障害や年齢・性別にかかわらず「誰もが一度は輝ける場所を」と、新潟市で開かれたファッションショー。スポットライトが照らすのは、参加者の未来だ。
ファッションショーのモデルに

1月、新潟市で開かれた小さな上映会。
観客が笑顔で見ていたのは、2021年11月に開かれたファッションショー『あしたの星2021』を映像作品としてまとめたもの。

7歳~60代までの一般から選出した37人がモデルを務めたショーには、体や心に障害がある10人も参加。映像を見つめていたのは、このショーに参加したモデルやスタッフだ。
モデルとして参加した人:
映像を見てうれしかった。
モデルとして参加した人:
人生でランウェイを歩くことはないと思っていたので、楽しかった。
このファッションショーは、新潟県内で表現活動を通して障害者支援を行う団体・NECCO(ネッコ)が企画した。

NECCO代表 近守さん :
「人生で1~2回はスポットライトを浴びてもいい」というのがコンセプト。
“区別のない”ショーで広げる人の輪
毎年、障害者による音楽の演奏や演劇を『あしたの星』と題して開催してきたNECCO。しかし、自閉症の息子を育てる代表の近守さんは、障害者による公演にある限界を感じていた。

NECCO代表 近守さん :
過去、障害がある人だけで表現活動をしていた。それなりにお客さんは来てくれるけど、常に関係者。“これでは広がらない”というのが胸にあって。
だからこそ、今回は障害や年齢・性別などを区別しない表現のあり方を模索した。

ランウェイに立った高校生の津田羽里さん、大学生の鈴木若那さん、社会人の高井愛利沙さん。年齢の違う3人だが、ショーを経験し友情で結ばれた。
普段は清掃スタッフとして…夢を叶えるため舞台へ

高井愛利沙さん:
仕事はけっこう疲れるけど、楽しい。
高井さんの母 晶子さん:
障害があっても生きていかなければいけない。どうしたら気にせずに、街の中を胸を張って歩いていけるのかなと、ずっと悩んだり考えたりしていた。

自閉症の高井さんの夢は、モデルになること。
高井愛利沙さん:
モデルをやりたいという気持ちがあった。
その夢の舞台をプロも後押しする。
やろうダンススタジオ Nachiさん:
このステージが、みんなの自信につながるとうれしい。
ウォ-キング指導やメイクはプロが担当
新潟市西蒲区にある「やろうダンススタジオ」の講師、Nachiさんがファッションショーの衣裳や演出を担当。
やろうダンススタジオ Nachiさん:
障害ある・なし関係なく、垣根を越えてみんなで作り上げる作品。そこがしっかり伝わるとうれしい。

ショーに向けてウォ-キングレッスンを行ったほか、自身の持っていた衣装を提供しサイズの調整なども行った。
やろうダンススタジオ Nachiさん:
この服は(ファッションショーで)いつか誰かに着せたいと思っていた。

本番の舞台照明やヘアメイクもプロが担当する。
NECCO代表 近守さん :
観客にしっかり見てもらって、(コンセプトを)理解してもらうにはプロの力が必要。

誰もが一度はスポットライトを浴びてほしい…。そんな願いが込められたファッションショー。
モデルに憧れていた高井愛利沙さんもメイクをしてもらい、仲間とともにランウェイへ。
「最高の仲間」ショーを通して深まる友情

このファッションショーから2カ月後。上映会には高井さんたち仲良し3人組の姿があった。
高井愛利沙さん:
最高の仲間。
あっという間に過ぎた夢の舞台。
高校生 津田羽里さん:
今までは(障害がある人との)接し方・関わり方が分からなかった。私みたいに壁を感じている人がいっぱいいると思う。
新潟大学教育学部 鈴木若那さん:
認め合いながら、高めあっていけるような学級をつくれる先生になりたい。

ホテルで客室清掃をしている高井さん、今は仕事に励む毎日だ。
高井愛利沙さん:
「やればできるんだ」と思えた。
高井さんを見守ってきた母・晶子さんは…。
高井さんの母 晶子さん:
障害がある人もない人も“同じ道を歩く”というスタートにしたい。
夢の舞台は終わったが、ランウェイは未来へと続いている。
近さんが“あしたの星”に込める願い

感染症対策のため、やむなく観客を関係者に制限して行われたファッションショーの様子は動画投稿サイトのYouTubeで公開。
見る環境さえあれば、誰でもその思いを共有することがでる。

NECCO代表 近守さん :
皆さんが“あしたの星”になってほしい。明日、少し良いことがあればいい。
明日が少し優しい世界になれば、未来はきっと…。“あしたの星”に込める願いだ。
(NST新潟総合テレビ)