日本赤軍の元最高幹部で、国際テロの「魔女」と呼ばれた重信房子受刑者が28日、服役している都内の施設から出所する見通しだ。刑期を終え、娘の重信メイさんらに付き添われる形で出所するという。

国際テロ組織「日本赤軍」リーダー 逮捕から22年

左翼グループの赤軍派幹部だった重信受刑者は、パレスチナ問題に傾倒して1971年にレバノンへ出国し、「日本赤軍」を結成してリーダーとなった。

その後、日本赤軍は、1972年に26人が死亡したイスラエル・テルアビブのロッド空港での銃乱射事件、1974年にオランダのフランス大使館を武装占拠したハーグ事件など、中東や欧州などで彼らの言う“武装闘争”、いわゆる“テロ活動”を展開し、過激な国際テロリスト集団として世界中を震撼させた。

逮捕後、東京に移送される重信受刑者(2000年)
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ハーグ事件で国際手配されていた重信受刑者は、その後、日本国内に潜伏していたことが判明。2000年11月に大阪府内の路上で歩いているところを、大阪府警により逮捕された。逮捕後、東京駅に到着した重信受刑者は報道陣のカメラを前で、親指を立てて上に向ける“サムズアップ”のポーズをとった姿が印象的だった。

逮捕後の調べで、このポーズについて捜査員から聞かれると「元気であるということを示すためのものです。普通は片手でポーズするんですが手錠をされていたので両手をあげた」と答えたという。

その後、2001年4月に開かれた一審・東京地裁での初公判で、重信受刑者は「生き様としては日本赤軍兵士であり、世直しを求める一市民です。生業としては、失業中です」と述べ、逮捕後に宣言していた日本赤軍の解散を改めて意見陳述でも表明した。

裁判で重信受刑者は一貫して無罪を主張したが、2006年2月の判決で、東京地裁は「誠に卑劣で身勝手かつ自己中心的な犯行」と断罪。ハーグ事件への関与などを認定し、重信受刑者に懲役20年の実刑判決を言い渡した。その後2010年7月に、最高裁は重信受刑者の上告を棄却する決定をし、懲役20年の判決が確定した。

「グループの責任者として責任は痛感している」

「特別改善指導」を行った片山徒有さんはFNNの単独取材に応じた

重信受刑者に関して「矯正としては十分役目を果たした、重信さんの今後を信頼したい」と話す人がいる。服役中の重信受刑者に「特別改善指導」を行った片山徒有さん(「あひる一会」「被害者と司法を考える会」代表)だ。

片山さんが、重信受刑者のために作った「特別改善指導」のメモ

片山さんは1997年、当時8歳だった息子の隼君を交通事故で亡くしたことがきっかけとなり、被害者支援の団体「あひる一会」を設立。その後は全国の刑務所などで受刑者に対して矯正教育も行ってきた。

片山さんが重信受刑者に「特別改善指導」を行ったのは、2021年の7月~9月の3ヶ月間。重信受刑者のために作ったレジュメを元に、計9回にわたって指導が行われた。

片山徒有さん:新型コロナウイルスの感染防止も考慮して、広い部屋で2メートルから3メートル離れて行われました。一般的に収容者の方は布製マスクをされていることが多いんですけれども、重信さんの場合は、支援者の方からの差し入れで、不織布の清潔なマスクを身に着けておられたのが印象的でした。服装も非常に清潔感があるもので、薄いブラウンのシャツにスラックス姿で、小ざっぱりとした動きやすいような洋服だったと思います。

指導の中で、裁判で一貫して自らの関与を否定していたハーグ事件などに関して、どのような話をしていたのか。

片山徒有さん:パスポートを勝手に使ってしまった件については「大変深く反省をし、被害者の方には心よりお詫びしたい」ということは繰り返しおっしゃっておられました。一方でハーグ事件などに関連して、起訴されて有罪になったことについては、色々な思いがあるということは想像がつきました。「グループを率いていた責任者として、責任は痛感している」とおっしゃっていました。他方で、刑事裁判に問われた事については、一貫して否定をされているという印象がありました。

多くの方が亡くなってしまったことについては、「反省の態度を示し、深く心を痛めていた」とも話した。

「穏やかに生活を送りたい」重信受刑者が語った今後の生活とは

重信受刑者は、今、出所後の生活について”不安”を抱いているという。

一方、施設で20年の月日を過ごしたことから、出所後の生活には不安を抱いていたという。

片山徒有さん:例えば電車の乗り方とか銀行のATMとか様々なことが変わっていますし、インターネット社会もおそらくは未体験だと思いますね。スマートフォンもテレビでしか見たことがないと言っていました。

施設では新聞は契約した一紙のみ、テレビも視聴できるチャンネルと時間が決まっているため多くの情報に接することは出来ない。そうした中でも、重信受刑者は中東などで女性や子どもたちが戦争の被害に遭うニュースに触れた際には、「他人事とは思えない程、心を痛めた」と話していたという。

片山徒有さん:平和を愛する非常に聡明で純粋な方なんだなっていうことは伝わってきました。重信受刑者も当時は決して過激派ではなくて、平和的な活動をしたいという風に思っていたと伺いました。今後も平和的な活動を続けながら、ご体調のことも含めてだと思いますが、穏やかに生活を送りたいっていう風に言っていました。

出所後は、癌の治療・リハビリが続いていることや金銭面での不安もあるため、娘の重信メイさんや支援者らに助けられる形で、生活していく予定だと話しているという。28日、出所予定の重信受刑者。逮捕されてから二十数年の月日を“塀の向こう側“で過ごし、罪を償った重信受刑者が改めて何を語るのか、注目される。

(フジテレビ社会部・司法クラブ 熊手隆一)

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