欧米を中心に「サル痘」の患者の報告が相次ぐ中、後藤厚労相は「発生動向を監視し、必要な対応をとりたい」と述べた。

「監視し対応とる」

後藤厚労相:
サル痘については、4類感染症として全数届けの対象となっているが、日本国内での感染は確認されていない。発生動向を監視し、必要な対応をとってまいりたい。

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天然痘に症状が似た「サル痘」は、本来、中央・西アフリカで確認されている感染症だが、5月に入って欧米などを中心に相次いで感染が確認されている。

後藤厚労相は、自治体や医療機関に対し、サル痘が疑われる患者がいた場合は必要な報告をするようあらためて依頼したと明らかにした。

流行地での野生動物との接触は避ける

内田嶺衣奈キャスター:
アメリカの大学病院で新型コロナウイルスと向き合っている内科医の山田悠史先生に聞きます。いま、サル痘についてはどのようなことが分かっているのでしょうか?

マウントサイナイ大学病院・山田悠史先生:
サル痘は主にサル痘ウイルスに感染した動物からヒトに感染することのあるウイルス感染症で、発熱や皮膚の発疹などの症状が2週間ほど続くことがわかっています。

多くは軽症に留まるものの、致死率は1~数パーセントに及ぶ可能性もあり、軽視もできない感染症です。

これまでもアフリカの国で年間1000名を超える単位での報告がありますので、感染者数の意味では特別に大規模な報告がされているわけではありません。

ただ、アフリカ渡航や動物との接触とは関連のないところで連続的に感染者が報告されるのは初めてのことです。これまでもヒトからヒトへの感染は報告されていましたが、それが増加しているのではないかということで懸念されています。

現在確認されている感染経路については、性交渉に関連した感染伝播が報告されています。

逆に基本的には感染者との濃厚接触がなければ、ヒトからヒトへの感染は起こりにくいと考えられていて、新型コロナのように次から次へと容易に感染が広がる懸念は低いと考えられています。ただ、感染経路については全てが明らかになっているわけでもないので、今後も知見を積み重ねていく必要があると考えます。

内田キャスター:
感染者が健康を回復するためにどのような治療が行われているのでしょうか?

マウントサイナイ大学病院・山田悠史先生:
多くの感染者は軽症であり、特別な治療を要さず回復していきます。

残念ながら今のところ有効性の確立したウイルス治療薬はありません。
ただ、有効性が期待されている治療薬はいくつかありまして、重症者に対しては今後そのような治療が行われていく可能性があると思います。

内田キャスター:
予防についてはいかがですか?

マウントサイナイ大学病院・山田悠史先生:
日本国内では個人レベルで特別な対応は必要ないと思います。
今のところ、このウイルスは、ヒトからヒトへの感染は感染者との性交渉などによる接触感染、大きな飛沫による飛沫感染が考えられています。

そのため感染が複数報告される地域では、手洗いを中心とした接触感染予防策、マスクを中心とした飛沫感染予防策が有効と考えられます。

また、動物からヒトへと感染するウイルスなので、アフリカなどの流行地へ行く際には、むやみに野生動物と接触することは避ける必要があります。

内田キャスター:
新型コロナウイルスもそうですがむやみに恐れるのではなく、正しい知識を身につけた上で過ごしていくことが求められているように思います。

(「Live News α」5月24日放送分)