私がお伝えしたいのは、「目標達成も高揚感なし。維新の次の一手は?」です。
日本維新の会は、参院選の比例票で立憲を上回り、「野党第一党」という目標を達成しましたが、吉村知事が応援に入った東京・京都の選挙区で競り負けるなど「自力の弱さ」も露呈。ある幹部は今後に向け、「大阪以外の地方議員を倍増させる」と意気込みます。
ポイントはこちら。「悩める維新全国政党目指して足元強化へ」注目です。
【注目ポイント・記者解説】
日本維新の会は、目標としていた改選議席数を倍増させる12議席を獲得し、比例票については立憲民主党に約100万票の差をつけて「野党第一党」に躍り出ました。しかし、松井代表は10日、選挙結果について「我々は力不足。負けを認めざるを得ない」と記者団に語りました。
これは自民党が単独で改選議席数の過半数を獲得したことが念頭にあり、選挙戦中に繰り返していた「自民党をピリッとさせる」ことはできませんでした。
維新のある幹部は「何とか目標は達成したが、勝った気はしない。東京、京都、愛知は僅差。もう少し地力があれば勝てた」と話します。この「地力」とは地方組織のことを指していて、維新の地方組織の脆弱さを課題として挙げた形です。
維新の地方議員の数は、大阪府では約250人、大阪以外の地域では約150人となっています。
一方で、総務省によると昨年末時点で自民党に所属する地方議員は約3400人、日本共産党に所属する地方議員は約2500人で維新とは大きな開きがあります。
この差を少しでも埋めようと、維新は今年から地方組織の活動資金を増額したほか、子育て中の候補者のベビーシッター代などの一部を負担する支援策を導入しました。こうした取り組みを行うことで、来年の統一地方選挙では大阪以外の地方議員約150人を倍増させて、地方議員の数を全体で600人以上とすることを目指しています。維新の幹部は「全国の駅に立ち、議会で質問し、地域の情報を吸い上げて発信する。どの議会にもいる政党になれば、衆議院選挙も戦いやすくなる。それが次の一手だ」と明かします。一方で、10日に松井大阪市長が維新の代表を辞任する考えを表明しました。
これに伴い、維新は8月に結党以来、初めてとなる代表選を行う見通しですが、大阪府知事を務める吉村副代表は立候補しないと明言しています。地元からは、地方での「実績」を引き合いにして、中央に「もの申してきた」維新の独自性が失われるのではないかと危惧する声も聞こえてきます。
参院選を通じて全国政党化に向けて浮き彫りになった課題に直面すると同時に、世代交代が迫る中で、維新がどのように舵取りをしていくのか注目されます。
(フジテレビ政治部 原 佑輔)