親族・地域で子どもを世話する土壌喪失…悩んだら支援団体に連絡を
愛知・一宮市で2022年2月、幼い姉妹3人が遺体で発見され、母親が逮捕された。近所では、母親が1人で3人の子供の世話をする姿が見かけられていた。「ワンオペ育児」の現状を取材した。

愛知・一宮市で2月10日、帰宅した父親が居間で生後9か月から5歳の姉妹3人が死亡しているのを見つけた。死因はいずれも首を圧迫されたことによる窒息死で、家にいた27歳の母親が緊急逮捕された。
取材を進めると、近所からはこんな証言があった。
近所の住人A:
買い物袋を片手に、1人で(車から子供を)シートから降ろしていて。忙しそうでした
住人B:
(子供)1人手を繋いで、いつも抱っこひもで。本当に両サイドに子供、抱っこひもにも子供みたいな状態で。子供3人を「ワンオペ」ってなると、大変だと思うから
近所では、母親が1人で娘3人の面倒をみる、いわゆるワンオペ育児にいそしむ姿が見られていたという。

ワンオペ育児について、あいち小児保健医療総合センターに聞いた。
ワンオペ育児とは、夫婦2人以上で行う育児をどちらかの親が1人で担うことを指す。夜勤や帰宅が遅いなど、仕事によってどちらかの親が育児に参加できず、ワンオペ育児になるパターンが多いという。
ワンオペ育児という言葉は、2017年に流行語大賞にノミネートされてから言われるようになった。

そして、コロナ禍でワンオペ育児がより増えているという。
テレワークによって育児に携わる時間が増えるプラス面もあるが、出産・産後の里帰りができないケースが増えた。
出だしから頼れる人がおらず、「産後うつ」を発症したり、保育園や幼稚園の休園で子供を預けられなくなったり、夫婦どちらかがコロナに感染して、もう片方に負担が偏るケースもあり、マイナス面が多いとのこと。

NPO法人・児童虐待防止協会の津崎哲郎理事長:
昔はお母さんが5人も6人も育てたイメージがあるかもしれないが、それは親族や近所など地域全体で見守る土壌があったから。
今はそれが崩れて、親の孤立化が進んでいる。
そもそも育児は経験値によるところが非常に大きく、親の世代から育児経験を受け継ぐ環境もないまま、いきなり立派な親になれる人はいない。
支援はたくさんあるので、悩んだら1人で迷わずに手を挙げてほしい

取材した2つの団体も、ワンオペ育児などの相談を受け付けている。

■あいち小児保健医療総合センター
育児もしもしキャッチ
(0562)43-0555
水~金 午後5時~午後9時
■NPO法人・児童虐待防止協会
子どもの虐待ホットライン
(06)6646-0088
月~金 午前11~午後4時
(東海テレビ)