2022年5月、私たちの避難行動を左右するかもしれないデータが公表された。内閣府が全国の自治体を対象に、防災・危機管理部局に配置された女性職員の割合を初めて調査したものだ。

調査の結果、女性職員の割合は都道府県で平均11.2%、市区町村では平均9.9%にとどまった。さらに、61.9%の市町村では1人もいなかった。福島県内では35市町村で女性職員が1人もいない。国は全体的な底上げを図る方針だという。

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東京大学客員教授・防災マイスター 松尾一郎さん:
市町村の防災担当は、住民を災害から守る役割がある。助けるべき人は男性も女性も、お子さんもいる。だから対応する防災職員も、男女の分けなくいるべきです。最近、全国のいくつかの自治体を見ると、女性職員の方は少しずつ増えてきていると思います。政令指定都市の福岡市は、ここ2代ほど女性の危機管理課長が生まれていますから、行政も意識的に人事をされているのかと思います

「女性職員は欠かせない」避難経験を漫画に

避難を経験した女性から「女性職員」の存在に期待する声があった一方、自治体からは配置する難しさが聞かれた。多くの自治体で防災部局に女性職員がいないとする調査結果について…。

イラストレーター・物江麻衣子さん:
衝撃でしたね。実際に災害が起こった時、男女差の面からケアが出来ていないところが出てくるんじゃないのかなと、不安はあります

福島市に住む物江麻衣子さんは、イラストレーターとして企業広告を手掛けている。東日本大震災による津波で当時の自宅が流され、2019年の台風でも自宅が水没したことから、早めの避難を心がけるようになった。

娘を妊娠していた2年前の大雨の際には、ビジネスホテルへの避難も経験した。その経験や女性の被災体験などを、数年前から4コマ漫画で紹介している。

【生理用品を配る男性(4コマ漫画より)】
「女性の方お集まりください」「はい、どうぞ」

【受け取った女性(4コマ漫画より)】
「…1個?」「女の人が配るとか?いっそトイレに置いておくとかね」

イラストレーター・物江麻衣子さん:
(避難所で)おじいちゃんが生理用ナプキンを女性の皆さんに配るんですけど、1個しか配られなかったんですね。でも違うじゃないですか。女性ってやっぱり一周期分欲しいわけなので

避難所などでは、男性職員が気付きにくい配慮や気配りが求められるケースも多いため、女性職員の存在が欠かせないと実感している。

イラストレーター・物江麻衣子さん:
男性職員でも知識として、女性のケアとか対処を知っていて対応することはもちろんできると思うんですけど。やっぱり女性の職員がいたら「わかるよ」と、ひとこと言ってくれるだけで「あ、わかってくれた」と思うんですよね

”女性目線”の防災計画が必要 配属希望者支援へ

女性職員の配置に期待する声がある一方、防災部局に福島県内で最も多い22人の職員を配置するいわき市でも全員が男性で、過去5年間のうち女性が配置されたのは2021年度だけ。

いわき市職員課・大平賢一課長:
防災部局は当然、体力的にもきついものがあるということもあり、特に子育て世代や要介護者がいる職員には配慮してきたというところがあります

残業が多く深夜でも呼び出しがある防災部局は、女性職員から敬遠される傾向にある。その中で、いわき市は災害時に支所ごとに「地区本部」を設置し、支所の職員が避難所の運営などを担う体制を整えてきた。

いわき市職員課・大平賢一課長:
地区本部には女性職員も非常に多く配置されていまして、現場からの意見も取り入れながら行ってきました

実際に支所の女性職員が、避難者の要望に応じて生理用品を用意した事例もあることから、今後はさらに女性職員が大切になると感じている。

いわき市職員課・大平賢一課長:
防災などの企画・立案の側に女性の視点がある方が、政策の多様性あるいは問題を見る上での多角的な分析という点でも、よりあるべき姿というか、必要なことだと考えています

いわき市は今後、女性職員のキャリアやライフステージに応じた適切な配置をさらに検討する。激甚化・頻発化する災害対応に貢献したいと、少しずつ増えてきた配属希望の女性職員をサポートする予定だ。

東京大学客員教授・防災マイスター 松尾一郎さん:
避難ひとつ考えてみても、避難所のトイレ問題、女性用品などの物資、授乳環境、プライバシー問題など。事前の避難計画や避難所の運営などにおいて、女性目線で改善すべきことは多い。女性の声を活かすことが防災にも求められている

「災害に屈しない」今備えるべき対策

一方、これからの防災・減災社会を築いていくための大きな方向性が示された。6月7日、政府は経済財政運営の基本指針「骨太の方針」を決定。この中で「災害に屈しない国土づくりを進める」と強調した。

流域で暮らすあらゆる関係者が一体となり、洪水対策を進める「流域治水」の推進や、松尾氏が提唱してきた災害が起こる前に”いつ・誰が・何をするのか”を予め決めておく「タイムライン防災」の充実強化が盛り込まれた。

今後、具体的な動きが加速していくとみられている。

東京大学客員教授・防災マイスター 松尾一郎さん:
これは国としての概算要求に関わる。特に防災について手厚く書かれていると思います。私が8年間進めてきた「タイムライン防災」は市町村長の判断を後押しする。それを財政面、人材面でやっていこうという事です。今後もみなさんと推進していきたいと思います

(福島テレビ)

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