5月16日午後3時に始まった朝鮮中央テレビの放送。マスク姿で現れた金正恩総書記は席に着き話し始めると、激しく手を動かすなどイライラしている様子。

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理由は北朝鮮内で感染が拡大しているとみられる新型コロナにあった。

北朝鮮で発熱120万人 金正恩氏が責任者を叱責

朝鮮中央テレビ:
敬愛する金正恩同志が協議会を指導しました。内閣と保健医療部門の無責任な活動態度と、組織・実行力について強く批判しました。

5月15日に行われた対策会議で、金総書記は「医薬品の供給不足が解消されていない」として、責任者らを激しく叱責。医薬品の供給に軍を投入する特別命令を出した。

北朝鮮メディアによると、5月15日新たに約39万3000人もの市民に発熱が確認され、8人が死亡。発熱した人の数は、4月下旬からこれまでに約121万3500人に達している。

会議の後、金総書記は薬局に移動。空になった棚を指さすなど直接指導する場面も見られた。

さらに、別の薬局では自ら薬を手に取り、薬の管理を徹底するように幹部に伝えた。

「塩水のうがいで完治」異例の特別番組で民間療法

この6時間前の午前9時。朝鮮中央テレビで異例ともいえる特別番組の放送があった。

その中で伝えられたのは、コロナから回復したという人へのインタビューだった。

コロナから回復したという人:
部屋をアルコールで消毒して、ヨモギを燃やし、換気をすると大丈夫になりました。

コロナから回復したという人:
ショウガ汁や熱いお湯を飲んで、塩水のうがいを継続したら全て治りました。

紹介されたのは、“民間療法”ともいえる治療方法。

先週、初めて感染事例を公表するまで“感染者ゼロ”を主張してきた北朝鮮。それが一転、金総書記が「悪性感染症の流行が建国以来の大動乱になっている」と述べるなど、危機感を強めている。

(「イット!」5月16日放送)