熱で溶かした蝋をハンコで押し固めて作る“シーリングスタンプ”。海外の映画などで、手紙に封をする際に赤い蝋を垂らし、ハンコを押しつけているシーンを目にしたこともあるだろう。そんなシーリングスタンプの制作風景がTwitterで話題となっている。

それが「夜」という題名で投稿されたメイキング動画。約1分の動画は、垂らす前の溶けた蝋がスプーンの中に入っている状態から始まる。

スプーンの中で作られた「夜」
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映るのは、夜をイメージした黒や青の溶けた4色の蝋。そして輝くラメだ。この段階で、美しいアートだが、まだその全貌は明らかになっていない。

それをトロリと円を描くようにして垂らしていく。最初は明るい色が多く目に付いたが、垂らしたことで蝋が混ざり合い、今度は黒などの暗い色がより鮮明になり、どこか宇宙を彷彿させる姿に変化していく。

左:垂らしている様子 右:垂らし終わった様子

その垂らした蝋に上からハンコで押し固め、最後は盛り上がった模様に色付け。そして完成したのが、夜空を背景に無数の星が浮かび上がった美しいシーリングスタンプだ。

ハンコと色付けされて完成した「夜」

この作品にTwitterでも「素敵ですね…」「綺麗……」「エモい」といった美しさへ感嘆するコメントと共に、5万以上のいいねがつく話題となっている(10月14日時点)。

“シーリング”でも星空が見られれば

制作者はTwitterユーザーの暮色さん(@otegami9016)。SNSにさまざまな美しいシーリングスタンプ作品を投稿している。

完成したシーリングスタンプだけでなく、その制作風景も美しい。では、どのようにしてこのアイデアを思いついているのか?垂らし方で変わる作品だが、計算して作られているのだろうか? 暮色さんに教えてもらった。


ーー作品「夜」はどのようにしてアイデアが浮かんだ?

寒くなるにつれて星が綺麗に見えるようになってきたので、シーリングでも星空が見られればと思い、夜をテーマにしました。

使用したワックス(蝋)と完成したシーリングスタンプ「夜」

ーーこだわった部分はどこ?

グラデーションが綺麗に出るように、黒〜紺の色合いが絶妙に変化するようにワックス(蝋)を選びました。ラメの煌めきを引き立てられたと思います。


ーー出来栄えはどう?

小さな夜が再現できたと思います!多くの方にみていただけて嬉しいです。

色の組み合わせと垂らし方は“ある程度”計算

ーーどういったきっかけで始めたの?

数年前に見ていたアニメで使われていたので興味を持ちました。こんなに自分がハマるとは思っていませんでした…笑

ハチミツのような色合いがキレイな「金木犀」

ーーデザインのアイデアはどうやって考えている?

「こんなのが見たいな〜」という自分の欲望を再現するようにしています。夕日が綺麗だったとか、道で見た花が可愛いかったとか、日記感覚で些細なことをお題にしていたりもします。何も思い浮かばない時は、フォロワーさんからリクエストを募ったりもしています 笑。


ーー蝋の垂らし方で変化する作品だけど、計算して作っているの?

ある程度は計算しているつもりですが、上手くいくことは少ないです 笑。同系色なら垂らす時はそっと置くように1回で(混ざりすぎると一色にみえてしまうので)、ハッキリした色合いであれば回すように垂らしています(色を満遍なく出したいので)。

また、スプーンの注ぎ口に近い色は最初に垂れて埋もれてしまうのでそこも考慮しています。逆に計算していない時の方が綺麗に出来ることもあるので、その時々で偶然の産物を楽しむようにしています。

「コーヒー」

暮色さんによると「色の組み合わせによって垂らし方のスピードを変えている」とのことだが、実際はどれくらい違うのだろうか? Twitterに投稿されている他の動画も見たところ、確かに異なっていた。

まずは同系色の作品。色が混ざって一色にならないようにサーっと垂らしている。

そして、色合いが異なる組み合わせの作品。途中から回しながら垂らすことで全ての色が出るように調整しているのだとか。

1回として同じ作品を作ることが出来ないからこそ、より良い色合いが出せるよう、いろいろ考えて蝋を垂らしていた。

お気に入りを教えてもらった

1回1回繊細に作られている暮色さんの作品だが、投稿で話題になった「夜」以外の作品も見てみたい。お気に入りの作品をいくつか教えてもらった。

まずは「夕焼け」。タイトル通り夕焼けがイメージされた色合いの作品で、オレンジ〜紫のグラデーションがうまくいき、色の混ざり方がキレイでお気に入りなのだとか。

グラデーションのキレイな「夕焼け」

続いては「春の夜」をテーマにした作品。いつもは4色を使う中、この作品では7色で作っているという。たくさんの色を使うと混ざって濁るそうだが、この作品はキレイに色が出たと話している。

7色使ったという「春の夜」

そして、意外性を見せた作品だという「花を閉じ込めた」作品。白ベースの中に鮮やかな赤いバラが咲き誇っている。

突然鮮やかなバラが咲く「花を閉じ込めた」という作品

白い蝋しか垂らしていないはずが、ハンコを持ち上げると現れるバラの花。実は、先に赤と緑の蝋で花のシーリングを別に作り、これをハンコ側に貼り付け、その状態で押すとできるのだ

ちなみに、こうして完成したシーリングスタンプ作品は、ギフトのラッピングに使ったり、特にお気に入りのものはスクラップにして、コラージュ帳にまとめているそう。

お気に入りはスクラップして残している

シーリングスタンプの魅力を暮色さんは「手軽に色や形との一期一会を楽しめること」だといい、特に“色フェチ”の人にはオススメだという。

自分の好きな景色や風景を、写真や絵ではなく、色合いで表現できるシーリングスタンプ。手紙の封をするための実用的な使い方もあるが、思い出作りの1つの形として楽しむのも面白いかもしれない。