プリンやチョコにかき氷、スイーツの新商品を相次いで発売してきた鳥取砂丘前の専門店が、今度はサブレを発売する。砂丘にこだわったという新商品に、コロナ禍で落ち込んだ地元観光地復活の願いを託している。
“砂”を連想するサブレ 食で魅力発信
砂丘の砂の模様が描かれた缶の中から現れた、ラクダのサブレ。「サブレ」はフランス語で「砂に覆われた」という意味で、サクサクとした食感が砂を連想させることから、その名がついたとも言われている。
この記事の画像(12枚)実際に食べてみると…。
本田航太記者:
ほろほろと口の中でほどけていきます。缶もサブレの食感も、砂丘での提供にぴったりです
販売するのは、鳥取砂丘近くのスイーツ専門店「Totto PURIN」。経営者の川村諒志さんは、鳥取の魅力を食を通じて伝えようとしている。
これまでに県産の材料にこだわったプリン、夏場を中心としたかき氷、そして生チョコまで、あの手この手で砂丘を盛り上げてきた。そんな川村さんが次に取り組むのが、このサブレ。
川村諒志さん:
サブレの語源を知っていたので、「砂丘・砂」と「サブレ」をストーリーとして紐づけられるのではと思った。その土地でしか食べられないものや、その地域で見出せるものを意識してメニューを作っている
その土地ならではの思い出を…観光客に好評
川村さんが着目したのが、商品と観光地との繋がりを求める消費者心理だ。
ーーどんなお土産を選びますか?
東京からの観光客:
「その土地にしかないもの」を基準に選んでます。ぱっと見のパッケージにひかれたら買っちゃいますね
大阪からの観光客:
私はインスタ映えするものばっかり選びます。一目見て観光地が分かるようなお土産を買います
おいしいだけでは売れない…。商品パッケージやお菓子の形・食感などで砂丘を連想してもらいたい。その土地ならではの思い出を、味以外の付加価値として表現する。
大阪からの観光客:
このラクダ、普通に砂漠にいそう。インスタ映えでおいしそうだし、アイシング(砂糖のコーティング)が綺麗にできていて、かわいいなと思う
伝統産業とコラボ 売上の一部を寄付
鳥取らしさは他にもある。
川村諒志さん:
サブレ缶を開けていただくと、中に因州和紙の置き紙を入れています。サブレとのコラボで少しでも応援できたら
商品のブランディングを目指し、因州和紙とのコラボ。
県東部の伝統産業である因州和紙は、最盛期の1970年前後には生産者が200を数えたが、和紙の需要減少にともない今は20社ほどに。苦境に立つ生産者を支援しようと、サブレの売上の一部を寄付することとしている。
そして、夏場にかけて本格化する観光シーズン。近隣県との観光キャンペーン再開も追い風に、この新商品で苦境に立つ観光地・鳥取砂丘の復活に期待をかける。
川村諒志さん:
ゴールデンウイークも多くのお客さまに来ていただいて、やっと本当にお客さまに来てもらえる時期になったかなと。今後も鳥取県産の素材を生かした新しい事業をスタートできればいいなと思う
このサブレは専門店での店頭販売の他、インターネットでも販売されている。
(TSKさんいん中央テレビ)