新型コロナの影響で、学校現場では子どもたちにとって不自由な日々が続いている。
そうした中、卒業シーズンを前に仲間との絆を形に残そうと、福井・越前市の企業がつくるユニークな時計が人気を集めている。

卒業記念品として人気の「連時計」

越前市にある木工製作会社「木の暮らし」では、「連時計」の製造がピークを迎えているという。

木の暮らし・荒内大輔さん:
卒業記念品の時計を製造している、カットや仕上げまで全て行っている工場。いま製造はピーク、急ピッチで進めている

「今が製造のピーク」と語る荒内さん
「今が製造のピーク」と語る荒内さん
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近くで見ると、隣の時計と木目がつながっているのがわかる。

木目がつながった「連時計」
木目がつながった「連時計」

時計は、最大で50個まで連続して作ることができ、クラスや部活動単位での卒業記念品として人気を集めている。

木の暮らし・荒内大輔さん:
1枚の板から木目がつながるようにカットを施しているので、1個1個がきれいにつながっていく。この一つ一つが時計になる

木の暮らし・荒内大輔さん:
遠目で見たら、カットが入っているかわからないくらい、きれいに並ぶ。1枚の板の木目というのも、その板でしか表現できない唯一無二のものなので、そのつながりを卒業記念品として仲間のつながりに見立てている

木目のつながりで仲間との絆を確認

製造は、木材市での競りから始まる。木目のつながりを残すため、途中に割れや大きな節があるものは使えない。

板を裁断したあと、手触りを良くするためにやすりをかけ、時計のムーブメントを取り付ける。
そして最後に、メッセージや学校名を刻印する。

この時計を商品化した背景には、新型コロナウイルスの影響で不自由な生活を余儀なくされている子どもたちへの思いがあった。

木の暮らし・荒内大輔さん:
コロナ禍で、お子さまが仲間との絆を育む時間がとれなかったり、学校行事が行われなかったり。その中で、仲間との絆というのを卒業記念品として表現できるものをという思いから商品化した

2020年度から販売を始めると、全国から注文が相次いだ。
2021年度は、その3倍の注文を見込んでいるという。

実際に時計を注文した保護者に話を聞いた。

岡山・就実小学校卒業企画委員会 近藤ゆかり代表:
運動会、音楽会、全て中止になった。子どもたちは家で過ごす時間が増え、仲間たちと触れ合いたい気持ちが増した。そういった時間をどうにか巻き戻してやれないかと思った

時計は、2クラス48人分を注文。進学で離ればなれになる子どもたちに贈る。

岡山・就実小学校卒業企画委員会 近藤ゆかり代表:
木目を見ると、つながっているということを思い出しやすいと思う。コロナと付き合った2年間を、この先の人生で前向きなものに変えてほしい

近藤さんの息子・喜心君:
今は接触がダメだとなっているけれど、それがなくなったら、スポーツが好きなので、思いっきり楽しんで、チームワークや友達関係を深めたい

子どもを思いやる気持ちがビジネスチャンスに

卒業記念品の時計が人気を集めている「木の暮らし」。本来の主力商品は、ブライダル用の「三連時計」だ。
新郎新婦を中心に3つの家族が1つの木目でつながる時計で、これまでに約11万セットを販売したが…

木の暮らし・荒内大輔さん:
コロナ禍で、お客さまがご不安に思われて、結婚式のキャンセルや延期が多く起きた。三連時計の注文も減少した

そうした逆境の中、これまでの日常を奪われた子どもたちを思いやる気持ちが、ビジネスチャンスにつながった。

木の暮らし・荒内大輔さん:
(木目のつながった時計は)ブライダルの分野では一つの文化になったと自負しているので、卒業記念品の分野でも、木目がつながって仲間の絆をあらわすという時計を、一つの文化にしていきたい

(福井テレビ)