電車内の「受験生応援メッセージ」に数学の問題

1月15日16日に大学入学共通テストが実施されるなど、受験シーズンが本格化している。

こうした中、首都圏のJR全線で2022年1月10日~16日に掲出された、駿台予備学校の「受験生への応援メッセージ」がTwitter上で話題となっている。

「受験生への応援メッセージ」をTwitterに投稿したのは、「電電猫猫|高橋直希@CoeFont(@nya3_neko2)」さん。

「小田急である広告の前でだけ学生数人がノート出してて何事かと思ったらこの広告が原因だった。解いたらスッキリする答えが出てきて、答え合わせできないけど確実に正解なのが分かった」と書き込み、「受験生応援メッセージ」の画像を2枚、投稿している。

1枚は「受験生への応援メッセージ」の全体を写したもので、もう1枚は「駿台予備学校の数学科の講師・若月一模先生の応援メッセージ」だ。

若月一模先生の応援メッセージは数学の問題になっていて、全文は…

〈GAKKOUの6文字を並び替えてできる360個の文字列を辞書式に並べるとき、100番目の文字列を求めよ。 数学科 若月一模〉

若月一模先生の受験生応援メッセージ(提供:駿台予備学校)
若月一模先生の受験生応援メッセージ(提供:駿台予備学校)
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この投稿には、「今日、試験を受けている全ての受験生に送りたいですね!」「並べ替えてないのになぜかわかりました笑」など1万8000以上の「いいね」がつく話題となっている。

この問題、解き方が分からなくても勘のいい人なら何となく答えが予想できるのだが、正解は「GOKAKU」(合格)。

「GAKKOU」(学校)を並び替えて、正解が「合格」という応援にふさわしい問題だが、実際はどのように解けばよいのだろうか?
そして、この問題を作った、駿台予備学校の講師・若月一模先生はどのような先生なのか?まずは、駿台予備学校の担当者に聞いた。

高校生から高卒生まで幅広く人気のあるベテラン講師

――「受験生への応援メッセージ」を掲出した経緯は?

駿台の応援メッセージは2021年より始めました。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、試験会場に直接、激励に行くことが、かないませんでした。

そんな中、「最後まで受験生を応援したい」という思いから生まれました。
2021年は首都圏のみでしたが、2022年度は全国へ拡大して掲出し、受験生を応援して参ります。

たくさんの先生、職員のメッセージにご注目ください。

受験生への応援メッセージ(提供:駿台予備学校)
受験生への応援メッセージ(提供:駿台予備学校)

――首都圏のJR全線での掲出は1月16日で終了、今後の掲出予定は?

今後は、2月中旬~下旬に首都圏の各所で掲出される予定です。
 

――若月一模先生はどんな先生?

駿台予備学校、東京・神奈川地区の校舎を中心に17年教鞭をとっておられ、予備学校の教材執筆、青本の執筆に加え、模擬試験の作問や責任者も担当されており、高校生から高卒生まで幅広く人気のあるベテラン講師です。

“解き方”を若月先生に聞いた

では、人気ベテラン講師・若月一模先生が受験生への応援を込めて作った数学の問題、一体、どのように解くのか?
若月一模先生に解き方などを聞いた。

――これまで、受験生に応援メッセージを出したことはある?

去年も応援メッセージを出しましたが、「問題」ではなく、普通のメッセージでした。

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――どのように解けばよい?

「G,A,K,K,O,U」の6文字はアルファベット順にすると、「A,G,K,K,O,U」となります。

よって、辞書式に並べるときの最初の文字列は「AGKKOU」で、2番目は「AGKKUO」、3番目は「AGKOKU」です。

このように文字列を並べていったとき、100番目のものは何かという問題ですから、100個並べてしまえば答えはわかりますが、100個並べるのは大変なので少し工夫をします。

まず、先頭がAで始まる文字列が何個あるかを考えます。

「A*****」の「*****」の部分には「G,K,K,O,U」が並ぶので、Kが2つあることに注意して、その並べ方は5!/2!=60通りあります。

先頭がAの文字列の次は、先頭がGの文字列になり、先頭がGの文字列も60通りありますから、求める文字列は「G*****」の形の文字列の40番目ということになります。

さらに「GA****」の形のものが何通りあるかを求め、…という風にして100番目に迫っていってみて下さい。

「ぴったり100番目になって鳥肌が立った」

――作問にはどのぐらいの時間がかかった?

1~2時間程度だったと思います。
実は何年も前に作った問題で、対面式の激励をするときのネタとして使っていたものです。
 

――どのように作った?

校舎から激励を頼まれたのですが、講義以外の話をするのは苦手で、講義形式の激励にできないかと思って考えました。

ポジティブな単語を並び替えて別の意味にならないかと考えているうちに、「GOUKAKU」から「GAKKOU」が思いついたのですが、Uが足りないので「GOKAKU」でもいいかな、と妥協して、何番目かを計算してみました。

ぴったり100番目になって鳥肌が立ったのを覚えています。

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――数学としての難易度は?

入試レベルと比較すると易しい問題だと思いますが、しっかりとKが2つあることも効いてくる教育的な問題になっていると思います。
 

若月先生が今、受験生に伝えたいこと

――この問題にどのような思いを込めた?

問題を解いてもらうことが激励の代わりになるように、という思いで作りました。
 

――解き方が分からなくても、パッとみて何となく答えが分かるのだが、これは狙った?

狙ったというわけではないですが、作り方からしてパッとみて答えがわかるのは必然かと思います。
 

――ツイッターでの大きな反響、どのように受け止めている?

これだけ反響があったことに驚いていますが、この問題ができたときは、かなり生徒受けするかも、とは思いました。

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――受験シーズン真っただ中の受験生に、今、伝えたいことは?

つい先日、大学入学共通テストが終わりました。全体的にかなり難化したようです。

思ったほど点がとれなくて落ち込んでいる受験生もいると思いますが、落ち込んでいても何もいいことはありません。
現状を受け止めて、今できることを全力で頑張って欲しいと思います。

 

Twitterで話題となっている、駿台予備学校の講師・若月一模先生の「受験生への応援メッセージ」。
受験生の皆さんは受験勉強の合間に解いてみてはいかがだろうか。若月先生が問題に込めた、激励の思いをぜひ感じ取ってほしい。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。