東京感染者“倍増”感染力強い「BA.5」どう対策?

5日、全国で確認された新規感染者数は、3万6189人。

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3万5000人を超えるのは5月25日以来です。
6月29日に2万を超えて、7月4日には2万人を下回りましたが、感染者が増加傾向にあることがわかります。そして、5日東京の新規感染者数は、5302人。

4月28日以来、5000人を超える結果に。
18日連続で前の週の同じ曜日を上回っており、6月28日と比較すると、約2倍になっています。

東邦大学感染制御学 小林 寅喆教授:
やはり、街中を見ていても、人の動きが以前のように、かなり活発化していますし、その反面ワクチンの効力というのが減弱してきている。そのようなことから、感染がおさまった状況ではないので、このように増えていくということは考えられると思いますね。

感染増加の原因は?「BA.5」への置き換わりとワクチンの減弱

感染増加の原因について、厚生労働省のアドバイザリーボードによると、理由を4つ上げています。

1つ目の原因は、「3回目ワクチンの感染予防効果が減弱している」という点。
2つ目は、「夜間滞留人口が大都市中心に増加傾向にあること」
3つ目は、猛暑日が続いていることによる、「冷房使用のため換気されにくい」といった点。
4つ目は、「BA.5系統が国内の主流となる可能性」を指摘しています。

オミクロン株はもともと、「BA.1」というものからはじまったのですが、第6波の時に「BA.1」から現在主流の「BA.2」に置き換わりました。そして、最近では「BA.5」が増加中だといいます。
後藤厚労相も「BA.5」への置き換わりが進んだ可能性があるとの見解を示しました。

その根拠がこちらのグラフになります。

スクリーン検査の結果によると、5月の中旬では「BA.1」から「BA.2」に置き換わって99.7%。さらに、5月24日から30日の間に「BA.5」が国内で確認され、そこから数字が増加傾向にあります。6月14日から20日時点では、25.1%となっています。

「BA.5」について、どこまでわかってきているのか。3つの特徴を見ていきます。

「BA.2」より感染力が高い?ゆるやかに増加していく可能性

1つ目の特徴は、「感染力」の強さ。
現在主流となっている「BA.2」よりも感染力は強いとみられています。
こちらのグラフは、「BA.5」「BA.2」増加割合の推移で、起算点はスクリーニング検査でそれぞれ初確認された週です。
4週目までのデータの比較になりますが、「BA.5」の増加の方が少し早いことがわかります。

東邦大学感染制御学 小林 寅喆教授:
感染力は、強いと考えて良いと思います。
ただ、「BA.5」もオミクロン株の中の変異株ですので、あくまでもオミクロン株であるということ。ただし、「BA.2」に比べると、感染力は1.3倍から1.4倍強いということは言われておりますが、デルタ株からオミクロン株に置き換わった時のような、急激な増加はではなく、ゆるやかに増加をしていくということが考えられると思います。

緩やかに増加していく中で、気になるのが重症度です。

重症化する可能性が高いというデータも…

WHOのレポートでは、既存のオミクロン株と比較し、重症化率の上昇は見られないとしています。
一方で、東京iCDC専門家ボードの賀来満夫座長は、「いろんな動物実験、その他でやや『BA.2』に比べて重症化が高いというデータも出てきている」といいます。

「BA.5」の感染拡大が見られるポルトガルの感染者数・死者数を比較すると、ポルトガルでは「BA.1」が主流であった時期と比べて、新規感染者数の規模は半分程度であるにもかかわらず、同程度の死亡者数の増加が見られます。
この結果から、重症化率においても注意して見ていく必要があります。

東邦大学感染制御学 小林 寅喆教授:
現時点では重症度が高い、致死率が高いというデータは、まだきちんと出ていません。
ポルトガルのデータをみますと、ワクチン接種背景などは明らかにされていませんので、重症化するかどうか、という問題は今後注視していく必要があると思います。

さらに、免疫を獲得しても、また感染してしまう可能性もあるといいます。

「すり抜け感染に警戒」ワクチン効果が薄くなる?

3つ目の特徴が、「免疫を持っていても感染する可能性がある」ということです。

アメリカのハーバード大学などの論文によると、ワクチンの接種で得られる中和抗体量が「BA.1」の3分の1程度しか増えないというデータがあります。
さらに、加来座長は「BA.2」に感染していても、「BA.5」に感染することはあり得るとの見解を示しています。

小林教授によると、新型コロナウイルスに感染して免疫を持っている、ワクチンを接種して免疫を持っているという方でも、「BA.5」はすり抜けて感染するというのです。

東邦大学感染制御学 小林 寅喆教授:
ワクチンを打って、一週間ぐらい経過し、一番抗体量が高いときというのは、感染予防効果というのはあると思いますが、それが下がってきますと、従来株のワクチンですので、だんたんと「BA.1」「BA.2」に比べて「BA.5」になると、変異が繰り返されていますのでワクチンの効果というものはかなり弱くなっていくと思います。

(めざまし8 7月6日放送)