3月24日に行われた日英首脳会談。ここで注目されたのが、イギリスのボリス・ジョンソン首相が日本の菓子である「かりんとう」を持参したことだ。

ジョンソン首相は好物だとし、岸田文雄首相と一緒に食べる場面もあったという。両首相が握手するシーンでも掲げるなど、報道陣にもアピール。ネットでも話題となった。

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このかりんとうは、福島県本宮市にある菓子店「ぬか茂」の製品。黒ごま、はちみつなどの味があるが、ジョンソン首相が持参したのは紅茶味だったという。流石はイギリスといったところだろうか。

ぬか茂のかりんとう(提供:ぬか茂)

実は普通のかりんとう“じゃない”

それにしても、日本の菓子がなぜ他国の首相に愛されたのだろう。紅茶かりんとうを開発した、ぬか茂の専務・糠澤正之さんに、かりんとうの詳細や会談の影響などを聞いてみた。


――ぬか茂のかりんとうはどんな菓子なの?

普通のかりんとうと違い、ビスケットやクッキーに近いです。普通のかりんとうは生地を発酵させて揚げたりしたものに黒みつなどをかけて作ります。私たちのかりんとうは、詳細は話せませんが洋菓子の製法を使っています。紅茶味は紅茶やバターなどを使い、洋風に仕立てています。

紅茶味のかりんとう(提供:ぬか茂)

――なぜ、ジョンソン首相に渡ったの?

正確な経緯は分からないのですが、2022年の天皇誕生日の祝賀行事のお土産になったと聞いています。本宮市は2015年のウィリアム王子の訪問をきっかけに、イギリスと交流を行っていて、王子の名前がついた公園もあります。過去には交流の一環で、市の団体などがイギリスを訪れたときにも持っていったそうです。会談に持参したのはジョンソン首相の計らいかもしれません。

ウィリアム王子に由来する「プリンス・ウィリアムズ・パーク」(提供:本宮市)

――ぬか茂のかりんとうが生まれた経緯を教えて。

私は洋菓子が本職で、地産地消の講師を務めていました。農家などの生産者が食材を商品化できるように指導もしていて、自分でもやってみたのが始まりです。普通のかりんとうだと、発酵させる温度などが難しいと思い、洋菓子の製法を取り入れて8~9年ほど前から作り始めました。

うれしさの後に責任感が出てきた

――ジョンソン首相が会談に持参したことは知っていた?

全く知らなかったので、びっくりしました。作ったものがあのようなところに出る、うれしさや高揚感で熱くなりました。今回の会談では食品の輸入規制についても話したそうなので、その後には責任感も出てきました。しっかりしたものを提供していかなければと思いました。


――会談の後、売り上げなどには影響はあった?

実はほぼ生産できておらず、需要と供給が合っていない状況です。日本各地から問い合わせがあるので生産や販売の経路などを見直していて、4月中旬ごろの販売再開を目指しています。イギリスへの食品の輸出のきっかけになるかもしれないので、しっかりとしたものを作りたいです。


――ぬか茂のかりんとうの購入方法は?

現在は店頭販売のみで、数量限定での販売となっております。

ぬか茂のウェブサイトより

――受け止めと今後の目標を聞かせて。

政治的なものはあるかもしれませんが、福島のものをアピールしてもらい、ありがとうございますと伝えたいですね。私どもとしては、いい商品を作って食べてもらえるように。福島のお土産にはかりんとうを買おうとなれればと考えています。

紅茶味のかりんとうの中身(提供:ぬか茂)

なおぬか茂では、原材料の価格高騰もあり、かりんとうの価格などは検討中とのことだ。

また外務省が公表した会談の概要によると、今回の会談では岸田首相が、イギリスによる日本産食品への放射性物質輸入規制の撤廃に向けた手続きの前進を歓迎し、改めて早期の撤廃を求めたという。

ジョンソン首相は外相時代の2017年にも、当時の河野太郎外相と会談した際、福島県産の桃ジュースを美味しそうに飲むことがあった。この行動には福島の人も励まされたはずだ。今回、ぬか茂の糠澤さんも「うれしさの後に責任感も出てきた」と語っていた。

記事 4295 プライムオンライン編集部

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