TSKとJALがコラボしてお届けしているニュース企画。今回のテーマは、鳥取県西部に江戸時代から伝わる「淀江傘」。
取材にあたったのは、JALふるさと応援隊の田邊菜穂さん。
200年の歴史を持つ伝統の傘だが、今 存続の危機に瀕している。
しかし、これを解決する糸口が、意外にも地元・米子にあった。
この美しい傘を存続させようとする熱い思いに注目、現地を取材した。
今回お邪魔したのは、米子市の和傘伝承館。さっそく案内されたのが…
JALふるさと応援隊・田邊菜穂さん：
美しいですね。光が当たると、また違った印象があります
所狭しと並ぶ和傘。ライトで照らされ、幻想的な雰囲気を醸し出している。
淀江傘伝承の会・山本絵美子会長：
どうぞ広げてみて下さい
JALふるさと応援隊・田邊菜穂さん：
外側だけでなくて、傘をさす自分も明るくなるような素敵な色合いです
淀江傘は、開くと中には美しい糸飾り。竹の骨組みが美しく広がる。
誕生200年「淀江傘」存続の危機 重要なパーツが高齢化で…
2021年で、誕生200年を迎えた淀江傘。
淀江地区は古くから和傘の生産地として知られ、最盛期には和傘の一大産地として栄えた。
洋傘に押され一時途絶えかけたものの、こちらの伝承館を中心に伝統はいまなお続いている。
この美しい傘には、欠かせない重要なパーツがある。傘の開閉時に上下する「ろくろ」だ。
淀江傘伝承の会・山本絵美子会長：
ほとんど地産地消ですが、心臓部分にあたる「ろくろ」だけは、他の県から仕入れています
淀江傘の材料は、ほぼ地元産。
骨組みは淀江の竹、紙は因州和紙が使われているが、エゴノキという木を原材料とする「ろくろ」は岐阜県の職人しか作っておらず、淀江傘も取り寄せに頼るしかなかった。
しかし…
淀江傘伝承の会・山本絵美子会長：
どこも高齢化していて、いつまで続くかわからない。傘の産地はどこもそういう状態
高齢化により、岐阜県にある「ろくろ」の製造所は1カ所だけに。
それに伴い、淀江傘も存続の危機だった。
伐採する木を有効活用 地元工務店が部材づくりに挑戦
こうした中、動き出したのが…
JALふるさと応援隊・田邊菜穂さん：
これがその木ですか？
米子市文化振興課・安達義治さん：
こちらがエゴノキ。米子城跡の整備事業のなかで木の伐採をしている時に、これがエゴノキということがわかり、活用しようと思っています
淀江傘の誕生から200年を迎える中、米子市がプロジェクトを発足。
米子城跡に自生するエゴノキに目をつけ、捨てずに活用することに挑戦したのだ。
JALふるさと応援隊・田邊菜穂さん：
この木が使えたら、完全に「メイドイン鳥取」の傘が作れますね
市は、地元・淀江の工務店に「ろくろ」づくりを依頼。木のおもちゃなど、木工品を作るノウハウはあるものの、傘の部材づくりは初めてだった。
ろくろ作りを担う足芝建築・足芝和豊社長：
昔の人はどうやっていたんだろう。感心します。いろんなところでつまづきだらけで、一個一個克服して、今のところ15点くらいの出来
傘の骨組みを通すための溝を均一に掘る必要があり、一筋縄では行かない。
3カ月以上試作を繰り返した。
ろくろ作りを担う足芝建築・足芝和豊社長：
淀江ならではの木工品に関われて幸せに感じてます。メイドイン地元で完成させたい
淀江傘伝承の会・山本絵美子会長：
米子のエゴノキが使えるのであれば、とてもうれしい限り。300年、400年、もっともっと続くことを希望してやまないですね
JALふるさと応援隊・田邊菜穂さん：
傘の全てを鳥取にずっとあるもので作ることができるということは、より思いが込められるんじゃないかなと
メイドイン鳥取。誕生200年の節目に、伝統の淀江傘が、地元の人達の熱意で蘇ろうとしている。
JALふるさと応援隊・田邊菜穂さん：
淀江傘の糸飾りの細かさや、間近に見た職人技。そして何よりも、熱っぽく説明される山本さんの姿から、伝統を守る熱い情熱を肌で感じました。
山本さんの淀江傘にかける思い、そして私たちが日々の乗務にかける思いは全く同じ。「お客様に喜んでもらうため」ということに気付かされました。
さらに、伝統の淀江傘に地元のエゴノキ木を有効活用して要の部品として使うことで、より意味の深い製品に生まれ変わるだけでなく、環境を守るSDGsにもつながると思いました。
JALふるさと応援隊・田邊菜穂さん：
こうして伝統を守りつつ、新たな取り組みに挑戦する姿勢は、私たちJALとも共通しています。新たな視点を加えることは、私たちJALも同じです。
私は鳥取県のJALふるさと応援隊として、これからも乗務しながら、新たな取り組みに果敢に挑戦し続けることで、山陰の魅力を全国・世界に広げていきたいと思います
（TSKさんいん中央テレビ）
