9年ぶりにセリが再開

福島第1原発事故の避難区域が残る福島県浪江町の漁港で、9年ぶりにセリが行われた。
漁師町の復活に向けた一歩。

4月8日、浪江町の請戸漁港で、約9年ぶりにセリを再開。

地元の漁師:
それなりに活気づいたというか、昔通りになってきた

仲買人:
懐かしい、これからまたやりましょうという気持ちにもなる

漁港はこの日を待ちわびた漁業関係者たちで活気に包まれた。
東日本大震災前は福島県有数の漁師町だった浪江町。水揚げされたヒラメやカレイは東京の築地市場などで高値で取引されていた。

しかし、震災の津波と原発事故で状況は一変。
漁に出られない日々が続いた。

それでも、震災の翌年には試験操業が始まり、復興に向けて一歩ずつ歩みを進めてきた。

漁師たちが待ち望んだセリの再開

セリが再開されるその日。
漁を終えた船が港に戻ってきた。

地元の漁師:
ナメタガレイとヒラメ少しぐらい

ーーどんなお気持ちで漁に出られた?

地元の漁師:
うれしくてしょうがなかった

これまでは水揚げした魚を漁師がトラックでほかの市場まで運んでいたが、2019年、新たな施設が完成し、この場所でセリができるようになった。

漁師・渡部貞勝さん:
ここは最高だよ、地元は

この日を待ちわびていた漁師の渡部貞勝さん。

魚にどのぐらいの値段がつくのか、期待と不安を抱えながらセリに臨む。

午前9時。セリにかけられたのは、ヒラメやカレイなど22種類。

落札価格は2割以下と厳しい現実

原発事故に伴う風評に新型コロナウイルスの影響が加わり、落札価格はほとんどが震災前の2割以下に留まった。

渡部貞勝さん:
(震災の)前と同じとは言わなくても、半分くらいまでなってもらえれば。セリの値段も魚の値段も

漁師町に立ちはだかる厳しい現実。

地元の人も待ちに待った浪江町の魚

その日の夜。地元の居酒屋「食事処いふ」では水揚げされたばかりのヒラメの刺身が並んだ。

請戸の魚が食べられる。 町民たちが待ち望んでいた瞬間。

常連客:
請戸で揚がった魚を食べられるのは最高。生まれたときから食べていたから。

常連客:
うまいものが戻ってこないと、人も戻ってこない

食事処「いふ」店主の新妻泰さん。

これまでは往復3時間かけて、いわき市の市場で魚を仕入れていた。

港の活気をもう一度

食事処「いふ」新妻泰さん:
これからホヤとかドンコのたたきとか、ほかでは食べられないドンコを刺身で食べるんだから。みんな待ち望んでるから、いつか出したい

「港の活気をもう一度取り戻したい」市場に響くセリの掛け声と新鮮な魚が、漁師町に希望の風を吹かせる。

(福島テレビ)