2月11日に党大会を開催する国民民主党が、独特の存在感を発揮している。

衆議院・参議院あわせてわずか23議席の野党にもかかわらず、他党から連携の動きが相次いでいて、国民民主党の関係者は「もしかしたら“モテ期”かも知れない」とほくそ笑む。

「都民ファースト」との関係をどう説明

国民民主党は2020年の再出発以来、定期党大会を開催するのは2回目だ。党大会の最大の焦点は、今年夏の参院選に向けて合流の方向で調整を続けている地域政党「都民ファーストの会」の位置付けを、玉木代表がどう説明するかだ。

旧民主党・民進党の流れをくむ国民民主党は去年の衆院選で「改革中道」「対決より解決」を訴え、議席を公示前の8から11に伸ばした。玉木雄一郎代表は、立憲民主党や共産党などによる「野党共闘」とは一線を画し、独自路線を進んだことを議席増の理由に挙げ、さらなる党勢拡大を見据える。

一方で、1月のFNNの世論調査の政党支持率では維新6.7%、立憲6.0%、共産2.7%、そして国民は1.3%と四番手に甘んじていて、参院選に不安を残す。

他の野党と相次ぎ水面下で協議

通常国会開会前、国民民主内では同じく改革路線を走る「日本維新の会」と国会で活動を共にする共同会派を組むべきという意見があり、水面下での調整が行われた。

両党は国会召集日にガソリン値下げなどの法案を共同で提出をするなど「仲睦まじさ」を演出したが、「国民・維新」の共同会派案は、国民の支持団体でもある連合などからの慎重論で、見送られることとなった。

国民・維新幹部会談(1月)
国民・維新幹部会談(1月)
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他方で、同じく水面下での協議を続けてきたのが東京都の小池知事が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」だ。

国民民主党にとって、東京は党勢拡大への足がかりにしたい重要な選挙区だが、去年の東京都議選で4人を擁立したものの議席獲得には至らなかった。一方の「都民ファースト」は前回の衆院選で、国政進出に向けた新党「ファーストの会」を立ち上げたものの、候補者を擁立することが出来ず、公示日を迎える結果に終わった。

東京を足がかりに勢力拡大したい「国民」と、国政に進出したい「都民ファ」。参院選に向けての合流は、双方にとってメリットがあると言える。

両党は水面下での協議を続けながら、メディアに公開する形で意見交換会をたびたび開催するなど、異例とも言える「公然交際」を始めている。

国民・都民ファ共同会見(1月)
国民・都民ファ共同会見(1月)

「片思い」の立憲は愛憎相半ば

一方、かつては同じ党だった立憲民主党は「片思い」の反動から愛憎相半ばする思いを抱える。

国民民主党を「兄弟政党」と呼ぶ泉健太立憲民主党代表は「働く者の待遇改善、生活向上では国民民主と一緒に取り組める。立憲との協議を早期に行っていくべきではないか」と秋波を送るが、別の立憲幹部は「(国民民主と)都民ファーストとの接近は選挙目当ての野合にすぎない」と切り捨てる。

ある立憲関係者は、国民民主の置かれている複雑な状況を代弁する。「国民民主も選挙の“足腰”を考えると、連合を切ることはできない。大阪の公務員を目の敵にする維新と組めば、公務員の労働組合は国民民主から離れることになり、ポスターの1枚も貼ってもらえなくなる。都民ファーストとなら『希望の党の再来』になる可能性がある。うちと連合と一緒にやるのが一番いいのだが…」

両党接近に維新は静観

日本維新の会の幹部は、両党の接近について「国民民主の中にも維新とやりたい人たちと、都民ファとやりたい人たちと色々いるのではないか」と分析している。その上で「選挙のために国民民主と枠組みを作る考えはないが、連携できる選挙区は個別の事情でやる可能性はゼロではない」と参院選に向けた選挙協力に含みを持たせる。

一方で「小池都知事を含んだ都民ファと選挙目当てで『野合』をすれば、本来、国民民主が目指していたものの形が崩れていく。そうなると、維新との距離感に悪影響がでる可能性もある」との冷ややかな見方もあり、しばらくは静観する構えだ。

与党のすきま風に「何が起きるか分からない」

「この世界は何が起きるか分からないが、弱小政党にとっては嬉しい話」

国民民主幹部は、最近になって、自民党からの秋波を感じることがあると話す。

背景には参院選を巡って、自民公明の連携がうまくいっていないことがある。自公両党はこれまで、「1人区」などで公明が自民の候補を推薦する代わりに、両党が候補者を擁立する「複数区」で自民が公明の候補を推薦するとう「相互推薦」という形で選挙協力をしてきたが、夏の参院選に向けて調整が難航している。

参院選がこれまでとは異なる枠組みでの戦いになる可能性があることから、ある連合幹部は「都民ファや維新と組むのが良いのかという議論だけではなく、自公と組んで与党で参院選に臨んだ方が良いと言う声もある」と明かす。

国民民主の玉木代表は会見で「政策が一致できるところとは協力する」と繰り返し強調してきた。国民民主が党勢拡大のために組むのは、どこの政党なのか?

支持率1.3%の国民民主の“モテ期”の行方は…

(フジテレビ政治部 野党担当)

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