2022年4月から、プラスチック削減を義務付ける『プラスチック資源循環促進法』が施行される。
この新法では、特定プラスチック12品目の提供事業者に“使い捨てプラスチックの削減”が義務付けられていて、対象となるのはコンビニなどで配布されるスプーンやフォーク、クリーニング店のハンガーなど。

削減方法は、プラスチック以外の素材に変える・有料化するなど様々で、各企業によって対応が変わってくる。
今回は新法の施行を前に、新潟県内でも進むプラスチック削減を目指す動きを取材した。
特設コーナーを設置する店舗も カトラリー類の需要増加見込む
新潟市中央区の新潟ロフトに2022年2月から設けられているのは、持ち運びに特化した“マイ箸”や“マイカトラリー”の特設コーナー。

新潟ロフトでは、SDGsを意識した環境に優しい商品を増やしていて、特設コーナーには約30種類が並んでいる。
新潟ロフト 菊池舞さん:
お客様が自分の意識でマイ箸・マイカトラリーにしていただければ、エコにつながると思う

新潟ロフト 菊池舞さん:
こちらは箸の長さに合わせて調節ができる箸の入れ物。スライドさせて箸の大きさに合わせられるので、今お持ちの箸にも使えると思う

2022年3月現在、カトラリー類の売り上げは平年並みだが、4月の法律施行による需要の増加を見込んでいるという。

新潟ロフト 菊池舞さん:
もう買われているお客様もいらっしゃるとは思うが、4月1日からどんどん買われていくのかなとは感じる
外出先でも“金属カトラリー”を…老舗企業が作る工夫凝らした商品
需要の高まりが予想されるなか、カトラリーの製造に力を入れるのが金物の町・燕市の企業だ。「毎日持ち歩くことができるように」と、山崎金属工業が開発したカトラリーが『ASSAR(アッサー)』。

金属のスプーンなどが、やわらかい素材の透明なケースに入っているのが特長だが、作りにも工夫が。
山崎金属工業 国内営業部 中村雅行 課長:
シンプルなデザインなので、非常に使いやすくて、手洗いも簡単にできる商品

さらにサイズにも工夫が施されている。
松尾和泉アナウンサー:
ASSARは持ち運びしやすいように、ふだん食卓で使うスプーンより一回り小さいサイズになっています

ノーベル賞の晩餐会で使用するカトラリーも手がけている山崎金属工業。
プラスチック削減の動きが高まるなか、創業104年の老舗企業ならではの技術と経験を生かし、“外出先でも気軽に使える金属のカトラリー”の製造に力を入れている。

山崎金属工業 国内営業部 中村雅行 課長:
家でも、食堂でも、会社でも使い捨てせずに、ふだん自分たちが使っているものを長く使い回せるような商品が大事になってくると思う

2021年7月には、ケースつきの商品『mottecotto(モッテコット)』も発売。

スプーンレストもついているので場所を選ばずに置くことができ、環境面だけでなく衛生面にも配慮されている。
山崎金属工業 国内営業部 中村雅行 課長:
日々の食事をより大事なものに。各個人でお気に入りのスプーン・フォークを持ち歩いていただくと、普段の食事も楽しいものになると思う
年間約100トンのプラスチック削減へ ホテル内のアメニティーに変化
このプラスチック削減の動きは宿泊業界にも…
2022年2月、新潟市中央区にオープンしたアパホテル&リゾート。
地上19階建て・客室数1001室を誇るホテルだが、こちらで変更となるのは、ホテルの部屋に必ずあるもの。

アパ新潟支店 前多剣丸 取締役:
ホテル内のアメニティー、歯ブラシ・ひげそり・ヘアブラシ・シャワーキャップにおいてバイオマスをはじめ、再生プラスチック原料を取り入れ、環境対策を考案し導入に努めている
例えば、現在歯ブラシはプラスチック100%なのに対し、今後は竹粉を35%使用したバイオマスプラスチックに変更。

そのほかのアメニティーも同様に、環境に優しいものに置き換わる。
アパ新潟支店 前多剣丸 取締役:
コスト増になることは当然ながら覚悟しているが、お金がかかったとしても前向きに捉えて、社会全体の還元に向けた取り組みにつなげていきたい
このグループでは4月下旬から徐々にアメニティーを変更し、全体で年間約100トンのプラスチック削減につなげる考えだ。

アパ新潟支店 前多剣丸 取締役:
我々企業側もそうだが、お客様・使っていただくユーザーの方にも、やはりエコ意識というものを高めていただきたいと思っている

4月から変わるプラスチックをめぐる環境。
企業だけでなく、私たち一人一人が削減のためにできることを進めていく必要がある。
(NST新潟総合テレビ)