誰もが一度は遊んだことがある「けん玉」。その魅力にはまった女性たちがいる。子育ても楽しみながら、自分の時間も大切にする。けん玉と出会ったことで、彼女たちは輝いていた。
SNSでもけん玉人気が再燃

昔ながらのおもちゃ「けん玉」。
数年前から、若者を中心にSNSなどで技を投稿する人も増えた。コロナ禍でも1人でどこでも気軽に楽しめるとあって、人気が再燃している。
静岡市で活動するけん玉チーム「静剣(しずけん)」。
幼児から40代後半まで、幅広い年代の人たちが月に数回、集会所に集まる。

小学生:
楽しいです。
(Q.どんなところが楽しい?)
技を教えてもらって、上達するところです
中学生:
雰囲気は最高です。とっても楽しくてアットホームな感じで、高め合える仲間もいるし、楽しくできるので最高です
けん玉にはまった“お母さん”たち
メンバーの中には、子供たち以上に真剣にけん玉に打ち込む女性たちの姿があった。
彼女たちは全員、子育て中のお母さん。

始めたきっかけは様々だが、次第に集まって練習するようになり、いつしかメンバーから「静剣ママーズ」と呼ばれるようになった。
かあちゃんが世界2位に
静剣ママーズの1人、眞喜志幸子さん。3人の子供を持つお母さんだ。

けん玉を始めたのは3年前。子供の習い事に付き添っていた時に、たまたまけん玉に触ったのがきっかけだった。
そこからめきめきと上達し、2021年オンラインで行われた世界大会では40代女性の部で2位に輝いた。

眞喜志さん:
もう子供たちは「世代別」という言葉を抜いて、「かあちゃん世界2位」って言いふらしてくれたり、静剣のみんなも喜んでくれた。頑張ってよかったなって思いましたね
2021年も大会に出て、前年以上の成績を収めることが目標だ。
子育てとどう両立させているのだろうか。

眞喜志さん:
子供たちお風呂に入れてご飯食べさせて、洗い物して洗濯を待ってる間か、干した後か。歯磨きも全部終わってから、自分の時間としてやる。せいぜい1時間ですね
限られた時間だが、ほぼ毎日欠かさず練習している。

眞喜志さん娘:
いろんな技をやってて何やってるか分からないけど、すごいなって
眞喜志さんの息子:
一緒にやれてうれしい。そうすると(一緒にやれると)技が失敗しても、できるようになったりする
お母さんに刺激され、子供たちもけん玉を始めた。
実は眞喜志さん、これまで子供たち一人一人と接する時間が持てないことが気がかりだった。

しかし、けん玉を通して親子の時間が増え、以前よりコミュニケーションもとれるようになった。
ママたちが幼稚園でけん玉教室
この日、静剣ママーズはメンバー数人と静岡市内の幼稚園へ。
定期的にけん玉教室を開き、けん玉の普及にも取り組んでいる。
静剣ママーズのメンバー:
せーの!片手でキャッチできた

バランス感覚や集中力も鍛えられるけん玉。
こちらの幼稚園では2021年からけん玉を遊びに取り入れ、園児一人一人が自分で色を塗ったマイけん玉を持っている。

約1時間のけん玉教室は、たくさんの笑顔であふれていた。
夢中になれるけん玉…子育てにも気持ちの余裕
教室を終えると、自分たちの練習時間。
休みの日は子供たちも一緒に来て、遊んでいる間に練習するそうだ。
静剣ママーズのメンバー:
だいたいうちの夫が子供の面倒をみて、お母さんたちはけん玉やる

練習はもちろん、何気ないおしゃべりも日頃のストレス発散になっている。
童心に帰って夢中になれるものを見つけたというママーズたち。けん玉に出会ってから、どんな心境の変化があったのだろうか。

静剣ママーズ・竹澤祐子さん:
けん玉始めてから、気持ちに余裕ができましたね。子育てとかもちゃんとしなきゃってことばかり考えてたけど、けん玉始めて自分の時間ができた時に余裕ができた

静剣ママーズ・成岡路可さん:
大人も一緒に年齢関係なく、できた!やった!と、男も女も年も関係なく、みんなでつながれるというのは何とも言えない、かけがえのない出会いになりました

できないことができた時の達成感や高揚感。
そして、その瞬間を同じように味わえる仲間に出会えることもけん玉の魅力だと言う。
眞喜志さん:
一言でいうのは難しいけど、歳とってからもずっとできるだろうし、それに伴って仲間も増えていくであろうし、ましてや子供とも一緒に遊べる。悪いところが1つも見つからない!

子育てに追われる中で出会ったけん玉。けん玉を通して、自分の時間を大切にできているという実感が、お母さんたちの笑顔につながっているようだ。
(テレビ静岡)