ベトナムの朝食の定番「フォー」。長野・池田町に移住したベトナム出身の女性が、「朝フォー」の店を出した。
コロナの影響で長く祖国には帰れていないが、新天地で奮闘している。

あっさりとした鶏ガラのスープに、米粉の麺。ベトナム料理の「フォー」。

ベトナム出身のグェン・ティヴィエット・リェンさん
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客:
あっさりして、朝には良い

作るのは「レンさん」こと、グェン・ティヴィエット・リェンさん(36)。
10月9日、池田町の親子交流スペースに「れんさんのベトナム屋台」を開いた。営業は月曜日と土曜日の午前中。

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
ベトナムでは朝ご飯に食べられるもので、そのまま朝に正しい食べ方として。池田町で朝フォーの普及になったらいいな

「れんさんのベトナム屋台」(長野・池田町・10月9日)

新型コロナで仕事減…将来を見つめるように

レンさんはベトナムの首都ハノイの出身。父親の仕事の関係で、小学生の時に3年間、東京で暮らした。日本の街や食事が気に入り、帰国後も日本語の勉強を続け、大分県の大学に留学した。
その後、都内の広告会社などで働く一方、ベトナムにはない景色を求めて、信州の山を登るようになった。

小学4年生の頃

転機が訪れたのは2020年。新型コロナの影響で仕事が減り、将来を見つめる時間が増えた。
そうした時、浮かんできたのが信州の景色だった。

北アルプス唐松岳(2020年)

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
登山かキャンプの帰り道に山がずらっと並んでいて、『北アルプスやん』と見て、この場所良いなと、見るだけでも癒される。『自然って良いよな』って気持ちになる

北アルプスの景色が気に入った

起業の夢も…景色が好きな信州に移住

起業したいという夢もあり、2021年4月に池田町に移住。不動産会社のサポートで築50年ほどの民家をリフォームし、7月からゲストハウスを営んでいる。

起業の夢もあり、長野・池田町に移住

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
自分も結構旅行して、民宿、ゲストハウスに泊まって、地域の方とアットホームに一緒に過ごせたので、今度は自分がそういった場を作って、いろんな人たちをウェルカムしてやりたい。
タイミングよく良い方に出会って、全面的にサポート、場所を提供してくれたり。一人でもがいて探したり、大変、不安というのは割と少なかった

ある日、宿泊客にフォーをふるまったところ、これが好評だった。行動力旺盛なレンさん、今度は「朝フォー」の店を出すことにした。

「れんさんのゲストハウス」

「朝フォー」の店開業 ベトナムの食文化を発信

オープン当日は朝6時半から仕込み開始。麺は東京の業者から仕入れたベトナム産。

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
もちもちしていて、つるっとのど越しも良くて、生麺に近い感じ

鶏ガラスープは、八角やシナモンなどの香辛料を効かせてある。

開店を待つ客が並ぶ…

客:
フォーをあまり食べたことがないので、食べてみたくて来ました

スタッフ:
お待たせしました、どうぞ

午前8時半、オープン。

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
おはようございます

客:
おはようございます

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
あー、すごい

オープン当日

ベトナムでは家で朝食をとる人は少なく、屋台などでフォーを食べるのが定番だ。湯通した麺に鶏肉、ネギを乗せ、鶏ガラスープをかければ本場の「フォー・ガー」の出来上がり。

ベトナムコーヒーなどドリンク付きで600円。

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
本場の味に近く再現しています。ベーシックな味

客:                                             おいしい

客:
ベトナム住めるなってくらい日本人に抵抗なく、とてもおいしかったです

「フォー・ガー」

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
次の方、お待たせしました

次々と入る注文。厨房は大忙し。
洗い物などを手伝うのは交流スペースのオーナー。レンさんを支援している。

次々と入る注文に厨房は大忙し

交流スペース オーナー・甲埜かほりさん:
すごくピュアで、自分のやりたいことにまっすぐ。思いついたらすぐ行動の人

甲埜かほりさん

午前11時、初日の営業が終了。準備した30杯のうち25杯が売れた。

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
食べておいしいって言ってくれた時に心の中でガッツポーズ、うれしかった

故郷には2年帰れず…ベトナムの家族が心の支え

上々のスタートを切った店のことを、夜にベトナムの家族に報告することにした。

店のオープンをベトナムの家族に報告

父・グェン・ヴィエット・ホアさん(テレビ電話):
きょうどうだった?

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
まぁまぁ、初めてなのでちょっと疲れた。地域の人が手伝ってくれた、一人では回らなかった

父・グェン・ヴィエット・ホアさん

新型コロナの影響でハノイにはもう2年、帰っていない。週1回、こうしてインターネットで両親と会話するのが楽しみだ。

インターネットで両親と会話するのが楽しみ

父・グェン・ヴィエット・ホアさん(テレビ電話):
日本に一人でいるけど、両親はリェンがやりたいことを応援している。自分が楽しむことが一番大切。ベトナム文化の発信を頑張ってね

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
じゃあね…ありがとう

父・グェン・ヴィエット・ホアさん(テレビ電話):
ガンバレ!

父・グェン・ヴィエット・ホアさん

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
1日の出来事を共有できると、親なのでほっとする。最近は大人として自分の意見を聞いてくれる部分があるので、自分のことを信頼してくれていると実感している

地元の人の支えや家族の励ましを受けて、信州で祖国の味を広めようとしているレンさん。
次はベトナム風サンドイッチの販売も考えている。

グェン・ティヴィエット・リェンさん

グェン・ティヴィエット・リェンさん:
「朝食を食べて、元気よく行きましょう」というところなので、『朝フォー』を池田から発信して普及していきたい。朝フォー、頑張るぞー!

(長野放送)