これからの暑い季節は、生ゴミなど嫌な臭いのゴミ処理にうんざりする人も多いだろう。そんな悩みをクールに解決してくれそうなゴミ箱が登場している。

(出典:中西金属工業株式会社)
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大阪に本社がある中西金属工業株式会社は、マイナス11度でゴミを凍らせて嫌な臭いを抑えるゴミ箱、「CLEAN BOX」を開発し、先行予約販売を行っている。

普通のゴミ箱に生ゴミを入れておくと、雑菌の増殖や腐敗の進行によって嫌な臭いが発生するが、CLEAN BOXはゴミを凍らせることで常温と比較して臭いを2万6000分の1に抑えたという。
これなら生ゴミはもちろん、使用済みの紙オムツやペットシートなど、臭うゴミの扱いはずっと楽になりそうだ。

(出典:中西金属工業株式会社)

さらにゴミだけでなく、タオルや着替えのTシャツなどを冷やしておいたり、化粧品やカメラのフィルムを保管するなど、アイディアしだいで様々な使い方ができるという。

(出典:中西金属工業株式会社)

CLEAN BOXの開発は、スタッフの一人が言った「生ゴミをゴミの日まで冷やして保管する」という一言がきっかけになり、2017年8月から始まった。
調べてみると同じようなことをしている人は他にもいたが、食品と生ゴミを同じ場所で保管することに抵抗がある人もいることから、さまざまな用途に使える「冷やすゴミ箱」の発想に至ったという。

こうして2019年に100台限定で発売した初代のCLEAN BOXはたちまち完売。

初代CLEAN BOX(出典:中西金属工業株式会社)

さらに容量を増した新型機を開発し、ことし4月までクラウドファンディング行ったところ、4000万円を超える応援が集まり、「こういう商品を待ってました!」など期待の声が400件近く寄せられたという。

右が新型(出典:中西金属工業株式会社)

そして現在、CLEAN BOXは二子玉川 蔦屋家電とビックカメラ有楽町店で実機を展示し、予約を受け付け中で7月中旬から順次発送予定。
これはクラウドファンディングと同じ製品で、サイズは高さ690×幅230×奥行き443mm。
容量は20リットルで、電気代は一日9.2円程度。本体価格は4万8180円となっている。

(出典:中西金属工業株式会社)

開発では「おもらし」対策に苦悩

特に夏場、ゴミの臭いに悩んでいた人にとってこの製品は朗報になりそうだ。
世界初ということで開発で苦労した点はどんなことなのか?また、一度ゴミを入れたCLEAN BOXに、ゴミ以外を入れるときは気をつける点はあるのだろうか?

CLEAN BOX開発チームを率いた、NKC Business Design Centerの長崎陸さんに聞いてみた。

――仕組みは冷蔵庫を参考にしたの?

そうですね。
最初は「冷蔵庫ってナニ?」みたいなところから始まって、分解したり、文献を当たったりして基本的な構造を調べました。
 

――開発で苦労した点は?

いくつかの難題があったんですが、まずはじめは冷蔵庫や冷凍庫を一緒に共同開発してくれる社外のパートナーを探すことに非常に苦労しました。
冷蔵庫や冷凍庫で使われているのは昔からあるテクノロジーなんですが、その技術者は大手家電メーカーなどに、囲われてしまっているんです。
結果的にいろんなご縁で巡り合うことはできたんですが、しっかりしたモノ作りができて、大手に所属していないという、特殊な立ち位置の方に巡り会うことが非常に難しかったですね。

いざ作っていく過程では「おもらし」対策に苦労しました。
冷蔵庫はキッチンや土間のたたきなどに置かれるので、結露しても大きなクレームにはならないんですが、カーペットなどの上だと3~4桁万円の賠償問題になる可能性があるので、結露水の「おもらし」対策が大変でした。
穴がなければ水は漏れませんが、穴がないとコンプレッサーを冷却する風が入らなくなってしまいます。この相反する要求をどうクリアするかに一番苦労しました。
 

――結局、穴は開けた?

初代と量産型で若干構造は異っていますが、初代では底面のキャスターの周りに特殊な形をした穴を開けることで、水をためるダム機能がありながら風を入れることができる構造になっています。
 

――この商品が「売れる!」「イケる!」と思ったのはどんなとき?

2017年の8月に着手して9月くらいには勘所は得ました。
どういった冷蔵庫・冷凍庫がいいのか工作するのと同時に、オーストラリアのトラックの運転手さんとかが使っている冷凍庫を5台ぐらい仕入れて、色んな人に使ってもらったんです。
音楽好きで耳が敏感な方、ペット飼っている方、赤ちゃんを育てている方、高齢者の方とか。そうしたら、赤ちゃんを育てている方が気に入って、もう未だに返してくれないんですよ。

あと、ゴミ捨てをジャンケンで決めていたのがなくなったとか、手で触っても凍っているからシャリッとして嫌じゃなくなったとか、こんな話を聞いた時にこれはいけるなと思いました。
 

「ゴミ以外」を入れるときの注意点

――「ゴミ」を入れたCLEAN BOXに「ゴミ以外」を入れる注意点は?

やっぱり清掃をしっかりしていただくというところに尽きると思います。
構造上、どうしても中に霜が付くんですが、生ゴミや汚物ゴミのときに結露したものが衛生的であるとはとても言い切れません。
電源を一旦切って、凍った霜を全て取り、消毒していただいてから使われるのがいいかと思います。

――スペックをよく見ると初代は「マイナス10度」で新型は「マイナス11度」になっているのはなぜ?

マイナス10度を下回ると、オムツの臭いが がくんとしなくなるんです。もちろん低ければ低い方が臭いは収まりますが、電気代がかかりますし、振動も増えます。
そこで初代ではマイナス10度をラインにしたんですが、集まった意見を考慮し、設計を新しくしたところ、新型はファンレスにできました。
ファンがないため静かで消費電力も騒音も抑えられたので、じゃあ出力を高めてもいいじゃん、ということで性能を高めたんです。
 

――やっぱり冷蔵庫とおなじように夜中に唸ったりするの?

コンプレッサーが震えますので、いわゆる冷蔵庫と同じような音がします。
 

――今後、CLEAN BOXはどうなっていく?

CLEAN BOXは類例が全くない、新しい市場を開拓していく商品ですので、スピード感を持ちつつも、リーチ(広告に触れるユーザー数)を広げていくのが最優先だと思います。

まずは、自分たちがクラウドファンディングで得た「はずみ」をベースに、本当に事業活動に耐え得る市場規模があるのかどうかを客観的に見ていく必要があると思っています。
例えば同じようなアジア圏ですとか、比較的低緯度で都市生活をしている国々は、文化は違えど同様のニーズがあるだろうと思いますので、そこを積極的に探していきたい。あとは、これからニーズを調べなければなりませんが、いわゆる施設に向けた「to B」の展開も考えていきたいと思っています。

(出典:中西金属工業株式会社)

CLEAN BOXは、7月20~21日に大阪市で開かれる「保育博ウエスト2022」でも実機が展示される予定だという。
ゴミの日まで、どうしても臭いが気になってしまう人は、これがあれば悩みが一つなくなるかもしれない。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。

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