コロナ禍で苦境に立つ国内の旅館やホテル復活への糸口として、コロナ収束後に日本を訪れる外国人観光客への期待が高まっている。
こうした中、福井市内のIT企業が「非接触」で宿泊施設にチェックインできるシステムを開発した。
スマホが“鍵”に…非接触でチェックイン
天晴データネット・西川孝盛社長:
予約すると、スマートフォンにメールで数字のキーが届く。このキーを使うことで、フロントにチェックインすることなく、直接 鍵が開けられる

天晴データネット・西川孝盛社長:
そして、中にある専用のタブレットに宿泊台帳を登録してチェックインする

人と接触することなくチェックインできるシステムを開発したのは、福井市の天晴データネット。
銀行の業務システムや、保険会社の営業向けシステムの開発などを手掛けるIT企業だ。

天晴データネット・西川孝盛社長:
IoT(モノのインターネット)技術を活用したビル管理システムで、名称は「iBMS」。4年前にこのアイデアを思い付いた

天晴データネット・西川孝盛社長:
子会社があるフィリピンでは、当時建築ラッシュとなっていて、IoTの技術を活用したビル管理システムを導入することで省力化が図れると確信した。施設の設備の省力化、省エネ、安全、安心を提供できるシステムとなっている

もともとは、ビルの防犯や防災、人の流れなどを専用の機器を使って管理するシステムを開発したのがきっかけだった。

新型コロナが広がる中、客との接触に頭を悩ませていた宿泊施設向けに改良したという。
各部屋の状況をタブレットで…業界も注目
長野県内の家具製造会社「SUYAMA」は、このシステムを導入したグランピング用コンテナを販売している。

白馬村にあるホテルでは、このコンテナを使ったグランピング施設が、2022年7月にオープン予定だ。
SUYAMA・巣山純一社長:
コロナ禍で生活様式や人々の意識が変容する中で、ホテル業の客が描くおもてなしを実現する。iBMSを導入すれば、新しい体験を客に提供できる

このシステムでは専用のタブレットを使って、室内の温度や湿度、二酸化炭素濃度なども管理できる。

一方、宿泊施設の運営者側は、宿泊者の入退室だけでなく、各部屋の状況をタブレットで把握できるようになる。

天晴データネット・西川孝盛社長:
新たな事業のために従業員を雇用しなくてもすむため、コストを抑えて新事業ができる。ホテル経営者の人にも好評
すでに福井県外の複数のホテルなどで導入が決まっていて、2022年2月に東京で開かれる「国際ホテル・レストランショー」への出展が決定するなど、業界からも熱い視線が注がれている。

天晴データネット・西川孝盛社長:
今回、このシステムを開発できたのは、顧客からアイデアをもらって形にしていけたことが大きな理由。これからも、さまざまな事業者と出会い、問題を発見して一緒に解決することで、システムの価値を高めていきたい

“非接触のおもてなし”は、苦境に立つ業界の起爆剤となるか注目される。
(福井テレビ)