応援したい自治体に寄付できる制度「ふるさと納税」。所得税や住民税の還付・控除を受けつつ返礼品をもらえるとあって、活用する人もいるだろう。

一般的にはインターネットのサイトから申し込みをすることが多いと思うが、これを自動販売機でできるところがあるという。場所は、静岡県藤枝市のJR藤枝駅に直結した無人販売店舗「オーレ セルフ&カフェ」の一角。

「オーレ セルフ&カフェ」(画像提供:静鉄リテイリング)
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ここには約20台の種類豊富な自動販売機が並ぶが、その一つに「ふるさと納税自販機」と書かれた筐体があるのだ。大きさは一般的な自販機とほぼ変わらないが、タッチパネルがついている。

左がふるさと納税自動販売機(画像提供:静鉄リテイリング)

実際の利用方法は、(1)タッチパネルで返礼品を選択、(2)住所を登録、(3)寄付方法の選択と支払い、(4)レシートをスタッフへ渡す。(5)その場での返礼品の引き渡し、もしくは後日発送という流れ。税控除に必要な書類は自宅に郵送で届くという。

筐体にはタッチパネルも(画像提供:静鉄リテイリング)

この自販機は、静岡鉄道をはじめとした「静鉄グループ」の関連企業「静鉄リテイリング」と藤枝市が連携して1台設置したもので、2021年12月15日から運用が始まった。

実際に足を運んでいただいた時に納税できればと思いました

自宅からインターネットで納税できる今、あえて時代に逆行するような自動販売機を設置したのはなぜだろう。もらえる返礼品の内容も知りたいところだ。

気になることを藤枝市の担当者にいろいろ聞いた。


ーーふるさと納税の自販機を設置したのはなぜ?

静岡で以前、ベンチャーで地域の課題解決をしようという取り組みがあり、今回の自動販売機を開発した企業がエントリーしていました。設置する自治体を探しており、藤枝市としてもふるさと納税を拡充したい思いがありましたので、導入を決めました。


ーーネットでもふるさと納税できるのでは?

ネットで簡単にできるのですが、その結果、自治体が返礼品のお得度ばかりを競うようになってしまいました。ECサイトの影響もあり、ショッピングモール化していると思いました。藤枝市もそこに出品はしているのですが、ふるさと納税の本来の目的は「地域を応援すること」だと思い、実際に足を運んでいただいた時に納税できればと思いました。

正面から見るとこんな感じ(画像提供:静鉄リテイリング)

ーー自動販売機での納税の流れを教えて。

自動販売機の画面で返礼品を選び、住所など情報を入力します。運転免許証で読み取ることもできます。支払い方法はクレジットカードのみで、決済がおりると市に納税情報が共有されます。品物ではなくレシートが出てくるので、「オーレ セルフ&カフェ」の隣にある有人コーナーに届けると、返礼品の受け取り、または、後日発送となります。

ホテル宿泊券やロールケーキ…もらえる返礼品は?

ーー実際の返礼品として、どんなものがあるの?

自動販売機だと現在12品目です。納税額の幅は1万円~20万円ほどで、ホテルの宿泊券やゴルフクラブの利用券といった、再来訪につながるもの。地域の特産品として、ロールケーキや玉露の茶葉などがあります。藤枝市自体の返礼品は800品目ほどあるので、様子を見ながら拡大を考えています。「自動販売機でしか扱わないもの」という考え方もあるかもしれません。

自動販売機の納税でもらえる返礼品の一部(画像提供:藤枝市)

ーー納税期限はいつまで?後日発送だと送料が必要?

納税期限は通常と同じです。自動販売機のコーナーは24時間営業しています。納税額は送料込みなので、後日発送の場合でも、別途請求するようなことはございません。


ーー運用開始から納税した人はいる?

数件程度と聞いています。個人情報もあるので、詳細は公表していませんが、トークショーの参加券やゴルフクラブの利用券に興味を持たれている方もいるようです。

納税されると設置側にもメリット

ーー税収の増加は見込めると思うが、静鉄側にどんなメリットがあるの?

ECサイトと同じように、自動販売機で納税された金額の一部が入る仕組みとなっております。今回の自動販売機は、静鉄様が買い取りをされて設置をしております。


ーー自動販売機は他にもある?今後は増やすの?

他の自治体ではありますが、藤枝市だと今回が初めての設置です。今後は無理に増やすというよりは、民間が設置したいという声があればでしょうか。


ーー最後にメッセージをお願い。

私たちは“共感納税”という言い方をしていますが、藤枝市に訪れた時、気にいったら納税をいただければと思います。藤枝市は都会すぎず、田舎すぎず、子どもが楽しめる大きな公園もあります。たくさんある魅力を楽しんでいただければと思います。


ふるさと納税はつい、お得な返礼品はどれか…と考えてしまいがちだ。しかしこのような実際に訪れた際にできる自動販売機があれば、納税の幅は広がるかもしれない。