宮城県内で最大震度6強を観測した2022年3月16日の地震から、3カ月。被害は宮城県総体にも影響を及ぼしている。水泳競技では大会で使用予定だったプールの復旧が間に合わず、高校生たちはさまざまな対応を強いられている。

最大震度6強の地震から3カ月…水泳は25mのサブプールに変更

宮城県利府町にある、県総合運動公園総合プールを訪れた。天井を見ると、一部が大きく剥がれ落ち、鉄骨がむき出しになっている。宮城県スポーツ振興課・ 総括課長補佐の武田佳奈恵さんは、「飛び込み台の上の方の天井が崩落するという被害があり、今も調査が続いている状況で、そのままの状態になっている」と話す、

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3月16日の被害から3カ月が経とうとしている今なお、天井板は無残に散らばったままだ。観客席上の釣り天井もたわんでいて、安全性が確保できていないとして、メインプールでの宮城県総体開催は見送りとなった。

宮城県スポーツ振興課・武田佳奈恵 総括課長補佐:
メインプール…ここでは開催できないので、同じ建物内にあるサブプールを案内

代替会場となるサブプールを見せてもらうと、メインプールよりかなり小さい。25メートルプールなのだ。本来であれば、50メートルのメインプールを使用してタイムを計測する。その後に臨む東北大会も、その先の全国大会も、使用されるのは50メートルプールだ。

50メートルプールが25メートルプールになることで、選手にはどのような影響があるのだろうか。

東北学院高校水泳部・佐藤李玖都 主将(3年):
長水路だと50メートルプールなので15往復。こっちだと25メートルなので30往復。個人的なことですがターンが苦手なので、メインプールの方がターン少なく済むので向こうがいいと思うことが多い

普段の練習から、メインプールを使用していた東北学院高校。26人と部員が多く在籍しているため、地震以来、練習場所の確保にも追われたという。

東北学院高校水泳部・建部祥吾 監督:
スイミングクラブの営業時間外を借りたり、なんとか週5回練習してきた

異例ともいえるサブプールでの大会に戸惑いはあるものの、選手たちには集中してレースに臨んでほしいと監督は期待を寄せる。

東北学院高校水泳部・佐藤李玖都 主将(3年):
3年生最後の県総体でこっちのプールでやると聞いた時は少しびっくりして、メインプールでやりたかったというのはあったが、しっかりこっちのプールでも結果出せるよう頑張る

メインプールについては、今なお被害状況の調査が完了しておらず、県の担当者は今年度中の復旧を目指すとしている。

水球会場でも被害 …練習は「足がつく」試合での動きができず

一方、水球会場として使用予定だった宮城県仙南総合プール。こちらも2022年3月の地震で、可動床式の水球プールが損傷したため、県総体は仙台二高のプールで開催されることになった。そのため、選手たちの練習に大きな影響が出ている。

練習を県仙南総合プールで行っていた柴田高校水球部。水球競技は2メートル以上の水深があるプールで行われるが、地震以降は、水深1.4メートルほどの学校のプールでしか練習ができなくなり、本来するべき練習ができなかったという。

柴田高校水球部・友田波音 主将(3年):
浅いプールでは足がついてしまうので、実際に試合でする動きができない。足がついてしまう

思うような練習メニューをこなせない状況だが、選手たちは現状を受け止めている。

柴田高校水球部・友田波音 主将(3年):
「3年生で頑張ろう」という時に壊れてしまって、残念な気持ちがあるけれど、ここで挫けてしまうと全国大会にも行けない。諦めずに今はやれるだけのことを精一杯やる

コロナ禍に加え地震と、さまざまな試練に見舞われながらも前を向く3年生。一刻も早い復旧が待たれる。

(仙台放送)

仙台放送
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