20万人という大観衆を前に演説を行ったプーチン大統領。この演説に熱狂している群衆の中には、実はロシア政府がお金を払って動員した人も含まれているという指摘があります。

プーチン演説も…突如“コンサート映像”に切り替え

ロシアでは「クリミア併合から8年」を記念した大規模イベントが、日本時間18日にモスクワで開かれました。会場に入れなかった人を含めると、およそ20万人が参加したといいます。

そして、イベントのメインとして登場したのがプーチン大統領。大観衆の前で語ったのは。

ロシア プーチン大統領:
私たち、ロシア連邦の多民族の人民は、私たちの土地の共通の運命によって団結しています。これは、わたしたちロシア連邦憲法の一行目の文言です。
 

「ロシアの人民は団結している」と話し始めたプーチン大統領。

ロシア プーチン大統領:
クリミアの人々は自分たちの土地に住んでいて、歴史的な故郷であるロシアと共通の運命を生きたいと思っていました。彼らはそうする権利があり、目標を達成しました。まず、記念日に彼らを祝福しましょう。これがクリミアの人々の祝日です。おめでとう!
 

クリミア併合の正当性を訴え。さらに、ウクライナに軍事侵攻した理由については。

ロシア プーチン大統領:
この苦しみから、この大量虐殺から人々を救うことです。これは私たちがドンバスとウクライナで開始した軍事作戦の主な理由、動機、そして目標です。
 

侵攻の正当性を強調しました。

ロシア プーチン大統領:
そして、この作戦中に、我が国の男性たちがいかに英雄的に行動し、戦うかが分かります。
 

プーチン大統領の演説に盛り上がる大観衆。しかし、この後。

ロシア プーチン大統領:
作戦開始日は偶然にも我々の最も優れた…
 

演説の途中にも関わらず、突然、男性歌手のコンサート映像に切り替わったのです。一体、何が起こったのでしょうか。ロシアの内情に詳しい筑波大学の中村逸郎教授に映像を見てもらうと、こう指摘します。

熱狂する観客「動員をかけて集めた可能性」

筑波大学 中村逸郎教授:
公式の場で演説が途切れてしまうのは初めてのことだと思います。私は記憶にはないです。
 

今回の放送トラブルについて、ロシア大統領府は「技術的な問題」と説明。しかし、中村教授の見方は異なります

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筑波大学 中村逸郎教授:
技術的な問題で途切れてしまったということはまず考えられないですね。やっぱり何らかの…スタッフたちの意図があったのではないのかと私は思います。

多分技術スタッフの中に反戦の気持ちが強い、つまりはプーチン大統領に対する不信感を、この戦争を何とか止めないといけないと思っているスタッフが中にいた可能性もあるということですね。
 

さらに、中村教授が映像から感じたのは一体感のある熱狂。

筑波大学 中村逸郎教授:
私が見たなかで一番、大きな盛り上がりですよね。これだけ旗が掲げられて、みんなが一丸となってやるというのは初めてですよね。
 

熱狂する観客たち、一体、どういった人たちなのでしょうか。

筑波大学 中村逸郎教授:
ロシアの情報をみると、モスクワ市内から来たというよりもモスクワ郊外からバスで動員された人たちが多いと報道されています。無料で都心のモスクワに行って観光して、買い物してまたバスで帰れるというメリット、特権もあるからこういうふうに来ているということですね。日本円にして(日当が)1500円からだいたい2000円前後ですね。日当2000円もらって、しかも往復が無料っていうね。
 

中村教授によると、多くはモスクワ郊外から来た人々。公務員や工場などに勤務している人々に対し、ロシア政府が動員をかけて集めた可能性があるというのです。

戦意を高揚させるための作り出された“熱狂”だったのかもしれません。

(「めざまし8」3月21日放送)