梅津弥英子アナウンサー:
政府は東京電力管内に電力需給ひっ迫警報を初めて出しました。午前8時から午後11時まで電力が不足する可能性があるということで東北電力管内についても同様の警報を出しています。そして、きょう一番電力が逼迫すると言われているのが午後3時から5時

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梅津弥英子アナウンサー:
東京電力が公開しています電力使用の見通しを見てみますと、予想電力と供給力、これ全く同じ数字になっている。つまり、100%ということで逼迫度合い非常に厳しいとなっています

梅津弥英子アナウンサー:
これは企業がまだ営業をしている時間帯ということに加えて、気温が下がっていることで暖房をつける人が増えているということで、ここまで厳しい状況になっていると発表をしているんです

梅津弥英子アナウンサー:
今回出されました電力ひっ迫警報というものですけれども、2011年の東日本大震災による停電の教訓を踏まえまして、翌年の2012年につくられたものです

電力の余力が3%を切ると警報が出される

梅津弥英子アナウンサー:
安定した電力の供給のためには、電力会社が最低でも3%の余力を持つことが必要というふうにされているんです。つまり、使用率が97%を超えると、警報が出されるということになります

梅津弥英子アナウンサー:
きょう午後2時台の使用率なんですが、100%を超えて107%になったんですね

加藤綾子キャスター:
これ100%を超えてるっていう数字はもう停電が起きているってことなんですか

停電になるかのカギを握る「揚水発電」

梅津弥英子アナウンサー:
実はいろいろな仕組み工夫がありまして、それが揚水発電。これで不足分を補っているということなのです

梅津弥英子アナウンサー:
揚水発電というのは、電力使用量が少ない夜に、ポンプでダムの水を上にくみ上げまして、その電力が足りない時間帯に水を流すことで、発電をするという対策のようなものなんです。この揚水発電の水、この量が、この後の停電になるかどうかの鍵を握っているということなんです

電力不足の原因は「地震」と「気温低下」

梅津弥英子アナウンサー:
まず、なぜここまで今回電力が不足しまして、警報が出る事態となったのかということも説明したいと思います。その理由は地震と気温の低下です

梅津弥英子アナウンサー:
1つ目の原因ですけれども、先週の水曜日に起きました3月16日に東北地方で起きた最大震度6強の地震の影響で、関東などに電力を送ります発電所の設備が故障するなどしまして、止まってしまったんです。福島県にある広野火力発電所の6号機、そして、相馬共同火力発電の新地火力発電所の1号機、この合わせて2つの火力発電所なんです。現在、東京電力の原子力発電所は全て止まっていますので、電力の多くを火力発電に依存しているという状態です。こうした中で、火力発電所がとまったことで、電力供給量が落ち込むことになってしまった

梅津弥英子アナウンサー:
そして、2つ目の原因が気温の低下です。今日の東京は、冷え込んでいますよね。非常に寒いと思います。正午の気温1.9℃、関東の平野部でも雪が積もりました。そのため、暖房などの電力需要が増えているわけです。発電所の停止に加えて、こうした気温の低下、これで電力不足が起きてしまった。

加藤綾子キャスター:
あの東日本大震災のときにも同じようなことが起きて、その時は計画停電が行われましたよね

梅津弥英子アナウンサー:
東日本大震災の発生から4日目。神奈川県藤沢市付近の上空からの映像です。画面の右側が真っ暗停電エリアですね。そして左側が明かりがついているのがわかるかと思います。このように計画停電というのが、東日本大震災のときには実施されました

梅津弥英子アナウンサー:
しかし、今回はなんですが、計画停電ではなくて、突発の停電が起こる恐れがある。そのカギを握っているのが先ほど言いました。揚水発電の水ということなんですが、ダムの上部から水を流すことで、緊急時に発電するという揚水発電ですけれども、この水が底をつくのが午後8時以降、この揚水発電の水がなくなると、一部で停電が起こるというふうなことが言われているんです

突発停電の規模は約200万~300万世帯

梅津弥英子アナウンサー:
突発の停電が起きれば、その規模およそ200万から300万世帯と言われています。先日の地震のとき、およそ210万世帯には停電が起きたので、それよりも大きな規模で停電が起こる可能性があるということなんです

キヤノングローバル戦略研究所研究主幹・宮家邦彦氏:
今は98%まで落ちたってのは民度が高いなと思うんだけども、それをやってもねやっぱり私の経験からいったら、やっぱりいつ石油ガスが止まるかわからないし、それから今だったらサイバー攻撃があるかもしれないし、あらゆる意味で揚水発電だけでなくて、他にも手段を持ってなきゃいけないなと思いますよね。これをエネルギーの世界では、恐らくベストミックスと何とか言うんだけれども、要するに水力、それから火力だけじゃなくて再生可能もあるけど、やっぱり原子力をどこかの形で国民的な議論をしてね、理解を深めて再開をしていくというのが一番大事なんじゃないかなと個人的には思うんですね

梅津弥英子アナウンサー:
今、まさに電力需要のピークです。揚水発電をなるべく使わないように、今できることとして、ご紹介します。まずはご家庭の中では、なるべく一つの部屋で過ごすようにしてみてください。そして使っていない部屋の照明や暖房は必ず消してください。暖房の設定温度を上げすぎずに20度に設定するということで節電につながるということです

梅津弥英子アナウンサー:
ほんのちょっとしたことですけれども、こまめに電気のことを考えて過ごしたいと思います

(「イット!」3月22日放送分より)