児童養護施設で育った子どもたちは、身寄りがなくても原則18歳を迎えると退所し、自立しないといけない。

だからこそ、彼ら、彼女らにとって「成人式の写真」は夢のような話なのだ。

“妹”や“弟”たちにも味わって欲しい

生後4ヵ月から18歳まで施設で育った山本昌子さん。

山本さんもまた、退所後は居場所を失った孤独感や生活苦の中で徐々に塞ぎ込むようになってしまった。

成人式の時は経済的な問題で振り袖を着ることは叶わなかったが、その後、専門学校の先輩がお金を出して振り袖を着せてくれ、写真を撮ってくれたという。

振り袖を着た山本さん
振り袖を着た山本さん
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「自分を大事にしてくれる人がいる」、「すごく生きる勇気につながった」とその時湧き上がった思いを、同じ施設出身の“妹”や“弟”たちにも味わって欲しいと思い始めた。

そこで2016年、山本さんは成人を迎えた施設出身者に晴れ着姿の記念写真をプレゼントする「ACHA project」を始める。

「一生の思い出を諦めて欲しくない!」

今回ACHAプロジェクトに応募したのは、 4歳から15歳まで施設で暮らした大澤彩華さん。

山本さんと同じく、 1年前の成人式は経済的な理由で振り袖を着ることを諦めたというが、“一生の思い出づくり”をしたいと撮影を願い出た。

着付けが着々と進む中、山本さんは「振り袖の柄にも女の子が幸せになるための意味が入っている」と大澤さんに語りかける。

着付けやヘアメイク、写真撮影など、スタッフは全員ボランティア。

プロジェクトを始めてから4年間で、全国から100着の振り袖が寄付された。

大澤さんは「こんなにたくさんの人が携わり、立派な撮影をしていただいたので、自分を好きになれる瞬間だった」と笑顔を見せる。

「どうしても支援は東京の施設に集中しやすい側面がありますが、この活動はどの地域にいても“着たい”と思った人が着られるという、そういった環境を目指したいと思っています」と山本さんは語る。

「一生の思い出を諦めて欲しくない!」という山本さんの思いが、未来の大きな力へとつながっていく。

ACHA project
https://achaproject.org/index.html

「フューチャーランナーズ~17の未来~」
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SDGs

SDGsとは、2015年9月の国連サミットで、全会一致で採択された「持続可能な開発目標」。
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