱性けいれんを起こすようなお子さんがいるんじゃないかと心配しています。突然のけいれんで皆さん驚かれると思うんですけれども、まずは、大体5分から10分で収まるのがほとんどですし、命に関わることはまずありませんので、慌てないでまず(けいれんの継続)時間を確認してください。衣類を緩めていただいて、体を横にして、万が一吐いても(呼吸が)大丈夫なように

過度な心配は必要ないという熱性けいれん。ただしけいれんが5分以上続いた場合は、救急車を呼んだ方が良いという。

コロナだけではなく他の感染症にも目を向け…「全ての病気を診る」体制を

10代以下の感染が3割を占める、“第7波”。川崎医科大学・小児科学教授の中野貴司氏も、その特徴と対処法についてこう語る。

中野貴司 教授:
第7波は、確かに熱の高い子が多いです。うわごとの強い状態になったりして、夜、救急でいらっしゃる方もいらっしゃいます。吐いたり熱が高いっていうのは子供さんにはよくあることですけれども、普段の様子とどこが違うかなっていうのを親御さんはしっかり観察していただきたいと思います。
あと熱が出ても、ある程度元気であれば、病院へ行くよりもお家で様子をみるというのももちろん選択肢としてあると思います

また、感染者が増える中、医療体制はどうあるべきなのか。

中野貴司 教授:                                    コロナとしては非常に頻度が増えてきました。それとやはり、いろんな行動制限が今、解除されてますから、他の感染症も多いです。コロナも、もちろん症状が重くなるのは困りますが、コロナだけに目を奪われて、他の病気で症状が重くなるのも困るんです。
ということは、コロナも一つの病気として、すべての病気をしっかりとみていくという体制。すべての医療機関がすべての病気をみるという体制にしていかないとよくならないと思います

コロナを“ありふれたものとして対処する側面が出てきた”

政府は、濃厚接触者の待機期間を原則7日間から5日間に短縮。2日目と3日目の抗原検査が陰性の場合は、最短で3日目に待機を解除することを決定した。
また、東京都の小池知事は濃厚接触者について、今後小学校・保育所・幼稚園などでは特定を行わない方針を示した。

これについて、中野教授は次のように見る。

中野貴司 教授:
もちろん濃厚接触者からもウイルスが出て、他人の感染源になったりすることはあり得るわけですけど、医療も含めていろんなことを維持しないといけないですから、接触しただけでお休み期間が長くなると、社会生活に支障が出るわけですね。
そういった意味で、ありふれたものとしてこれから対処していかないといけないという側面が
出てきたんだと思います。インフルエンザとか他の感染症と同じで、特別な病気としては扱わない。だけど、感染対策はいろんな病気に対して継続する。それで、なんとか切り抜けていこうということではないかと思います

ワクチン接種「4回目」は?「子供の接種」は?

政府の予防接種・ワクチン分科会会長代理でもある中野教授に、4回目のワクチン接種に関しても聞いた。

中野貴司 教授
4回目のワクチン接種の機会を与えるということに関しては、もちろん反対ではないんですけれど、機会を与えるなら広く与えて、どなたに強く推奨するか。どなたが打ったほうがいいかっていうメッセージを明らかにして、個人の選択もできるようにするのがいいのではないかと思います

子供のワクチン接種については…

中野貴司 教授:
初めて子供たちへのmRNAワクチンの接種が始まったとき、過去に使ったことなく心配も多かっ
たと思います。でも、いろんなエビデンスも集まりつつありますし、決して子供さんに心筋炎が多いというわけでもないです。
周囲では流行の規模が大きくなってきていますので、予防の大切さがよりクローズアップされて
きている時期だと思います

そして、新型コロナの今後については…

中野貴司 教授:                                    私たちがその病気にかかることも、ワクチンを打つことも、個体としてその病原体に対する免疫を集団としてつけていくことですね。集団免疫っていうのは何%打ったらできるとか、何人がかかったらできるっていうのではなくて、この繰り返しでできていくものだと思いますので、私たちはその真っ最中にいるのだと思います

(「Mr.サンデー」7月24日放送分より)