商店街の賑わいをつくろうと、空き店舗を利用して作られた小さな図書館が静岡・焼津市にある。自治体の補助金などをうけずに運営している私設図書館から、本を中心にした街の新しいつながりが生まれているという。

みんなが参画できる図書館「さんかく」

JR焼津駅前の商店街。この一角に2020年3月にオープンした「みんなの図書館さんかく」。

2020年3月にJR焼津駅前の商店街にオープン
この記事の画像(16枚)

図書館を設立したのは土肥潤也さんだ。焼津市出身の土肥さんは、静岡県立大学に在学中に「NPO法人わかもののまち」を立ち上げた。

これまでも出前授業などで街の活性化に取り組む

中高生向けの居場所づくりや学校での出前授業などの活動を通して、街の活性化に力を入れている。

そんな土肥さんが「さらなる街の賑わいづくりに」と手がけているのが、完全民営の図書館だ。

土肥潤也さん:
いろいろな人が少しずつ、力とお金と時間を出し合って運営する私設の公共空間を作れないか、社会実験的にやり始めたのが最初ですね

土肥さん「力・金・時間を出し合い私設の公共空間を」

目指したのは、皆が"自分ごと”として関わっていけるような図書館だ。その思いは、図書館の名前「さんかく」にも込められている。

土肥潤也さん:
「三人寄れば文殊の知恵」と昔から言うので、その「三」というのもありますし、参画というのは「さんかく」と読み、企画や計画に参加するという意味があるので、いろんな人がこの場に参画してほしいという思いでこの名前を付けました

みんなが参画できる図書館「さんかく」

みんなが「さんかく」できる図書館に。
オープンのための資金はクラウドファンディングで募り、館内はDIYで支援者と一緒に作った。本も寄付などで約2000冊が集まった。

館内はDIYで支援者と作った

利用者は最初に300円を払い、1回5冊までで1カ月間何度でも借りることができる。

本棚オーナーになり、新たな出会いも

さらに…

本谷育美アナウンサー:
本棚を見ていくと、それぞれ個性的な感じもしますし、名前が書いてあるものもありますけれども、これはどういう本棚なんですか

土肥潤也さん:
「一箱本棚オーナー制度」という仕組みを導入していて、1区画ごとに棚を借りてくださっている本棚オーナーさんがいらっしゃって、それぞれがプロデュースする本が置かれています

区画を借りて自分の選りすぐりの本を貸し出し

一箱本棚オーナー制度とは、月額料金を支払い本棚のオーナーとなることで、自分の選りすぐりの本を貸し出しできるというものだ。
費用は一箱で月2000円で、利用期間内であればいつでも自由に本の入れ替えが可能だ。現在54人のオーナーが本を持ち寄り、約3000冊の本が並んでいる。

オーナー54人の自慢の本約3000冊が並ぶ

一番初めにオーナーとして契約し、本棚を管理している人は…

本棚オーナー・鈴木幹人さん:
星、宇宙、天体の本を置いています。最近自分の中で宇宙ブームで、読んで面白かった本を置いています

箱に装飾を施し、天体の魅力をアピールするこちらの本棚。この本を置いたことで思わぬ出会いも。

オーナー第1号・鈴木さんは天体の本を

本棚オーナー・鈴木幹人さん:
名作漫画の「宇宙兄弟」を読んだことがなくて、私の本棚を見た人が「宇宙兄弟って知っていますか」と聞かれ、「知らない」と言ったら全巻貸してくれた。普通に会えない人と会えるのがすごく面白いですし、ただ本を探しに行くだけではなく、そこから広がる交友が面白かったりしますね

鈴木さん「図書館での交友が面白い」

本が結ぶ縁。その居心地の良さに、1週間に5日間は図書館に訪れているという。

図書館の利用者から最近オーナーを始めたという人も…

本棚オーナー・増田有希子さん:
(この図書館を)1年くらい利用していて、借りるだけではなく来ている人とお話するようになって、この場所がすごく居心地がいいなと。本は関係なく、この場所にもう少し深くかかわってみたいと思い、本棚を借りようと思いました

増田さん「図書館に関わりたくてオーナーに」

また、本には感想カードが付けられるようになっていて、読んだ人から感想がもらえることもあるそうだ。

本棚オーナー・増田有希子さん:
人気がない本だとネットに感想がのっていないから、ここに置いてよかったなと思いますね

読者から感想をもらうことも

図書館を中心に商店街に賑わいを

さらに入口には「チャレンジショップ」と名付け、日替わりでコーヒースタンドやイラストレーターなどが出店する。 

日替わりでコーヒースタンド等が出店

図書館の店番の代わりを兼ねていることも多く、まさにみんなで「さんかく」していく図書館だ。

図書館を設立した土肥潤也さん:
無目的に行ける場が街にあることが大事だと思う。本があるだけで少し立ち寄れる、そういう場所になれているので、いろんな人たちがここに来てくれると感じています

図書館から生まれる地域住民のつながり。土肥さんはそのつながりをさらに増やしていきたいと考えてる。

本谷育美アナウンサー:
こちらはまだ空き店舗ですけど、どんな場所になるんですか

土肥潤也さん:
シェアオフィスみたいな場所にしようと思って計画しています

図書館近くでシェアオフィスを計画

図書館の数軒となりに、2021年のうちにオープンを目指しているのはシェアオフィスだ。

土肥潤也さん:
いろいろな事業者さんがたまに使っていただくことで、いろいろなコラボレーションや共同が生まれるような場所になったらいいなと思います

図書館とシェアオフィス。皆が街づくりに参画して賑わいが生まれることで、人口減少をくい止める一助になればと考えている。

商店街が賑わう一助になれば

土肥潤也さん:
まずは(閉店店舗の)シャッターを全部開けたいですし、焼津ってすごく元気だよね、あそこに行ったら自分のやりたいことができる、ここで生み出したい、作り出したいという人がたくさん集まってくれるような商店街になればいいなと思います

土肥さん「やりたいことができる商店街にしたい」

商店街から焼津を魅力的な街に。みんなでつくる街づくりはこれからも続く。

(テレビ静岡)