2022年1月16日、宮城県内にも津波注意報が出された海底火山の大規模噴火。津波工学の専門家は、噴火の衝撃波が想定外の津波を引き起こした可能性を指摘している。

津波の伝播よりも早い「空振」とは?

東北大学災科学研究所 今村文彦 教授:
空気での気圧変化が津波を及ぼしてしまう、まさに経験のない状況

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津波のメカニズムに詳しい、東北大学災害科学国際研究所の今村文彦教授。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦 教授:
これが今回、噴火が起きたところ。通常の津波は海底の深さに応じて伝播する。これが1時間、2時間、3時間で10時間後くらいに日本に到達するだろうと。
しかし、今回は津波そのものの伝播よりも早い「空振」という気圧の変化で波が生じてしまった。実際より2~3時間早くなってしまった

南太平洋のトンガ沖で起きた海底火山の大規模噴火。今村教授は、その衝撃波が瞬間的な気圧の変化「空振」を引き起こし、海面を抑え込んだことで約8000キロ離れた日本でも津波が起きたと予測。

通常の津波の速度は水深4000メートルで秒速200メートル。一方、「空振」は空気の中を秒速340メートルで伝わる。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦 教授:
通常は津波が発生してから伝播すると、だんだん小さくなって減衰するのが普通。
しかし、今回は日本とかアメリカとか、逆に大きくなっていました。この原因はやはり「空振」で、衝撃波が途中でどんどん波を増幅していく。その距離が長くなるほど、波としては大きくなった

また、日本では場所によって観測値に差が見られた。仙台港では最大70センチだったが、岩手県の久慈港では1.1メートルを観測した。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦 教授:
トンガから日本に向かった津波は、ほぼ同じような規模だった。
しかし、日本沿岸部にくると近くの地形の影響を受けて、久慈や奄美は「共振現象」といって、地形との増幅が局所的に現れた

「想定外」は今後も起きる可能性がある

今村教授は、今後の噴火や津波の波長によっては「仙台港や石巻港などでも局所的に津波が増幅することはありえる」としている。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦 教授:
今回、気象庁は残念ながら情報を変えた。変わる可能性もあると、情報にできるだけ多くアクセスして、急激に変化した場合でもきちんと行動をとっていただきたい

宮城県内の約14万人に避難指示が出された今回の津波注意報。県のまとめでは避難したのは最大177人だった。

石巻市民:
地震が特になかったので、大丈夫かなと思ってました

石巻市民:
どの程度のものがくるのかなというのはありましたけど、やっぱり遠いところの話というのがあった

今村教授は地震を伴う津波は避難につながりやすいとしつつも、「想定外」は今後も起きる可能性があるとして、備えを見直す機会にしてほしいとしている。

東北大学災害科学国際研究所 今村文彦 教授:
何が起こるかわからない。突然増幅する、河川を遡上する、多賀城の砂押川のように。万が一のために避難を心掛けていただきたい

(仙台放送)

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