会議中にスマホをつい触っていないだろうか? 日本能率協会が調べたところ、約7割のビジネスパーソンは「会議や打ち合わせ中に携帯・スマートフォンをいじる」のはマナーとして気になると回答しているのだ。

「ビジネスマナー」必要派は83.7%

同協会は2013年から全国のビジネスパーソン1000人への意識調査を実施。昨年12月には「ビジネスマナー」に関するアンケートをインターネットで行っていた。対象は20~69歳までの正規の就業者で、契約社員やフリーランスなどは除外される。

まず、たびたび話題になる「ビジネスマナー」について、仕事をスムーズに進めるうえで必要かを尋ねたところ、「必要」または「どちらかといえば必要」と答えた人は全体で83.7%に上った。

年代別で比較すると、最も低いのは20代男性の65.5%で、この数値について同協会は「親しい交友関係のなかで、ネットを中心としたコミュニケーションが多いことから、外部に対する意識が低下していることが推測されます」としている。なお20代の女性は92.7%が必要と考えており、60代女性に次いで2番目に高かった。

Q. あなた自身にとって、ビジネスマナーは、仕事をスムーズに進めるうえで必要だと思いますか。(出典:日本能率協会)
Q. あなた自身にとって、ビジネスマナーは、仕事をスムーズに進めるうえで必要だと思いますか。(出典:日本能率協会)
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また自身がビジネスマナーで嫌な思いをした事があると答えた人は48.3%。具体的には、「言葉遣い・敬語の使い方」が54.7%と最も多く、次に「話し方・聞き方」が51.3%、「あいさつ」の41.4%などが続いた。

Q. あなたが、不快な思いをしたビジネスマナーについて教えてください。(出典:日本能率協会)
Q. あなたが、不快な思いをしたビジネスマナーについて教えてください。(出典:日本能率協会)

気になる行動の1位は「会議中のスマホいじり」

そして仕事中の様々な行動についてマナーとして気になるか聞いた設問では、「会議(打合せ)中のスマホいじり」が1位となったのだ。

具体的には、相手が社外の場合で73.1%、社内の場合は68.6%で、どちらも他の項目より突出して多い結果に。同協会では「相手の話に集中している姿勢が疑われることは、信頼関係を損なうことにつながりますので、注意が必要」としている。

なお続く2位以下の項目は以下の通りだ。

【相手が社外の場合】
・ビジネススーツにスニーカーを履いて他社訪問する(55.0%)
・直前の遅刻・欠席についてメールやチャットツール等で連絡する(52.6%)
・電話コールが4回以上なってから応対する(45.9%)
・ビジネススーツにリュックを背負って他社訪問する(41.0%)

【相手が社内の場合】
・就業時間中に業務に関係のない一般の新聞やビジネス誌を読む(53.1%)
・就業時間中に喫煙する(51.6%)
・隣や周辺の席の人へメールやチャットツール等で連絡する(49.9%)
・遅刻・欠席についてメールやチャットツール等で連絡する(48.1%)
・電話コールが4回以上なってから応対する(47.8%)
・就業時間中にお菓子を食べる(38.6%)

Q.あなたは、以下の行動について、マナーとしてどのように思いますか。(出典:日本能率協会)
Q.あなたは、以下の行動について、マナーとしてどのように思いますか。(出典:日本能率協会)

また、重要ではないと思うビジネスマナーを聞いたところ、1位は「名刺交換(22.1%)で、2位「会議室・応接室での上座下座(21.4%)」、3位「服装と身だしなみ(17.7%)」となった。

(出典:日本能率協会)
(出典:日本能率協会)

スマホでメモを取る場合は、一声かける配慮が必要

約7割が会議中のスマホが気になるとのことだったが、言葉を調べたりメモをするため、どうしても使いたい場合もあることだろう。このような時は一体どうしたらいいのか?

また、同協会はビジネスマナーのセミナーを主催しているが、コロナ禍で職場のマナーにどんな変化が起きているのか?

日本能率協会の担当者に聞いてみた。


――メモなど、会議中にスマホを使いたいときはどうしたらいい?

ノートにメモを取っている時と違い、手元でメモを取っているのかメールやチャットを確認しているのか不明なため、スマホでメモを取る際は、その旨を相手に声をかけるなどの配慮が必要です。

また、会議中にずっと下を向いてスマホでメモを取り続けるだけでなく、顔を上げて、話を伺う、会議に参加する姿勢も大切です。


――では、なぜ20代男性はビジネスマナーの必要性が低かった?

今回の調査では、そこまでの分析ができていませんが、20代の男性と女性で意識の差がでています。友達との交流の仕方や、場合によっては育ち方、親からのしつけなどがあるかもしれません。

画像はイメージ
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自ら意識し、学ぶ機会を作ることも必要

――ビジネスマナーを身につけるにはどうすればいい?

コロナ禍で交流する機会とともに、OJT(実務を通した訓練)の機会が減っているのかもしれません。組織として、学ぶ機会を作ることも必要と考えますが、自ら意識し、学ぶ姿勢、学ぶ機会を作ることも必要と考えます。


――ビジネスマナーとしてオンライン会議で気をつけた方がいいことを教えて。

顔出しでの参加の有無、バック背景、話す順番、会話が重ならない配慮、音、家族(ペット含む)が入り込んだ際の対応等、会社や、会議内容によってもマナーが異なります。いずれにしてもマナーは自分の価値観で判断するものではなく、相手の価値観に寄り添う配慮が必要です。

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例えば、一昔前であれば会議中にパソコンを使うのにも気を使ったが、今や当たり前の光景になっている。いずれスマホもそうなるのかもしれないが、現状ではメモや検索をする前にひと声かけた方が良さそうだ。

また、コロナ禍で働き方も変わってきている。この状況に合わせたビジネスマナーを身につけることも重要だろう。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。