“神対応”から“塩対応”へ?

亡くなった安倍元首相の盟友として歩んできた、麻生太郎副総裁。
81歳にして“権力の絶頂”にいる麻生氏の知られざる素顔とルーツを取材した。

これは43年前となる1979年、当時39歳だった麻生氏の初登院時の映像。

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麻生太郎氏(当時39歳):
ここに来た心境?初登院の心境?やっぱり緊張してます。こんないっぱい、たくさんいるじゃん。

――バッジにかけられたお金は3億円と聞いたんですけど、本当ですか?

麻生太郎氏(当時39歳):

(笑って)知らない。どこの新聞に載ってた?
どれくらいかかっているのか、お金のことは全然わからない。

記者の質問にいちいち振り返り、最後は階段のぼりさえもう一度やり直してくれる“神対応”ぶり。

それから40年、今や“政界の顔”となった麻生氏は…

――フジテレビのカンベと申します。

麻生太郎氏:
……。

もはや手も足も出ない完全な“塩対応”に。

それもそのはず、今の自民党でただ一人ここ10年、政権幹部の要職をおりたことがなく、81歳にして、首相時代よりも力を持つほどの“絶頂”へと上り詰めたのが麻生氏なのだ。

「何もかも麻生」地元を取材してみると…

世代交代の声も高まる中、なぜそれほどの力を持ち続けられるのだろうか。

その理由を求め、地元である福岡・飯塚市に向かうと…

男性:
もう何もかも麻生さんのおかげで、道路も通ったりしてますし…

女性:
うちの息子も麻生で生まれました。

記者:
見てください、あちら「麻生飯塚病院」とあります。とても立派な病院です。
その隣には「ASO(麻生)スーパーマーケット」もあります。

他にも、中核であるセメント工場から専門学校、レジャー施設まで麻生グループは110社(2022年4月1日時点)。
さながら“麻生帝国”と言える飯塚市だが…

記者:
こちらが麻生邸になります。すごいですよ、ずっと塀が続いております。

そびえ立っていたのは3mは優にある土壁で、その中は全くうかがい知ることができない。
そんな麻生邸を空から見てみると…

記者:
ただいま飯塚市上空400mのところにいます。
正面、見えますでしょうか。小高い山、あちらが麻生邸になります。

麻生邸の敷地面積はなんと東京ドーム2つ分超。
本邸のほかにもいくつもの建物が並び、建坪も延べ800坪を超えるというその姿は、さながら“麻生城”!

「半径2mの男」の所以は…

そもそも麻生氏の血脈は、高祖父は大久保利通、祖父が吉田茂、義父は鈴木善幸元首相。
さらに妹は皇族に嫁がれた信子さまと、まさにスーパーサラブレッド。

“華麗なる血脈”と強力な地盤をバックに、かつてない絶対的な地位と権力を手に入れた麻生氏だが、伊達に40年以上議員でいたわけではない。

その一端が、長年通う地元の中華料理店「綏芬河(スイフンガ)」に残っていた。

帰るたびに頼むというメニューは、その名も「太楼麺(たろうめん)」!

記者:
おいしい!優しい。


店主が明かす麻生氏の意外な一面とは…

「綏芬河」店主・田中雅寿さん:
孫息子と記念に撮ってと言って。これは小学校5年生のとき。
(それ以来ほとんど会っていなかったが、成人式で)階段でばったり会って「おう!スイフンガの孫!頑張れ!」と声かけてきて…

そんな情の深さに、近付く者がみな虜になってしまうことからついたあだ名が「半径2mの男」だ。

岸田首相にも刻まれた“教訓”?剛腕エピソード

一方で、権力の頂点に上り詰めたのには、その剛腕ぶりも見逃せない。

2022年2月、麻生派の4議員が派閥を脱会した際には、麻生氏は真っ先に党の人事を担う高市早苗政調会長の元へ向かうと、こう恫喝したという。

麻生太郎氏:
うちの派閥を抜けたんだから、自民党の役職からもすべて外せ。

さらに、2020年夏に当時政調会長だった岸田文雄氏が初めての総裁選を前に支援を求めに行った際、麻生氏はその場で支援の約束をするどころか、周囲にこんな怒りを露わにしたという。

麻生太郎氏:
古賀と飯を食ったその足で俺の所に来るなんてどういうことなんだ。話に来る順番が違うだろう。

実はこの2日前、岸田氏は麻生氏と地盤を争う宿敵・古賀誠元幹事長にも支援を要請。
結果、挨拶の順番が違っただけで…

森喜朗元首相:
岸田さんと麻生さんとが話をされたと新聞に出てた。
麻生さんは本当は岸田さんでやりたかったんだと思うが(挨拶の)流れからいってダメになった。

これを“教訓”に、岸田氏は2度目の総裁選では“麻生詣で”を欠かさなかったという。

時の首相さえ胸三寸で差配してしまう。そんな麻生氏に今度は「情」で攻めてみると…


記者:
フジテレビのカンベです。
飯塚のスイフンガの親父が「体調に気をつけて頑張って」と言っていました。

麻生太郎氏:
ありがとうございます。

ついに口を開いてくれた麻生氏だったが、政治の話には応じないまま去っていった。

(「Live選挙サンデー」7月10日放送分より)

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