両手でピース42歳の男逮捕

警察車両の中で、男は突然カメラに向かって両手でピースサイン。警察官に両脇を抱えられ、車から出る際には、何かつぶやき笑みを見せながら警察署へと入って行った。

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ネットカフェに5時間立てこもり

男が立てこもり事件を起こしたのは、埼玉県川越市のインターネットカフェだった。

逮捕監禁の現行犯で逮捕されたのは、住所、職業不詳の長久保浩二容疑者(42)だ。発生は21日午後10時過ぎ、カッターナイフを持った長久保容疑者が22歳のアルバイト店員の女性を人質に取り、個室に立てこもった。

「女性店員が客のいる個室に行ったが戻ってこない」という110番通報を受けた警察が到着すると、長久保容疑者は「警察うるせぇ!このやろう!」などと言って個室から出てこなかったという。

店舗を利用したことのある客は「店内は結構、密室的な感じですよね。入り口からすぐ行くと鍵付きの個室があるところがあって…」と店内の様子を教えてくれた。

長久保容疑者はこのネットカフェに21日午前に来店。その際、会員カードを提示していた。

立てこもっていたのは鍵がかかる個室で、窓がなく外からは中の様子は分からない。警察はインターホン越しに説得を続けたという。

10年前は信金に立てこもり

実は、長久保容疑者が立てこもり事件を起こしたのは、これが初めてではなかった。

10年前の2012年。長久保容疑者は愛知・豊川市の信用金庫で職員ら5人を人質に取り、懲役9年の判決を受けている。

この事件の裁判中、長久保容疑者はFNNの記者と手紙のやり取りを行い、身勝手な犯行の動機を綴っていた。

「私の原動力、それは、国への不信と不満、これに尽きます。純粋に国の将来を考えての行動なのに、自暴自棄と言われるのは心外なんです」

面会で語った憧れの人物

手紙のやり取りをした記者は長久保容疑者と2度にわたり面会。その際、長久保容疑者はこう話したという。

「1979年の大阪市の三菱銀行立てこもり事件の梅川昭美容疑者に憧れていると話していました」

長久保容疑者が名前をあげた梅川容疑者は、1979年に大阪市の三菱銀行に客と行員を人質に立てこもり、警察官ら4人を殺害、その後射殺されている。

長久保容疑者の印象について面会した記者は「自分の存在を大きく見せたい、目立ちたいという思いが根底にあるんだと思います。今回移送されるときもピースサインをしていたんですが、それもその虚栄心のせいだと思います」と話した。

今年4月に出所したばかりの長久保容疑者はわずか2カ月半ほどで再び立てこもり事件を起こした。そして今回の事件発生からおよそ5時間が経った午前3時17分。

記者:「現場で動きがありました。男が立てこもっているインターネットカフェの前でブルーシートが広げられました」

捜査員が個室に突入し、長久保容疑者の身柄を確保。逮捕直後、警察車両に乗せられた長久保容疑者は何を思ってか目を見開き、口は開いたままだった。人質の女性も無事に保護された。けがをしていたが、命に別状はないという。

逮捕後の調べに対し「自分の人生に嫌気が差した」と容疑を認めている長久保容疑者。「事件を起こし、刑務所に戻りたかった」との供述もしているということだ。

(「イット!」6月22日放送より)