茨城県常陸大宮市にあるいちご農園。

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真っ赤に実ったいちごを収穫しているのは・・・

人ではなく、ロボット!

農業と人が、ロボットを通して繋がる農業参加システムとは。

スマホでいちご摘み

茨城県で行われたロボットによるいちご摘み体験会。ロボットの操作は、スマートフォンで行われています。

ロボットについている2つのカメラを切り替えながら、まるでクレーンゲームを操作するようにいちごを収穫していきます。

体験した人:掴んでいると思っても、引くと外れちゃったりして。自分の手と違って難しい。

これは、ロボットを通して人が農業に参加するシステム「RaraaS(ララ―ス)」の実証実験。離れた場所からロボットを操作して収穫するサービスを2024年までに提供予定です。

H2L 玉城絵美代表:例えば入院されていたりとか、遠隔地に住んでいるということで、外出が困難で農業に触れられないという人たちに農業に触れてもらいたい。それから、農業の人手不足への将来的な補助になるような、そういうところを目指した事業です。

スマートフォンで操作できるため、スキマ時間や、就業が困難な人も、ゲーム感覚で農業に関わることができるようになるといいます。

つづく農園 都竹大輔さん:いちごを実際に採ったことがない沖縄の方とか、海外の方にやってもらうというのも面白いと思いますね。これから人手不足になりうる可能性もありますし、もともと出稼ぎとかで農閑期に他のところへ働きに出かけるという文化もあったりしたので。遠隔操作でできるというのは魅力的だと思います。

ロボット操作で農業に 目指すのは“体験の共有”

開発を行っているのは、感覚共有技術の「ボディシェアリング」で注目を集めるベンチャー企業のH2L(エイチツーエル)。“人”がロボットを操作する新しい農業参加システムで目指すのは、“体験の共有”です。

H2L 玉城絵美代表:農業っていろんな作業があって、面白い体験があって、日常では都市部にいる方とか部屋の外に出られない方にとって、とっても刺激的な体験なんですね。スマートフォンを楽しんでいる人たちに、現実世界にアクセスしてほしい。遠隔地の面白い体験をしてもらったり、もう少し先に行くと、農家さんの作業を手伝ってもらうという風になったらなと思っています。

今後はボディシェアリングの技術を組み込み、指の動きや力の入れ具合などをロボットに伝達するシステムの開発を目指します。

内田嶺衣奈キャスター:デロイト トーマツ グループの松江英夫さんに伺います。今回の試み、どうご覧になりましたか?

デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:スマート農業に於ける体験価値に注目しています。スマート農業の国内の市場規模は300億円で、5年後には2倍に伸びると言われています。従来は人手不足解消や農家の生産性向上といった“効率化”を目的としたソリューションが主でしたが、この取り組みは参加する個人の“体験価値”、農業に携わることの満足度を高めることに注目しているのが特徴的です。

内田嶺衣奈キャスター:体験を通じた満足ということですが、誰もが、どこからでも農業体験を通じて満足を得られるようになるといいですね。

松江英夫氏:リアルな実体を伴ったバーチャル体験というのがポイントだと思います。スマホを使ってゲーム感覚で操作するバーチャルな楽しみ方に、自分で摘み取ったいちごを収穫できるというリアルな実体が加わることで、満足度が高まりますね。「ボディシェアリング」の技術が発達していくと、遠距離にいながら触覚を使ったリアルな体験ができたり、重さや抵抗を感じることができる。こういった体験が広がると、農業だけでなく、ほかの産業にも広がっていくのではないでしょうか。

内田嶺衣奈キャスター:どのような分野で活用が広がりそうですか?

松江英夫氏:遠隔医療で患者さんの脈拍を感じることができたり、ネット通販で洋服を買うときに質感を実感できるようになります。陶芸などの伝統工芸も遠隔で楽しめるようになると、地域の活性化や観光にもつながっていくと思います。経済の活性化にも期待したいですね。

(「Live News α」4月8日放送分)