私がお伝えしたいのは「来月投票のフィリピン大統領選麻薬戦争への裁きは?」です。
現職のドゥテルテ大統領は麻薬犯罪容疑者への人道上の罪の疑いで、ICC=国際刑事裁判所の
捜査対象になっています。ほかの候補が捜査に協力を表明する中、支持率首位でドゥテルテ大統領に近いマルコス氏(64)は、捜査協力に消極的です。

ポイントはこちら!「ドゥテルテ大統領退任後の訴追は?」注目です。

【注目ポイント・記者解説】

オランダに所在するICC=国際刑事裁判所は、2021年9月、ドゥテルテ現大統領が主導する違法薬物の強硬な取締りについて、「『麻薬戦争』と呼ばれる形で『人道に対する罪』にあたる殺人が行われたと判断する合理的な根拠がある」として正式な捜査を検察官に許可しました。
しかしフィリピンはすでにICCから脱退していて、フィリピン政府としては、ICCから脱退している以上、ICCに管轄権はないという主張をしています。

マルコス氏の対抗馬は、世論調査で2位のロブレド副大統領で、ドゥテルテ氏の麻薬戦争を政権内から批判してきた人物です。
ICCの捜査について、「オープンかつ透明性を確保する」と主張し、ほか多数の候補者もICCへの再加盟と捜査への協力を表明しています。

一方で、支持率で独走しているマルコス氏はドゥテルテ氏の長女で副大統領候補のサラ氏と連携、ドゥテルテ氏が率いる与党もマルコス氏支援を表明しています。

新大統領は誰になるのか。マルコス氏ではない候補者が当選した場合、選挙後にドゥテルテ現大統領が訴追される可能性もゼロではなくなってきます。
今回の選挙戦は、現職大統領の去就を左右するものという意味でも注目されています。

百武弘一朗
百武弘一朗

FNN プロデュース部 1986年11月生まれ。國學院大學久我山高校、立命館大学卒。社会部(警視庁、司法、宮内庁、麻取部など)、報道番組(ディレクター)、FNNバンコク支局を経て現職。