世界最大の鳥であるダチョウに“ある検証”を行った動画が、Twitterで話題となっている。
長崎バイオパーク(長崎・西海市)が公式Twitter(@ngsbiopark)に投稿したもので、「ダチョウは飼育員と踊るのか?」という内容。動画では2人の飼育員がダチョウを前にそれぞれが踊りを披露していた。
1人目には首を左右に揺らして反応
1人目は男性の飼育員で、両膝を地面につけ大きく腕を広げ、体や腕を左右に大きく揺らす。頭も動かし、少し小刻みにリズムをとっているのも独特だ。
これはダチョウのダンスを真似しているようで、それを見ていたダチョウもすぐに同じようにしゃがみ込み、広げた羽や首を左右に揺らし躍り返してくれている。
2人目は女性の飼育員。肩幅に足を広げて少し曲げ、肩の位置ぐらいまで持ち上げた腕を挨拶のように振りながら、左右に大きく体を動かす。
1人目に比べると残念なことに踊りにキレが見られない。投稿動画でも「なにその踊りw」と突っ込まれている。ダチョウの方も無反応で踊り返すこともなく去って行ってしまった。
しかし女性飼育員はあきらめなかった。ダチョウが近寄ってきた瞬間に再び挑戦。すると、ダチョウはその踊りを少し見ると、しぶしぶといった感じで踊りを返してくれたのだ。
この検証動画にはTwitterでも「ノリがよいダチョウ」「ダチョウさん観察力がすばらしい」といったダチョウの賢さを褒めるコメントのみならず、「ダチョウダンスが完璧」「明るい職場」「スタッフさん、明るい(笑)」といった飼育員へのコメントも多く寄せられ、1万8000のいいねに、動画再生数は26万を超える反響となっている(11月16日時点)。
#ダチョウ は #飼育員 と #踊る のか? #検証 pic.twitter.com/RhxaOnkAZL
— 長崎バイオパーク公式 (@ngsbiopark) October 14, 2021
長崎バイオパークではダチョウを1羽飼育しており、動画に映っているのが24歳のオス・キョウちゃん。飼育員にはガツガツくるが来園者にはおしとやかな性格なのだそう。
そして踊りを披露した飼育員は、1人目がダチョウ担当。あそこまでキレキレで、ダチョウに似せて踊れていたのは、普段の観察のたまものなのかもしれない。ちなみに、女性飼育員はリスザル担当で普段はダチョウと関わることがないとのことだ。
2人目は踊り返さないと思っていた
それにしてもキョウちゃんはなぜ踊り返してくれるのか? また、飼育員だけでなく来園者も踊りをすれば返してくれるのだろうか?
長崎バイオパークの広報担当・春岡俊彦さんに話を聞いてみた。
ーーなぜ「ダチョウは飼育員と踊るのか?」という検証をしたの?
(ダチョウが)踊りを返してくれたことがあり、また「担当飼育員が(ダチョウの踊りを)踊れる」と話を聞いたので、飼育員が踊ってみてダチョウがどのような反応をするのか撮ってみようかとなり、撮影をしてみました。
ーーそもそもダチョウが踊り返してくる理由は?
断定はできませんが、コミュニケーションで踊り返すのか、求愛などでアピールの為に踊るので、競い合っているのかもしれません。
ーー実際の検証結果を見てどう思った?
踊り返してくれるとは思っていたのですが、2人の飼育員のダンスの反応の違いがダチョウで顕著に出たのは驚きました。
1人目は担当者なので「まぁ、踊り返して当たり前かな」と思いました笑。2人目に関しては踊りが独特だったので、踊り返さないのかと思ったのですが踊り返してびっくりしました。
「俺の方が綺麗にかっこよく踊れるぞ!」
ーーダチョウは飼育員の踊りをどのように認識していたと思う?
競い合っているダチョウのオスだと思っているのか、コミュニケーションで踊りあっているかのどちらかだと思います。
ーーちなみに、それぞれの飼育員とキョウちゃんとの仲はどう?
1人目のダチョウ担当飼育員とは、友達以上恋人未満ぐらいだと思います。踊り返すというのが、仲がいいというわけでもなさそうです笑。ダチョウが「俺の方が綺麗にかっこよく踊れるぞ!」という張り合いで踊っているのかもしれません…。ただ、この担当者は、展示場の中に入っても襲われたりはしません。担当者以外が入ると向かってきます。
2人目の女性飼育員は通常キョウちゃんとは関わることがありません。
ーー1人目の飼育員の踊りがキレキレだったが練習していたの?
1人でこっそりと練習していると思います。
踊りのコツは“思いを届ける気持ち”
ーー飼育員だけでなく来園者でも踊れば反応してくれる?
一生懸命するとする(踊り返してくれる)と思います。(※他園では、動物のストレスになりうる可能性があります)
ーーダチョウが反応してくれる踊りをするコツはある?
ダチョウのダンスは羽根をワサワサさせるのが特徴なので、そこを意識することだと思います。あとは思いを届ける気持ちが大事です。
ーー投稿には多くの反響があるが、どう感じている?
大変嬉しく思います。魅力的な動物ももちろんですが、今回は飼育員にも注目をされており「楽しそうな職場だなぁ」などのコメントがあり、バイオパークの雰囲気が伝わったのではないのかと思います。
今回の検証では2人の飼育員に踊り返してくれた結果となったが、それぞれ親密度が異なるにもかかわらず踊り返してくれているのを見ると、“求愛”というよりは、コミュニケーションや張り合いで踊り返しているようだ。もしかしたら、よりダチョウに似た踊りを見せた方が反応が良いのかもしれない。
長崎バイオパークの公式Twitterでは、このような飼育員と動物たちとのやり取りに加え、動物たちの日々の様子を投稿している。あまり知られていない動物の姿を見ることができるかもしれない。