一人よりみんな。みんなよりも地域で。
SDGsを楽しみながら、より身近に考えるイベントが新潟・村上市で開かれた。

廃材で木皿作る男性…“もったいない”の心を大切に

新潟・村上市に暮らす黒坂禎二さん(66)。

村上市に住む黒坂禎二さん
村上市に住む黒坂禎二さん
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木の板を丁寧に削って作るのは、木目の風合いを生かした皿。

黒坂さんが作った木皿
黒坂さんが作った木皿

黒坂禎二さん:
木目の良さやぬくもりを製品にしたい

黒坂さんが作る木皿の数々には共通していることが。

黒坂禎二さん:
住宅で階段に使った余りの木を皿にした。こちらはベッドのフレームとして使わなくなり、ゴミ処理場に行く予定だった木を盛り皿にする

廃材を利用した作品づくり
廃材を利用した作品づくり

捨てるのではなく、“自然の循環”として木を利用することで、黒坂さんは伝えたい思いがある。

黒坂禎二さん:
もったいない。ものを大事に生かすのは、昔から日本人の心だと思う

“もったいない”と思う日本人の心
“もったいない”と思う日本人の心

村上市の作家が集結 “SDGs”をテーマにした作品展開催へ

2月、黒坂さんは村上市で開かれたある会議に出席。この日は、村上市の作家による作品展『笑福展』の打ち合わせが行われていた。

村上市の作家による作品展を企画
村上市の作家による作品展を企画

廃材で木皿を制作する黒坂さんも作家として参加する作品展には、あるテーマが…

笑福展実行委員長 富樫裕子さん:
展示会で地域を盛り上げるだけではない。SDGsをテーマにしたら、SDGsの項目を満たす人が集まった

笑福展実行委員長 富樫裕子さん
笑福展実行委員長 富樫裕子さん

国連で採択されたSDGsは“持続可能な社会”を目指し、環境や貧困・教育などについて17の目標を示したもの。

作品展でSDGsを表現
作品展でSDGsを表現

実行委員長の富樫裕子さんは、作品展にSDGsの目標を重ねることで、より多くの人に理解が広がると考えている。

笑福展実行委員長 富樫裕子さん:
『もったいない』『優しくしよう』と思ったり、『これをこういうふうに改善していけばいい』というような思いがSDGs。全然難しいことではない

シーカヤックを楽しむ夫婦 村上の海・笹川流れに魅了され移住

会議が行われた古民家の前では、飯山達哉さん・まゆあさん夫婦が焼き芋を作っていた。

飯山さん夫婦が作る焼き芋
飯山さん夫婦が作る焼き芋

2人は村上に広がる海の美しさに魅了され、神奈川県から移住。春から秋にかけて、シーカヤックの楽しさを伝える仕事をしている。

飯山まゆあさん・達哉さん
飯山まゆあさん・達哉さん

飯山達哉さん:
シーカヤックで日本中を旅しているときに、村上市の笹川流れに魅了され移住した

シーカヤックの仕事ができないオフシーズンに、焼き芋の販売をしている飯山さん。作品展でも焼き芋を販売する予定だ

飯山達哉さん:
村上には何でもある。海もきれいだし、川もすごく美しい。森もあって、人もいる。焼き芋を販売しながら、村上の魅力を色んな人に伝えたい

“村上の魅力”を伝えたい
“村上の魅力”を伝えたい

“人のつながりが大きな力に” 他の作品づくりにも参加する黒坂さん

焼き芋の試食が終わると、黒坂さんが制作の協力をしていたのは“つるし飾り”。

つるし飾りの制作を手伝う黒坂さん
つるし飾りの制作を手伝う黒坂さん

このつるし飾りには、村上市に暮らす板垣シンさんが自宅で保管していた江戸時代から昭和にかけての着物生地を使用。

板垣シンさん:
昔の人が手織りをした大切な布。春らしさを見てほしい

生地を提供した板垣シンさん
生地を提供した板垣シンさん

古い布をリサイクルして作品展に彩りを。
作品の制作を手伝う黒坂さんは「みんなで協力する思いが大切」だと話す。

黒坂禎二さん:
一人一人がつながると大きな力になり、最終的にSDGsが達成できる

SDGsな「つるし飾り」
SDGsな「つるし飾り」

笑福展スタート…作品を楽しみながらSDGs考える展示会に

3月19日から村上市で始まった、SDGsをテーマにした『笑福展』。
会場のギャラリーでは、つるし飾りが春を彩り、5人の作家による作品が並んだ。

『笑福展』(3月19日~27日開催)
『笑福展』(3月19日~27日開催)

さっそく黒坂さんの木皿を気に入ったお客さんも。

木皿を購入した人:
『おにぎりが乗る』と孫が言っていたので、これにした。再利用など、これから必要になってくると思う

黒坂さんが作った木皿を購入
黒坂さんが作った木皿を購入

黒坂禎二さん:
気に入って使ってもらって、『いいな』と言ってもらえれば、これほどうれしいことはない

SDGsで示す17の目標を、この作品展だけで全てを網羅することはできない。

笑福展実行委員長 富樫裕子さん:
この作品展だけでは、目標の半分は満たされない。フードバンクや子ども服の提供、障害のある子どもの作品展示などで全ての目標が満たされる

子ども服の提供
子ども服の提供

外に設営されたブースでは、困窮家庭を支援するフードバンクや、子育て支援団体の活動を紹介していた。

外のブースで“目標”を補う
外のブースで“目標”を補う

そして、焼き芋を販売する飯山さん夫婦。海の美しさに魅了され、神奈川県から移住したことをお客さんが知ると…

お客さん:
村上に移住してくれたと聞きました。もう慣れましたか?

飯山達哉さん:
温かみのある言葉をかけてくれるので、すごくうれしい

お客さんと交流
お客さんと交流

“自分たちができることを少しずつ”…一人ではなくみんなで考える暮らし

SDGs17番目の目標。

笑福展実行委員長 富樫裕子さん:
『みんなで手をつないで、高い位置のモチベーションを持って頑張りましょう』という最後のクリア項目が笑福展

17番目の目標が“笑福展”
17番目の目標が“笑福展”

楽しみながら暮らしを振り返り、人とつながる。

笑福展実行委員長 富樫裕子さん:
自分たちができることを少しずつすることが波紋になって、暮らしが変わってくるのかなと

“できることを少しずつ”
“できることを少しずつ”

一人ではできなくても、みんなとなら…
小さな波紋が広がっていく。

(NST新潟総合テレビ)

NST新潟総合テレビ
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