寒い日が続き、エアコンの暖房を使う機会が増える今の時期。気になるのが、短時間の外出をする時に暖房を「つけっぱなし」にするか「こまめに消す」かの判断だ。

どちらの方が、電気代がお得なのだろうか?

こうした中、パナソニックが、冬にエアコンの暖房を使用中、30分の外出をする時の「つけっぱなし」と「こまめに消す」の消費電力の違いについて、独自の実験結果をもとに検証。その結果を12月6日に公表した。

「つけっぱなし」「こまめに消す」の境目は“外気温3度”

パナソニックは、独自のアルゴリズムを用いて、同じ外出時間でも、外気温の条件によって、帰宅時の運転の消費電力が異なることに着目したシミュレーションを実施。

その結果、“外気温が3度未満”のような厳しい寒さの場合は、室温が大きく下がりやすく設定温度に戻すために多くのパワーが必要となるため、「つけっぱなし」の方がお得。

一方で、“外気温が3度以上”の場合は、室内の温度がそこまで下がらないため、「こまめに消す」の方が電気代の節約につながることが分かった。

つまり、お得かどうかの境目は“外気温3度”ということだ。

30分間の外出を1日2回、1か月間行った際のエアコン稼働における電気代の差異(提供:パナソニック)
30分間の外出を1日2回、1か月間行った際のエアコン稼働における電気代の差異(提供:パナソニック)
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パナソニックは一例として東京を挙げ、昨年の冬で最も平均気温が低かった東京の1月の平均気温が5.4度だったとし、「基本的には『こまめに消す』運転がお得と言えそう」としている。ただし、実際の電気代は、住宅の断熱性能やエアコンの設置環境などの使用条件によって異なるという。

お得になるかどうかの境目は「外気温3度」なのだが、この理由は何なのか? また、このシミュレーションの結果をどのように活用すればよいのか?

パナソニックの広報担当者に話を聞いた。

境目が「外気温3度」の理由

――電気代が得になるかどうかの境目は「外気温3度」。この理由はどのようなことが考えられる?

社内でも境目が外気温3度になったことに関して、協議や検証をいたしましたが、シミュレーションの結果、このような値になったに過ぎません。それ以外の数字面での科学的根拠は、特に我々の方では確認できませんでした。


――今回のシミュレーションの結果を活用する場合、「家を出る際に外気温が3度未満であれば、暖房をつけっぱなしにする」といった使い方でよい?

住宅の断熱性や室内の熱負荷などの環境によるものの、「外気温が3度未満」のような厳しい寒さにおいて、コンビニやスーパーなど近所に“1日2回程度、30分の外出をする場合”のほか、“室内温度24度”、“暖房温度設定24度”の条件下では、「つけっぱなし」運転のほうがお得です。


――「外気温が3度未満」で“1日2回程度、30分の外出をする場合”だけでなく、”室内温度24度”、“暖房温度設定24度”という条件が揃っている場合のみ、「つけっぱなし」の方が得ということ?

“室内温度24度”、“暖房設定温度24度”を固定し、消費電力量のシミュレーションを実施した結果、「外気温が3度未満」であれば、つけっぱなしがお得という結果が得られました。

冬のエアコンの電気代を節約する5つの助言

ちなみにパナソニックは、冬のエアコンの電気代を節約する5つのTips(助言)も示している。

パナソニック エアーマイスターの福田風子さんによると、1つめは「エアコンのフィルター掃除で年間約1万円以上の節約に」

室内機のフィルターにホコリがたまると目詰まりし、空気を取り入れる量が減ってしまう。その結果、エアコンは必要な空気を確保しようとして、余計なパワーを使ってしまうもの。

パナソニックの実験によると、実際に1年間掃除をしない場合は掃除をした場合に比べて、年間で約25%も電気料金が無駄になってしまうという結果もある。

この場合、フィルター掃除をすることで年間約1万円以上も電気代を節約できる(こちらはパナソニック製品「CS-F401D2」を使用。電気代27円/kWhでの実験)。この結果からもフィルター掃除はこまめに実施しましょう、としている。

2つめは「湿度と温度をコントロールして快適性をアップ」。

同じ設定温度でも、湿度が上がると体感温度が上がる。冬は湿度を上げることで乾燥を防ぐだけでなく、暖かく感じられるので、加湿を心がけましょう、としている。また、エアコンの設定温度を1度変えるだけでも、節約につながるもの。

環境省によると、夏の冷房時に1度高くすると約13%、冬の暖房時に1度低くすると約10%の消費電力が削減されるとのことなので意識してみて、とアドバイスしている。

3つめは「熱が出入りしやすい窓は、断熱性を上げる工夫を」。

室内の熱は、窓からの出入りが最も多いことから、断熱シートや断熱カーテンの利用をおすすめしている。

また、カーテンは床まで届くタイプにすると、冬、隙間から侵入する冷気を抑えることもできる。窓と部屋の間に空気の層をつくるために、カーテンを2枚使ったり、内窓を設置したりするのも良いという。

空気の層がバリアで遮断(提供:パナソニック)
空気の層がバリアで遮断(提供:パナソニック)

4つめは「サーキュレーターで室内の温度ムラをなくす」。

暖かい空気は上へ移動するので、サーキュレーターで室内の空気を循環させることが必要。冬の場合はエアコンの対角線上に設置し、上向きに風を送ると、天井付近にたまった暖気が室内に循環しやすくなるという。

人に風が当たると体感温度が下がって寒く感じるので、送風する角度の調整をおすすめしている。

サーキュレーターで室内の温度ムラをなくす(提供:パナソニック)
サーキュレーターで室内の温度ムラをなくす(提供:パナソニック)

最後の5つめは「室外機の環境も定期的にチェックしよう」。

フィルターほどの頻度で手入れをする必要はないが、室外機も意外に汚れるもの。ホコリや落ち葉などのごみがたまると熱交換の効率が下がり、消費電力アップにつながる可能性もあるので、特に風の強い日や台風が過ぎた後にはチェックしてください、としている。

イメージ(室外機)
イメージ(室外機)

エアコンの暖房の「つけっぱなし」と「こまめに消す」。パナソニックのシミュレーションによると、得になるかどうかの境目は「外気温3度」だという。

実際の電気代は、住宅の断熱性能やエアコンの設置環境などの使用条件によって異なるということだが、「外気温3度未満」の日には試してみてもいいかもしれない。

プライムオンライン編集部
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FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。