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東急電鉄は、4月1日から、東横線や田園都市線、大井町線など東急の全8路線で再生可能エネルギーを使って電車を運行している。

太陽光や風力、水力など再生可能エネルギーを示す「非化石証書」購入して、二酸化炭素の排出を実質ゼロに置き換える仕組みで、全路線を再生可能エネルギーで運行するのは全国の鉄道で初めてという。

これによって1年間で一般家庭5万6000世帯分の排出量にあたるおよそ16万5000トンの二酸化炭素が削減できるという。

内田嶺衣奈キャスター:このニュースについては、デロイト トーマツ グループの松江英夫さんに話を伺います。全路線の電力を再生エネルギー由来にということですが、松江さんは、このニュースをどうご覧になっていますか。

デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:私はですね、再生可能エネルギーの需要を作り出す先進的な取り組みだという風に見ているんですね。今回の取り組みの背景には、再生可能エネルギーを環境価値という風に捉えて、「非化石証書」という手段を通じて売買できる、こういった市場の存在が大きいんです。ただ日本では、再生可能エネルギーの発電コストが高いので、これから市場で取引していく上でも、価格というものが大きなボトルネックになっていくことが予想されるんです。政府の調査でも、再生可能エネルギーの発電コスト、日本は、世界の平均に比べて2倍以上の高さであると、こんな実態も報告されているんです。

内田嶺衣奈キャスター:なぜ、日本は、そこまで高いんでしょうか。

デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:まず、国土が狭いこともあって、再生可能エネルギーの発電に適した地域が少ない、こういった供給上の制約も大きいんですが、同時に、こうした取引をする市場が、まだまだ未成熟で、取引の規模が限られている、それによってスケールメリットが働きにくい、こういったことも大きな課題なんですね。今後、普及に向けては、このスケールメリットをいかに取れるような状況に持って行くか、ここが大きなテーマなんですが、私は、そこにおいて、まずは、いかに需要を広げていくか、ここが大きなカギを握ると思うんです。需要が生まれて、需要が広がっていきますと、供給する側からすると、初期投資をやってでも、入るインセンティブが働きますから、ここで市場が活性化する。それによって、需要と供給の規模が広がることによって、スケールメリットが生み出されて、それが結果、価格を下げる要因になっていく。こんな循環を作っていく必要があると思うんですね。

内田嶺衣奈キャスター:そうした需要の創出や拡大をしていくためには、どういったことが必要になってくるんでしょうか。

デロイト トーマツ グループCSO松江英夫氏:私はですね、RE100、これに加盟している企業の数が多い、この辺の強みを生かす視点が大事だと思うんですね。RE100というのは、リニューアブルエナジーを100%使用していこう、こういった企業の国際的なイニシアティブなんですけども、実は、これに加盟している日本企業の数が66社ということで、アメリカに次いで、世界第2位の規模、いわば意識の高い企業が多いということを意味しているんですね。今回の東急グループも、RE100の加盟企業の一つなんですが、こういった企業が、率先して、再生可能エネルギーの需要を作っていく、こういった動きが広がっていきますと、これが普及加速の牽引力につながっていく、こんな展開も期待できると思うんですね。こうした意識が高い日本の企業、これが率先しながら需要を作る、言わば、需要を起点で、普及加速の流れを作っていく、こんな動きが広がっていくことを期待したいと思います。

内田嶺衣奈キャスター:日本の企業の環境への意識の高さというのは、まさに世界に誇れるものだと思います。その意識の高さが市場の成熟へとつながることを期待したいです。

(「Live News α」4月1日放送より)