東京・文京区の湯島聖堂で、倒れてきた看板の下敷きとなり、車いす生活となったアイドルグループ「仮面女子」の猪狩ともかさんと両親が、湯島聖堂を所有する国を相手に、損害賠償を求めていた裁判で、東京地裁は、きょう午後、猪狩さんの請求を棄却する判決を言い渡した。
この事故は、2018年4月、湯島聖堂の敷地内に設置された、高さ約2.8メートル、横約3.8メートルの立て看板が、突風にあおられて倒れてきたもので、近くを歩いていた猪狩さんが下敷きになった。猪狩さんは、大けがをして治療を受け、リハビリをしたが、両脚が完全に麻痺するなどして、車いす生活となった。
これまでに、猪狩さんは、湯島聖堂を管理する公益財団法人から和解金を受け取っているが、「看板の木製の根元は腐っていて、物理的に欠陥があった」と主張し、「看板を数十年間、管理しないまま放置し、十分な安全対策を怠った」として、合わせて1000万円の損害賠償を求めて、国を提訴していた。
きょうの判決で東京地裁は、「看板は公益財団法人が管理していたもので、国が管理していたとは認められない。湯島聖堂の敷地に看板を設置していたことなどに瑕疵はなかった」として猪狩さんらの請求を棄却した。
(画像は、猪狩さんが下敷きになった看板・2018年4月)