コロナ禍でテレワークが増えた結果、会社内でのコミュニケーションが減ってしまったという人は多いだろう。

そんな問題を解消しようとサントリー食品インターナショナルは、コミュニケーションの活性化を目的に社員が2人で使うとドリンクがタダになる「社長のおごり自販機」を発表した。

(出典:コクヨ)
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「社長のおごり自販機」は、ドリンクの見本が並ぶ棚の上から2段目に、社員証を読み取る装置を搭載。ここに2人の社員が同時に社員証をタッチし、10秒以内にそれぞれが好きなドリンクのボタンを押すと、無料で飲み物が出てくるという仕組みだ。

(出典:サントリー食品インターナショナル)

なお「社長のおごり」とはいうものの、ドリンクの代金は本当に社長に請求するわけではなく、設置先法人の負担となる。また、普通の自販機のようにお金を払って購入することも可能だ。

既に大手文具メーカーのコクヨがこの自販機を試験導入しており、実証実験に協力。場所は同社のオフィスがある「THE CAMPUS」という施設で6月上旬から行われている。このオフィスの在籍者は850人で、「おごり」は1カ月で約1000回の利用があるという。

使った感想を聞いたところ、回答した97.8%が「本自販機がコミュニケーションのきっかけになった」と好意的に捉えており、具体的には次のような意見が寄せられた。

・今日は一人作業の予定だったが、「自販機行かない?」と声をかけてもらい、流れで雑談のきっかけになった。
・ワクワクさと達成感があり、とても楽しかった。いろんな人を誘ってやってみたい !
・こんな素敵な自販機が職場にあると思えば、モチベーションが上がります!
・たまたま同期とすれ違い、数年ぶりに近況を話し合うきっかけになった!

(出典:サントリー食品インターナショナル)

ちなみに、実証実験で使われた自販機は「社長のおごり」というバナーが付いているが、これは導入企業の要望によって「工場長のおごり」などへの変更も要相談で可能とのことだ。

(出典:サントリー食品インターナショナル)

コミュニケーションを生むアイデアとしては面白い試みで、たしかに同僚などに声を掛けて一緒に自販機に行くきっかけになりそうだ。

同じペアが使える回数の制限も可能

しかし、例えばいつも仲がいい2人で何回も使うだけになってしまうということはないのだろうか? また、導入したいという企業からの問い合わせはあったのだろうか?

 サントリー食品インターナショナルの担当者に聞いてみた。


――なぜ「社長のおごり自販機」を開発した?

リモート化が進み、社内でのコミュニケーション機会が減っているという課題に対し、自販機を通じて、職場内のコミュニケーションのきっかけを増やしたいという思いから、開発しました。


――「社長のおごり自販機」を作ったのはどんな人?

自販機の更なる可能性を広げたいという想いをもった若手社員を中心に、発案からリリースまで行いました。何気ないおしゃべりから、良いアイデアが生まれるという原体験がアイデアのきっかけです。

(出典:サントリー食品インターナショナル)

――社長のおごりじゃないのに「社長のおごり自販機」という名前にしたのはなぜ?

ネーミングのアイデアはたくさんありましたが、社内で実証実験した際に、会社の福利厚生の一環と理解しながらも、社員からなにげなく出てきた言葉が「社長、ごちそうさまです!」だったことがきっかけです。

また、気軽に仲間を誘ってこのサービスをご利用いただきたいという想いから、固い名称にするのではなく、わかりやすいサービス名にすることにしました。


――でも仲良しコンビばかりが使ったり、3人組で困ったりすることはないの?

導入した企業様に合わせ、“1日当たりの1人が使える上限回数”や、いろんな人と雑談を発生させるために、同じペアでの上限回数を設定することができます。

また、3人組の場合でも、このサービスをきっかけにもう1人誘う等のコミュニケーションのきっかけづくりになればうれしいです。

(編集部注:他に無料になる時間帯や曜日を限定する設定も可能)

(出典:サントリー食品インターナショナル)

――リリースの後、設置したいという企業からの問い合わせはあった?

はい、想定を超える反響がありました。既に複数社から設置したいというお声を頂いております。

「ドリンク費は高くない?」コクヨにも聞いてみた

一方「社長のおごり自販機」を設置した企業側は、その効果をどうとらえているのだろうか?
負担する飲み物代が高額になっているということはないのか?

コクヨの担当者にも聞いてみた。


――なぜ実証実験に参加したの?

コロナでリモートワークが普及し、オフィスに来ることが当たり前でなくなりました。しかし、直接会っての会話や、ちょっとした雑談がいいアイデアに繋がったり、生産性をあげたりすることもあり、大切なコミュニケーションの減少を課題に感じていました。

今年2月に品川オフィスをリニューアルした「THE CAMPUS」は、”働き方の実験場”として、様々な実験をしており、「おごり自販機」のお話をいただいたときは直ぐに実証実験が決まりました。

(出典:サントリー食品インターナショナル)

――コミュニケーション減少はそんなに問題となっていた?

コクヨは平均40%程度の出社率となっています。コロナ以前のようにオフィスに行くのが当たり前でなくなった今、社員にオフィスに行きたい!オフィスにいった方が仕事が捗ると思ってもらうことが大切で、その1つの要素が直接的なコミュニケーションであると考えています。


――「おごり自販機」の費用は高いの?安いの?

自販機導入の費用は普通の自販機と変わりません。オフィスに設置している自販機の利用本数から、費用は予想していましたが、社員の反響がよく、たくさん利用されているので、予想よりは飲み物がたくさん売れて、その分費用がかかっている印象です。


――実験を始めてから、社内の会話が増えたり、風通しがよくなった実感はある?

はい、実際にオフィスで働いていると、「自販機いこう」と声を掛け合っているシーンをよく見かけますし、同時にカードをかざして10秒以内にボタンを押すというゲーム的要素もあり、会話が弾んでいます。

(出典:サントリー食品インターナショナル)

――「おごり自販機」は現在、どうなっているの?

今も利用しています。また、検証結果を分析して、時間や曜日を絞る可能性はありますが、これからしばらくは利用していく予定です。

(出典:サントリー食品インターナショナル)

自販機のおかげで生まれた会話から、新しいビジネスのアイデアが生まれるのであれば、本当に社長がおごってたとしても高くはないだろう。これまで自販機は職場の隅の方に置かれることもあったと思うが、これからは人が集まる場所の中心に自販機があるようになるかもしれない。