マリウポリの制圧を宣言したロシアが、ウクライナ第2の都市ハルキウへの攻撃を強めている。住宅街でマンションにミサイルが撃ち込まれる瞬間を日本人写真家がカメラに捉えていた。
この記事の画像(45枚)ハルキウ取材中 目の前のマンションにミサイル直撃
ウクライナ北東部の都市ハルキウ。4月21日、日本人写真家の八尋伸さんと伊藤めぐみさんが車で走行中のことだった。
市民の姿も見える住宅街で、マンションの立ち並ぶ角を曲がった瞬間、マンションにミサイルが命中した。
爆発音と共に目の前のマンションから煙が吹き出し、破片が飛び散る様子が映っていた。
車が建物に近づくにつれ、マンションから飛び散った破片が車体に降り注ぐ。
同乗者の「急げ!急げ!こけるなよ」との声も入っていた。
爆音がとどろく中、建物の陰で急いで車を停める。
コンクリートの建物内に逃げ込むようすも。
この映像を撮影したのは報道写真家の八尋伸さん。
この日は市民に物資を運ぶ人道支援団体と行動を共にしていた。
支援先で女性に話を聞いているさなかにも爆発音が…
ハルキウで暮らす女性:
今、聞こえましたか?
小児まひで寝たきりの娘がいるという女性。爆発音におびえていた。
そして物資を運び終えた帰り道。同じエリアのマンションにミサイルが撃ち込まれたのだ。
「安全なところに隠れましょう。ちくしょう。どうなっているんだ。ばかやろう」物資支援団体のスタッフに誘導され逃げ込んだ建物内は簡易なシェルターのようになっていた。
“制圧宣言”のマリウポリではロシア化教育始まる
一方、ロシアが制圧を宣言したマリウポリでは…
Zの文字が書かれたロシア側の戦車が砲撃した直後、ウクライナ側の反撃で戦車は爆発と共に炎に包まれた。
マリウポリの市長顧問がこの動画をSNSに投稿したのは日本時間の22日午後4時半ごろ。マリウポリ市長は「まだ攻撃が続いている」と訴えた。
マリウポリ市・ボイチェンコ市長:(21日)
現時点ではマリウポリの製鉄所に閉じ込められた市民を避難させる手段はない
そのマリウポリで新たに確認されたのが集団墓地だ。3月19日には何もなかった空き地に、一週間後には2列の穴が掘られ、4月3日には4列に増えていた。
1列の長さは約30メートル。穴はロシア軍が市民の遺体を埋めるために掘ったものとみられ、マリウポリの市長顧問は「遺体を隠そうとしている。戦争犯罪の証拠だ」と強く非難している。
マリウポリのロシア側が支配する地域では、学校が再開された。一見侵攻前と変わらない授業風景に見えるが、使われているのはロシアが提供した教科書。
壁に貼られたポスターには「祖国のために!ロシアのために!ドンバスのために!」と書かれていた。ロシア側はこうして市民のロシア化を進めている。
次の焦点はウクライナ東部ドンバスか
プーチン大統領はこの後、何を狙うのか?答えは次の発言の中にあった。
プーチン大統領:(21日)
ドンバスの人々の平和な生活のため、真のヒロイズムを示し、犠牲になった同志たちの記憶を長く刻み続ける必要がある。
ロシア軍は近くウクライナ東部ドンバスでの本格的な攻撃を始めると見られる。この地域は平地が多いことから、アメリカメディアは「大規模な戦車での戦いになる」と伝えている。